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COLUMNSブログ「論語と算盤」

財務指標-1

2021年12月20日

今回から6回、分析に使っている財務指標の説明をします。

 

 なお、当サイトのブログにおける「注意・免責事項」として

以下の内容をご承知おきください。

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当サイトのブログは、公表された情報(有価証券報告書など)をもとに

作成していますが、数値の集計や計算方法、および各コメントは、

特段の断りのない限りブログ作成者の主観によるものです。
また、取り上げた各企業の経営戦略や方向性を反映したものではありません。
当サイトのブログ情報によって生じた問題や不利益などについて、

当方は何ら責任を負うものではないことをご承知おきください。

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 初回は、業界分析の第1回目に用いている

成長力」の指標です。

 

具体的には、売上高推移経常(営業)利益推移総資産推移従業員数推移です。

 

 

売上高推移

 

 企業の成長力を見るにはうってつけです。

 

売上高が増しているということは、

   新たな顧客を得ている

      販売数量が拡大している、

単価が上昇しているなどということが想定されるため、

その企業の経営規模が拡大していることになります。

 

単年度のみならず、継続して伸びているのであれば、

今後についても期待が持てることになります。

 

 

 売上高の拡大は企業にとって実現したい優先項目であり、

そのために様々な取り組みを行うことになります。

 

例えば、新製品開発販売地域の拡大提供方法の多様化

      価格戦略の見直し販売促進策の強化などとなり、

R&D(研究開発)やマーケティング活動の工夫が必要となります。

 

 

 

 ただし、売上高が伸長したとしても、

それで生じる不都合な点を見逃してはなりません

 

特に注意すべきは、キャッシュの枯渇です。

通常、企業が成長するときはどうしても運転資金が不足しがちになります。

 

この理由は、売上債権の回収時期と仕入債務の支払時期のずれ、

そして、欠品なく売り上げるための在庫増大が主要因となります。

 

よって、常日頃から銀行等金融機関との関係を維持しておくなど、

資金調達面での手当てをしておくことが欠かせません。

 

このような点を把握するために、総資産の推移を取り上げています。

 

 

総資産推移

 総資産の金額は総資本と同じです。

 

上記の資本調達についての確認に加え、

   資産面については手元の現金保有レベル

事業を円滑にするための設備面を適切に調達・活用しているか、

というような点も把握しておきたいものです。

 

 

従業員数推移

 売上が増えると多忙になるわけですが、

そのときに必要な人材が揃っているか否かについても

特に昨今は注意しておくべきです。

 

売上高の上昇と同時に残業だらけになってしまうようでは、

明日の企業存続が危ぶまれかねません。

 

このような側面から、従業員数の推移を取り上げています。

 

 

経常(営業)利益推移

  仮に売上高が10%増えた場合、

経常(営業)利益も10%以上増えているのであれば

基本的には望ましい状態といえます。

 

しかし、10%も伸びていない、

いわんや逆に減少してしまったというのであれば、

売上高増加への取り組みは徒労となってしまいます。

 

もちろん、今期以降の数年間にかけて売上高が伸びると見込んだ上で、

  今期に設備を揃えようだとか、

今期は人材を多めに採用して育成するというような背景があるのなら、

利益が減少する可能性もあります。

 

それはそれでその企業の考え方によるものですから、

一概に悪い状況とは言えません。

 

 

つまり、何でもかんでも伸びれば良いというわけではなく

ケースバイケースで判断していくことが必要になります。

 

 なお、営業利益を用いるか経常利益を用いるかは、

分析対象企業の決算書の表示方法によって変えます

 

国際会計基準や米国会計基準においては、経常利益の概念がないので、

営業利益もしくは税引前当期純利益によって代替します。

 

 

 

以上、今回は「成長力」の各指標を取り上げました。

 

 

次回は「利益創出力」を説明します。