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COLUMNSブログ「論語と算盤」

ハウスメーカー業界-2

2022年9月8日

ハウスメーカー業界の2回目です。

 

今回は、売上高利益率からみる収益性で「利益創出力」の分析です。

 

 

取り上げる指標は、総資本経常利益率売上高総利益率

      売上高営業利益率売上高当期純利益率となります。

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

総資本経常利益率

〔総資本経常利益率=経常利益÷総資本(負債+純資産)〕

 

 トップ住友林業です。

2020年度までは5%前後でしたが、直前期は10%を超えるレベルまで上昇しました。

前回見たように、分母となる直前期の総資本は2019年度比(12ヶ月)で130.8%と急増しています。

それに対して分子の経常利益は2020年度までは5,000億円台でしたが、直前期においては2019年度比で234.2%、1,378億円まで拡大しました。

なお、中期経営計画における2024.12期の経常利益目標は、1,730億円とのことです

 

 2番手は飯田GHDです。

当社については、国際会計基準(IFRS)を採用しているため経常利益の表記がありません。

よって当指標の計算式の分子には、4期とも税引前利益を用いて算出しています(総資本「税引前利益」率)。

2019年度で急落したものの、翌年度から2期連続で上昇しています。

総資本が110%程度増加している中、直近2期の税引前利益は、152.0%、127.2%と大きく拡大しています。

 

 続いて積水ハウスです。

2020年度は低下しましたが、それ以外の3期は概ね8%強と安定的です。

総資本が2兆円台後半で推移する中、経常利益は2,000億円台で安定的に推移しています。

 

 そして大和ハウスです。

直前期は僅かながら上昇しましたが、総じて低下傾向のようです。

この4期間において、経常利益は2020年度を除いて増加しています。

ただし、その伸び率は3期連続で増加した総資本を下回っています。

 

 

売上高総利益率

〔売上高総利益率(粗利益率)=売上総利益(粗利益)÷売上高〕

 

 トップ住友林業です。

3期連続で上昇しており、他の3社と一線を画すレベルで推移しています。

 

 2番手は飯田GHDです。

直近2期の上昇率は相当に高く直前期に至っては4ポイント以上のアップとなっており、驚異的とも言えます。

特に主力の戸建分譲事業で、竣工前契約率の上昇などの要因によって売上総利益率が4.8ポイント増加した点が大きかったようです。

 

 続いて積水ハウスです。

20%前後で安定的に推移しています。

 

 そして大和ハウスです。

20%前後で推移していますが、直前期では4社中唯一低下しています。

直前期では、建設資材や労務費の高騰により当指標が低下したとのことです。

 

 

売上高営業利益率

〔売上高営業利益率=営業利益÷売上高〕

 

 トップ飯田GHDです。

前述の粗利益率の上昇に伴う形で営業利益率も急上昇しています。

当社は、目標とする経営指標として営業利益率10%以上としていますが、その目標を充分にクリアしています。

 

 2番手は積水ハウスです。

2020年度を除いて、8%台後半での推移となっています。

直前期では、戸建住宅事業の好調な受注状況と順調な工事進捗、賃貸住宅事業のゼロエネルギー賃貸住宅のシャーメゾンZEHの販売拡大、不動産フィー事業では管理受託戸数の堅調な増加、国際事業においては米国事業の好調さなどを主因として業績が良化したようです。

 

 続いて大和ハウスです。

僅かなレベルですが3期連続で低下しています。

直前期では、営業利益のけん引役の一つである商業施設事業において、新型コロナの影響による開発物件売却の減少が響いたこと、およびその他事業のうち環境エネルギー事業の請負工事の減少などにより、当指標が低下した様子です。

 

 そして住友林業です。

グラフを見ると、3期連続で急上昇していることがわかります。

直前期について、戸建注文住宅事業ではウッドショックと称される昨今の木材市場の状況もあり、利益面ではやや苦戦したとのことです。

一方、分譲住宅事業では優良な土地の仕入が奏功したことや、旺盛な購買意欲に支えられ好調だったようです。

また、海外住宅・不動産事業がすこぶる好調だったことも当指標に好影響を与えているようです。

 

 

売上高当期純利益率

〔売上高当期純利益率=親会社の所有者に帰属する当期利益÷売上高〕

 

 トップ飯田GHDです。

直前2期は、それぞれ2ポイント程度の大きな上昇となっています。

 

 2番手は住友林業です。

直前期は2.5ポイントの上昇と、極めて良好であったことがうかがえます。

なお、中期経営計画における2024.12期の当期純利益目標は、1,160億円とのことです

 

 続いて積水ハウスです。

総じて安定的な推移となっています。

 

 そして大和ハウスです。

2期連続の低下の後、直前期では上昇しました。

なお、「第7期中期経営計画」(5カ年計画)の最終年度2026年度における当期純利益目標は、3,400億円とのことです

 

 

 

今回気になったのは、

飯田GHD住友林業高い伸長率を示していること、

また積水ハウス安定的な推移からうかがえる

利益総出力の強さです。

 

 

今回の「利益創出力」の順位による

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

 

 

今回は以上です。

 

次回は、「稼ぐ力」を見ていきましょう。

 

 

 

 

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