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COLUMNSブログ「論語と算盤」

ハウスメーカー業界-4

2022年9月15日

ハウスメーカー業界の4回目です。

 

今回は、「資本活用力」の分析です。

 

 

取り上げる指標は、総資本回転率売上債権回収日数、  

  棚卸資産回転日数流動比率自己資本比率となります。

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

総資本回転率

〔総資本回転率=売上高÷総資本〕

 

 トップ住友林業です。

2018年度は相当に高いレベルでした。

2020年度は9ヶ月間の売上高なので低下は止むを得ないとすると、直前期は2019年度を少し下回る状況です。

これは、2019年度(12ヶ月)比で、売上高が125.5%拡大した反面、総資本は130.8%とそれ以上となったためです。

見方を変えると、売上高と総資本の拡大度合いが概ね似通っており、成長のバランスとしては悪くないと言えるでしょう。

 

 2番手は積水ハウスです。

0.9回をやや上回るレベルで、極めて安定的な推移を見せています。

売上高と総資本がともに少なからず上下している中、ここまで安定的な推移になるということは、何らかのマネジメント指標が関連していると察します。

 

 続いて飯田GHDです。

過去3期は0.9回以上でしたが、直前期はかなり低下しました。

直前期は、総資本が拡大する一方、売上高は低下しました。

 

 そして大和ハウスです。

3期連続での低下です。

3期とも総資本の伸び率が売上高を上回っています。

総資本では、純資産も増えていますが、それ以上の度合いで有利子負債が増えています。

 

 

売上債権回収日数

〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕

 

 回収期間が最短なのは飯田GHDです。

3期連続で長期化傾向ですが、直前期でも1週間以下のレベルになっています。

当社のセグメントはグループ会社単位になっていますが、有価証券報告書では事業分野別の実績が示されています。

それによると、売上高の90%以上(直前期)が分譲事業(戸建・マンション)であることがわかります。

債権回収日数がここまで小さい値なのはそのせいでしょう。

なお、分譲以外の事業である請負工事事業(73458百万円)とその他の事業(48032百万円)の売上高合計と、売上債権の全額(19670百万円:営業債権及びその他の債権+契約資産)をもとに計算すると、直前期で60日弱となります。

 

 2番目に短いのが積水ハウスです。

2019年度でかなり長期化しましたが、直前期では短縮化させています。

当社の最大の売上高セグメントは不動産フィー事業であり、また分譲事業(戸建・マンション)の売上高も多めであるという事業特性上、比較的短期間になっているようです。

 

 続いて大和ハウスです。

40日台前後で推移していますが、僅かながらとはいえ、3期連続で長期化しています。

 

 最も長期なのは住友林業です。

2020年度は9ヶ月なので参考にしないとすると、50日程度の推移となっています。

 

 

棚卸資産回転日数

〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕

 

 回転日数が最短なのは住友林業です。

それでも4ヶ月分弱となっています。

内訳で見ると、仕掛販売用不動産が3期連続で増大しており、特に直前期では2019年度(12ヶ月)比で190%弱まで膨らみました。

なお、2020年度(9ヶ月)を無視すると長期化傾向にあるようです。

 

 2番目に短いのが大和ハウスです。

ただし、3期連続で長期化しています。

棚卸資産の68%強が販売用不動産、26%強が仕掛販売用不動産・造成用土地であり、両者でほぼ95%を占めます。

この2科目が3期連続で伸長しており、特に直前期では前年比135.2%となりました。

また棚卸資産全体では、直近3期間の全てで売上高伸長率を超えて推移しています。

 

 続いて飯田GHDです。

2020年度はかなり短期化しましたが、直前期は以前のレベルまで長期化しました。

直前期では、売上高が減少する中、棚卸資産は前年比で128.5%となりました。

内訳では、最大要因である仕掛販売用不動産が152.0%と大きく膨らんでいます

当社は、目標とする経営指標として在庫回転率年2回転を掲げています。

この在庫回転率の算出式は、〔365日/土地の仕入決済~物件のお客様への引渡しまでの日数〕とのことです。

 

 最も長期なのは積水ハウスです。

2期連続で短縮化しましたが、直前期では170日近くまで長期化しました。

分譲建物と分譲土地の合計で棚卸資産の85%以上を占めています。

この両者の伸び率2期連続で低下していましたが、直前期では122.6%と急増したことが影響しています。

 

 

流動比率

〔流動比率=流動資産÷流動負債〕

 

 トップ飯田GHDです。

2019年度は低下したものの、他の3期は250%以上と高いレベルで推移しています。

 

 2番手は積水ハウスです。

200%強のレベルで、他の指標と同様、安定的に推移しています。

資本構成の観点から流動比率を資本活用力と捉えていますが、当社が見せるこの安定感は、冒頭の総資本回転率と同様、資本活用に相当配慮している印象を受けます。

 

 続いて住友林業です。

3期連続で上昇しており、直前期は200%超のレベルになりました。

 

 そして大和ハウスです。

当社も3期連続で上昇させています。

 

 

自己資本比率

〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕

 

 最も高い比率飯田GHDです。

35%強のレベルで推移しています。

 

 2番手は積水ハウスです。

ぶれ幅が小さく、微増傾向です。

 

 続いて住友林業です。

2期連続の増大で40%をうかがう状態です。

なお、中期経営計画における2024.12期の自己資本比率の目標値は、40%以上とのことです

 

 そして大和ハウスです。

36%強のレベルで推移しています。

 

 

今回、改めて積水ハウス安定性が印象に残りました。

 

今回の「資本活用力」の順位による

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

 

 

今回は以上です。

 

次回は、「資金力」を見ていきましょう。

 

 

 

 

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