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COLUMNSブログ「論語と算盤」

人間の九つの品格(第四、五、六等)

2024年6月25日

衆人才徳識見俱に取るに足る無く、世と浮沈し、利にはしり、害を避け、風俗中に碌々ろくろくとして自ら表異するなき有り。小人偏気邪心にして、惟だ己私是れ殖し、欲する所を苟得こうとくするも亦物を害はざる有り。小人中の小人有り。貧賤陰狼いんがん意の極むる所をほしいままにして、才以て之を済すに足り、歛怨かんえん怙終して外を顧忌する所無し。

(第四等は、多くの人間の中によくあるが、才徳・識見共に取るに足るほどのものがなくて、世間の趨勢に従って浮き沈みし、己れの利に走って害になるようなことはなるべく避けようとする。碌は随従する貌、つまり身をまかせて、自ら異を表することをしない。

 第五等は、小人にして気性が偏り心がよこしまで、ただもう自分のソロバン勘定ばかり考えて、いやしくも取れるものならば何でも取る。人に笑われようが憎まれようがかりそめにも利益になるものならば何物をも逃がさないというのが苟得である。まことに嫌な人間であるが、しかし「亦物を害はざるあり」―他に害をしないという人間である。

 第六等は、小人の中の小人。貧賤で陰狼、外からはわからぬが心の中でねじけておって、自分はこうするのだということになると誰が何といおうと頓着しない。またそれを実際にやってのけるだけの手腕もある。そうして歛怨、何でもかんでも欲しがってそれが思うようにいかぬと腹を立てて人を怨む、何事も自分のことは棚に上げて人のせいにして終始不平不満をいうておる。しかもそんな我儘勝手なことばかりやっておると人に嫌われ憎まれるということを一向かえりみて忌むこともない。)

<出典:『呻吟語を読む』安岡正篤著 致知出版社>

 

 

 

 

第四等の人

 

目立たないように無難にやり過ごす

 

 

 

大勢の中で異を唱えると、人目について世間から睨まれます。

だからそういう言動をやらない、おとなしく隠れようとするわけです。

 

世間では珍しくない存在ですが、このような人が増えてくると、悪人にとっては好都合です。

批判される機会が少なくなるので、言葉巧みに他者を惑わせやすくなります。

皆が何も言わないのなら、黙って従おうとする人が悪人のターゲットになります。

 

こういうタイプが今、増えていることは間違いないでしょう。

それは、SNS等による耐え難く暴力的な誹謗中傷を避けるためです。

現代における重要な処世術と言えるかもしれません。

 

そんな中でも

 自分を修養し

  信念を固めて

   自らの天命使命に

    邁進してほしいと

     願わざるを得ません

 

 

 

 

第五等の人

 

すばしっこく

人目構わず利をかすめ取る

 

 

 

利を得る欲に加えて理性も持ち合わせており、周囲に害を与えない人です。

 

悪い要素は無い印象ですが、もしも害を与えず利を得られるのなら、その利を多くの人と分かち合うことで世の中を良くしていく、それが王道なはずです。

 

そうしないことが小人たる特性であり、自らの利のみに突っ走るのです。

 

現代の経済社会で実績を上げている人の多くは、このタイプかもしれません。

 

 

 

 

第六等の人

 

他責にすり替える

良心無き人

 

 

 

この種の人は、周囲にも害を及ぼす可能性があります。

 

人物を見抜くのは難しいことです。

しかし、そういう眼は養わねば得られません。

よく相手の話を聞いて、道理に沿っているかを判別し、自責で捉えているかについても検証すべきです。

 

このタイプは、周囲の人から同情を得ようと、自分の責任を他者に転嫁します。

 

ここは厳しい目で見定めることが必要です。

 

その場で即座に見定めることができる人は稀ですが、願わくはそうありたいものです。

 

 

 

 

第四等までが君子型で、それ以降は小人型になるようです。

 

次回は、第七等から第九等の品格を取り上げます。