今回からハウスメーカー業界を取り上げます。
取り上げる会社は次の4社です。
大和ハウス工業株式会社(3月決算)
積水ハウス株式会社(1月決算)
飯田グループホールディングス株式会社(3月決算)
住友林業株式会社(12月決算)
各社の決算月が相違しているので、「年度」で表記します。
(例:2021年度=2022年3月期、2021年12月期)
※なお、住友林業は、2019年度まで3月決算であり、2020年度から12月決算に変更しています。そのため、2020年度は実質9ヶ月の業績となっており、本稿もそのままの数値で取り扱います。
第1回の今回は「経営規模」を確認します。
取り上げる実績値は、売上高推移、営業利益推移、
総資産推移、従業員数推移です。
【売上高推移】
トップは大和ハウスです。
直前期の売上高は、前期比107.6%の4兆4,395億円となりました。
2020年度は低下しましたが、直前期の実績は4期中で最高額です。
事業は、住生活や商業空間を中心とした生活基盤産業であり、次の7つのセグメントに分けられています。
▶戸建住宅事業:戸建住宅の注文請負・分譲
直前期の売上高・・・前期比121.5%の6,269億円
▶賃貸住宅事業:賃貸住宅の開発・建築、管理・運営及び仲介
直前期の売上高・・・前期比104.7%の1兆292億円
▶マンション事業:マンションの開発・分譲・管理
直前期の売上高・・・前期比111.8%の3,799億円
▶住宅ストック事業:増改築の請負・不動産の買取再販及び売買仲介等
直前期の売上高・・・前期比101.8%の1,270億円
▶商業施設事業:商業施設の開発・建築、管理・運営
直前期の売上高・・・前期比98.6%の7,969億円
▶事業施設事業:物流・製造施設、医療介護施設等の開発・建設及び仮設建物の建築・管理・運営
直前期の売上高・・・前期比115.1%の1兆1,396億円
▶その他事業:建設支援事業、健康余暇事業、環境エネルギー事業及びその他の事業
直前期の売上高・・・前期比98.9%の5,018億円
上記の各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものとのことであり、合計額は全社的売上高と一致しません。
なお、「第7期中期経営計画」(5カ年計画)の最終年度2026年度における売上高目標は、5兆5,000億円とのことです。
2番手は積水ハウスです。
直前期の売上高は、前期比105.8%の2兆5,896億円となりました。
3期連続で上昇しており、直前期の実績は4期中で最高額です。
事業は多岐にわたっており、次の10のセグメントに分けられています。
▶戸建住宅事業:戸建住宅の設計、施工の請負
直前期の売上高・・・前期比109.1%の3,527億円
▶賃貸住宅事業:賃貸住宅、事業用建物等の設計、施工の請負
直前期の売上高・・・前期比107.0%の3,840億円
▶建築・土木事業:RC造による賃貸住宅及び事業用建物等の建築工事及び土木工事の設計、施工の請負
直前期の売上高・・・前期比86.5%の2,619億円
▶リフォーム事業:住宅等の増改築
直前期の売上高・・・前期比110.7%の1,562億円
▶不動産フィー事業:不動産の転貸借、管理、運営及び仲介等
直前期の売上高・・・前期比104.9%の5,850億円
▶分譲住宅事業:住宅、宅地の分譲、分譲宅地上に建築する住宅の設計、施工の請負
直前期の売上高・・・前期比137.6%の1,915億円
▶マンション事業:マンションの分譲
直前期の売上高・・・前期比117.5%の906億円
▶都市再開発事業:オフィスビル、商業施設等の開発、保有不動産の管理、運営
直前期の売上高・・・前期比97.9%の1,027億円
▶国際事業:海外において戸建住宅の請負、分譲住宅及び宅地の販売、マンション及び商業施設等の開発、分譲
直前期の売上高・・・前期比104.9%の3,889億円
▶その他:エクステリア事業等
直前期の売上高・・・前期比106.4%の760億円
続いて飯田GHDです。
直前期の売上高は、前期比95.2%の1兆3,870億円となりました。
2期連続で拡大していましたが、直前期は4社中で唯一の低下となりました。
事業は、主として連結子会社単位による7つのセグメントに分けられています。
その他を除く6セグメント中、5セグメントが前年を下回っています。
▶一建設グループ
直前期の売上高・・・前期比93.3%の3,912億円
▶飯田産業グループ
直前期の売上高・・・前期比88.9%の2,373億円
▶東栄住宅グループ
直前期の売上高・・・前期比97.3%の1,713億円
▶タクトホームグループ
直前期の売上高・・・前期比106.7%の1,603億円
▶アーネストワングループ
直前期の売上高・・・前期比98.1%の3,202億円
▶アイディホームグループ
直前期の売上高・・・前期比82.6%の882億円
▶その他
直前期の売上高・・・前期比175.5%の185億円
最後は住友林業です。
直前期の売上高は、前期比165.0%の1兆3,859億円となりました。
前年の2020年度が9ヶ月間の実績であるため、直前期の伸びが大きくなっています。
ただし、直前期の実績は4期中最高額です。
事業は、海外分野もあり、次の5つのセグメントに分けられています。
直前期は9ヶ月間の実績となるため、2020.03期(2019.04~2020.03:12ヶ月間)実績との比較で記載しています。
▶木材建材事業
直前期の売上高・・・2020.3期(12ヶ月間)比97.0%の2,169億円
▶住宅・建築事業
直前期の売上高・・・2020.3期(12ヶ月間)比107.8%の5,109億円
▶海外住宅・不動産事業
直前期の売上高・・・2020.3期(12ヶ月間)比161.4%の6,446億円
▶資源環境事業
直前期の売上高・・・2020.3期(12ヶ月間)比115.8%の223億円
▶その他事業
直前期の売上高・・・2020.3期(12ヶ月間)比102.2%の239億円
(※調整額として△327億円)
なお、中期経営計画における2024.12期の売上高目標は、1兆7,700億円とのことです。
【営業利益推移】
トップは大和ハウスです。
直前期は、前期比107.3%の3,833億円となりました。
売上高の推移と同様であり、直前期の実績は4期中で最高額です。
セグメント別には以下のとおりです。
▶戸建住宅事業
直前期の営業利益・・・前期比136.2%の297億円
▶賃貸住宅事業
直前期の営業利益・・・前期比103.9%の943億円
▶マンション事業
直前期の営業利益・・・前期比180.9%の98億円
▶住宅ストック事業
直前期の営業利益・・・前期比85.0%の89億円
▶商業施設事業
直前期の営業利益・・・前期比93.4%の1,148億円
▶事業施設事業
直前期の営業利益・・・前期比113.7%の1,318億円
▶その他事業
直前期の営業利益・・・前期比23.6%の25億円
上記各セグメント別の営業利益は、売上高同様に内部振替高等を加算しているようであり、合計額は全社的営業利益額と一致しません。
なお、「第7期中期経営計画」(5カ年計画)の最終年度2026年度における営業利益目標は、5,000億円とのことです。
2番手は積水ハウスです。
直前期は、前期比123.4%の2,302億円となりました。
2020.01期は低下しましたが、直前期は拡大し、4期中の最高額となっています。
セグメント別には以下のとおりです。
▶戸建住宅事業
直前期の営業利益・・・前期比131.8%の425億円
▶賃貸住宅事業
直前期の営業利益・・・前期比119.1%の560億円
▶建築・土木事業
直前期の営業利益・・・前期比94.4%の151億円
▶リフォーム事業
直前期の営業利益・・・前期比124.7%の255億円
▶不動産フィー事業
直前期の営業利益・・・前期比115.1%の505億円
▶分譲住宅事業
直前期の営業利益・・・前期比191.8%の145億円
▶マンション事業
直前期の営業利益・・・前期比141.6%の125億円
▶都市再開発事業
直前期の営業利益・・・前期比68.1%の113億円
▶国際事業
直前期の営業利益・・・前期比126.3%の501億円
▶その他
直前期の営業利益・・・営業損失12億円
続いて飯田GHDです。
直前期は、前期比126.4%の1,533億円となりました。
直近の2期連続で比較的大きく拡大しており、直前期の実績は4期中で最高額です。
なお、セグメント別の営業利益額の実績は明示されておりません。
そして住友林業です。
直前期は、前々年(2020.03期:12ヵ月)比221.2%の1,137億円となりました。
直前期は相当に大きく拡大しました。
過去3期は500億円前後で推移していましたが、直前期はその2倍以上のレベルになっています。
なお、当社は経常利益を重視しているとのことで、セグメント別の営業利益は明示されていません。
【総資産推移】
トップは大和ハウスです。
3期連続の拡大です。
また、他の3社に比してその拡大度合いが大きくなっています。
2番手は積水ハウスです。
2兆円台半ば~後半で推移しています。
続いて飯田GHDです。
1兆5,000億円前後での推移です。
そして住友林業です。
3期連続の拡大であり、直前期は比較的大きく拡大しました。
【従業員数推移】
3社とも、3期連続の増大です。
最大の従業員数を誇るのは、やはり大和ハウスです。
2番手は積水ハウス、続いて住友林業、そして飯田GHDとなっています。
今回の「経営規模」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、収益性の中の「利益創出力」を見ていきましょう。
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