ハウスメーカー業界の3回目です。
今回は、「稼ぐ力」の分析です。
取り上げる指標は、EBITDA、
EBITDAマージン、ROEとなります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【EBITDA】
〔EBITDA=営業利益+償却費〕
トップは大和ハウスです。
2020年度は低下しましたが、直前期の実績は4期中の最高値となっています。
営業利益の拡大が主要因ではありますが、償却費も前年の128.0%と大きく膨らんでいます。
2番手は積水ハウスです。
当社も2020年度に下げた後、直前期で4期中の最高値まで拡大しています。
直前期の2021年度における2020年度からの伸び率は、営業利益が123.4%、償却費が110.8%となっています。
続いて飯田GHDです。
2019年度に低下しましたが、翌年度から2期連続で上昇しています。
また、グラフの傾きからもわかるように、直近2期の伸長率が大きくなっています。
直近2期の償却費の伸びは概ね110%強ですが、第1回で見たように営業利益の伸び率がかなり大きくなっています。
最後に住友林業です。
過去3年間は600億円前後の推移でしたが、直前期では急拡大しましした。
2021年度は、前年比で営業利益が239.5%、償却費も143.4%と、ともに大きく拡大しました。
【EBITDAマージン】
〔EBITDAマージン=EBITDA÷売上高〕
トップは飯田GHDです。
直近の2期の伸び率は、4社中群を抜いたレベルと言えます。
直前期では売上高が低下したのですが、前述したEBITDAが伸びており、当マージン指標も高まっています。
2番手は大和ハウスです。
10%台の後半を中心とした推移であり、安定しています。
続いて積水ハウスです。
2期連続で低下した後、直前期で盛り返し、4期中での最高値となりました。
当社は4社中唯一、売上高が3期連続で増大しています。
計算式の分母が増える中、直前期で当指標が高まったのは、文字どおり稼ぐ力が強化されたものと目されます。
そして住友林業です。
4番目とはいえ、3期連続で一直線に上昇させています。
その上昇率は相当に高いレベルであり、特に直前期の上昇度合いが大きくなっています。
注文住宅事業は1975年からとのことで、かれこれ半世紀近くになりますが、何か成長期にいるような勢いが感じられます。
【ROE】
〔ROE=親会社株主に帰属する当期純利益
÷{純資産-(新株予約権+非支配株主持分)}〕
トップは住友林業です。
2期連続で低下していましたが、直前期の上昇レベルは極めて大きくなりました。
直前期では、純資産が135.2%と大きく増大しましたが、当期純利益は286.8%と急拡大しています。
なお、中期経営計画における2024.12期のROE目標値は、15%以上とのことであり、現状レベルを維持することが必要となります。
2番手は大和ハウスです。
やや低下傾向と映ります。
当期純利益は2期連続で低下した後、直前期では115.5%と増加しました。
その一方、純資産は3期連続で増大しています。
なお、「第7期中期経営計画」(5カ年計画)の最終年度2026年度におけるROE目標値は、13%以上とのことです。
2018、2019年度の水準が求められます。
続いて飯田GHDです。
2019年度は比較的大きく落ち込みましたが、その後2期連続で上昇しています。
純資産の伸び率は110%以下であるのに対して、直近2期の当期純利益はそれを大きく超えています。
そして積水ハウスです。
直前期で上昇しましたが、2018、2019年度レベルには至っていない状況です。
直前期の当期純利益は4期間中最高額ですが、純資産が毎年増大しており、その伸び率に追いつけていません。
なお、目標とする経営指標として、ROE10%以上を安定的に確保することとしています。
今回、特に気になったのは、
常に上位に位置する大和ハウスの安定感です。
今回の「稼ぐ力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「資本活用力」を見ていきましょう。
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