業界売上高トップ4
有価証券報告書 財務分析
<自動車業界・・・第2回>
第2回分析テーマ・・・利益創出力
分析指標値:総資本税引前利益率
売上高総利益率
売上高営業利益率
売上高当期純利益率
(各指標の説明はこちら)
【総資本税引前利益率】
〔総資本税引前利益率=税引前利益÷総資本(負債+純資産)〕
※経常利益の代わりに税引前利益を用いています
トップはスズキです。
前回見たように総資本(総資産)が前年比110.2%の伸びであったのに対して、税引前利益(税金等調整前当期純利益)は199.0%と2倍近くに拡大しています。
2番手はトヨタです。
2期連続で伸長しており、4期間とも安定した推移となっています。
続いてホンダです。
過去2期は3%台序盤、直近2期は3%台中盤という推移です。
そして日産です。
過去2期のマイナス値から、直近では2期連続で2%台前半での推移となっています。
【売上高総利益率】
〔売上高総利益率(粗利益率)=売上総利益(粗利益)÷売上高〕
トップはスズキです。
2期連続で低下していましたが、直近では大手2社が低下する中、上昇させています。
2番手はトヨタです。
直近は、前年より1ポイント以上低下しており、21%台になっています。
続いてホンダです。
2期連続の低下です。
当社も、直近で0.8ポイント低下しており、20%台を割り込んでいます。
そして日産です。
直近2期は過去に比べて上昇しており、16%台での推移となっています。
【売上高営業利益率】
〔売上高営業利益率=営業利益÷売上高〕
トップはスズキです。
過去2期連続で低下していましたが、直近で大きく上昇しました。
2番手は僅差でトヨタです。
2期連続で上昇していましたが、直近は比較的大きめの低下となりました。
続いてホンダです。
2期連続でかなり大きく上昇していましたが、直近では低下してしまっています。
そして日産です。
2021期までの営業損失から直近では2期連続で黒字化しており、さらに伸長してます。
【売上高当期純利益率】
〔売上高当期純利益率=親会社の所有者に帰属する当期利益÷売上高〕
トップはトヨタです。
ただし、直近では低下となりました。
半導体不足が今回の利益率に悪影響を与えたようです。
有価証券報告書に記載された「事業等のリスク」では、「自動車市場においては、世界的な半導体の需給ひっ迫・部品供給不足による、グローバルでの生産制約が継続しましたが、年度後半に向け緩和していきました。このような需要の変化は現在でも続いており、この状況が今後どのように推移するかは不透明です。」とのことで、引き続き注視すべきリスクと認識しているようです。
2番手はスズキです。
直近3期は4%台後半での推移となっています。
今期の経営成績に関して有価証券報告書では「日米金利差拡大に伴う円安の進行が業績への追い風となった一方、半導体不足に伴い計画通り生産・販売が出来ないこと、及び原材料価格の高騰は、前連結会計年度に引き続き、当連結会計年度も通年に渡り課題となりました。半導体不足に関しては、取引先様との連携強化を通した調達力の強化、及び設計変更をはじめとする対応力の強化を図り、四輪車・二輪車ともに生産・販売は前連結会計年度を上回りました。また、原材料価格高騰に関しては、海外におきまして値上げを実施することで、収益の確保に努めてまいりました。」とのことです。
続いてホンダです。
直近では1ポイント低下しています。
有価証券報告書によると、半導体不足が業績に影響を与えた地域セグメントして、日本、北米、アジアをあげています。
そして「Hondaグローバルリスクマネジメント規定」において、ビジネス面や各種リスク情報の収集及び対応体制などを規定しています。
また、半導体不足に関しては「半導体関連の部品調達影響の発生に対しては、グローバル危機対策本部および各事業における操業に関連する会議を通して、影響を最小化するための対応を行っています。」とのことです。
そして日産です。
直近はやや低下しています。
2022年度の経営環境に対して有価証券報告書では、「長引く新型コロナウイルス、半導体の供給不足の影響に加え、ロシア・ウクライナ問題に端を発する地政学リスクの高まり、急激な為替変動、それらに起因した、原材料・エネルギー価格の急騰、さらには電動化に伴う市場の分断化など、事業環境がさらに大きく変化した。
当社はサプライチェーンの分断や、引き続き半導体の供給不足、原材料価格の高騰などに直面する一方、為替の円安によるプラスの効果もあった。」と記載されています。
今回、特に気になったのは
スズキの良好さです。
今回の「利益創出力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「稼ぐ力」を見ていきましょう。
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