善く士たる者は武からず。善く戰う者は怒らず。善く勝つ者は與にせず。善く人を用うる者は之が下となる。是を爭わざるの德と謂う。是を人の力を用うと謂う。是を天に配すと謂う。古の極なり。〔善爲士章第六十八〕
(よき裁判官は、けっして残酷ではない。よき戦士は、けっして怒らない。よき勝利者は、何ものとも敵対しない。よく、うまく人を使う人は、自分が相手にへりくだる。
これら四つの作用、これは争わないことの効用である。これは、うまく人の力を利用する道でもある。
これは、天の働きと肩を並べるものである(自然にまかせておいて、しかもあらゆるものに力を発揮させる、それが天の作用)。これこそが、古来の最高の道である。)
<出典:『老子講義録 本田濟講述』読老會編 致知出版社>
天の働き
人なるものの最高の道
相手にへりくだることは、相手の心を動かします。
自分にとって好ましい言動を導き出すことができます。
その場の状況、相手との関係、相手の心のレベルなど、見定めた上でへりくだることが大切です。
勝負をうまく収める人は、相手と敵対はしません。
あくまで問題に焦点を当てます。
小さいことに腹を立て、争いを生むような人はやがて没落していくでしょう。
真の勝利者は、些細なことは見逃すものです。
人と人とで作り上げる社会、気に障るからといちいち文句を言うようでは、自らがなすべき役割ができなくなります。
法律で雁字搦めにすること、それが社会の目的ではありません。
法律は手段であり、目的は平和な日々の実現です。
しかし、いまの世の中、まったく反対の方に向かっていませんか。
政治家は
立法の数を業績とし
法律はどんどん増えています
人々は
神経質になり
些細なことにも苛立ち
餓鬼のごとく他人を誹謗中傷します
何かにつけてハラスメントとされ
敵対関係が生み出されています
こうなってくると
もはや天の働きから
逸脱しているといえます
人々が互いに
謙虚に接し合う
美しい人間関係は
もはや過去の遺物か
人の心が淡白になってきています
誰もが
これで良いのかと不安なはず
生きづらい世の中
だからといって
一日一日を他人任せにしていては
自らの命を単に消化していくだけ
自分は自分の主人公
世界でただひとりの
自分を創っていく責任者
(教育者:東井義雄)
正しい自分になる
正しい心を持つ
そう決めること
“ 決心 ” は
「なりたい」というような
“ 願望 ” とは一線を画します
“ 決心 ” は
自分の日々の言動を
変えるほどのインパクトがあってこそ
自分の心の中に耳を傾け
天の働きの
神髄を聴きとる