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COLUMNSブログ「論語と算盤」

タイヤ業界-2

2022年6月16日

タイヤ業界の2回目です。

 

今回は、売上高利益率からみる収益性で「利益創出力」の分析です。

 

 

取り上げる指標は、総資本営業利益率売上高総利益率

売上高営業利益率売上高純利益率となります。

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

総資本営業利益率

〔総資本営業利益率=営業利益÷総資本(負債+純資産)〕

 

 トップTOYO TIREです。

総じて安定的な推移であり、直前期では10%超と、この4期間で最高値となっています。

他社にみられる2020.12期の落ち込みが小さくなっていますが、これは営業利益額の減少割合総資本の減少割合がほぼ同レベルであったためです。

総資本の減少については、前回述べたように、有利子負債の削減が中心となっています。

 

 2番手は横浜ゴムです。

2020.12期で落としましたが、直前期は急上昇し、この4期間での最高値となっています。

 

 続いてブリヂストンです。

前回見た売上高や営業利益と同様に、2020.12期で大きく低下しています。

まず、売上高の低下理由は新型コロナの感染拡大です。

完成車メーカーの生産調整の影響が直接及び、需要の大きな減少となっています。

次に、当社が際立って営業利益が落ち込んでいる理由は、売上高減少の影響に加え、有形/無形固定資産等の減損損失の計上です。

減損損失を含む「その他の費用」が、2019.12期の約246億円から1,487億円へと6倍強増加しています。

 

 最後は住友ゴム工業です。

安定的ではありますが、値としては高くありません

2020.12期には売上高は下がり、総資本も減少しました。

その一方、前回見たように営業利益は拡大しています。

営業利益拡大の要因は、前年に比較して、のれんや固定資産の減損損失額が減少したためです。

 

 

売上高総利益率

〔売上高総利益率(粗利益率)=売上総利益(粗利益)÷売上高〕

 

 トップTOYO TIREです。

3期連続で拡大しており、前年までは2位でしたが、今回直前期でトップになりました。

 

 2番手はブリヂストンです。

直前期は2位に甘んじる形になりましたが、安定的に高レベルを維持しています。

 

 続いて横浜ゴムです。

着実に30%台前半を維持しています。

 

 最後は住友ゴム工業です。

20%台後半の推移ですが、4社中唯一、直前期で低下してしまいました。

 

 

売上高営業利益率

〔売上高営業利益率=営業利益÷売上高〕

 

 トップTOYO TIREです。

3期連続の1位であり、総じて上昇傾向となっています。

この4期間での最高値となっています。

なお、中期経営計画では、2025年度の連結営業利益率の目標値を14%超連結営業利益額を600億円としています。

 

 2番手は横浜ゴムです。

2020.12期は営業利益の落ち込みが大きく値を下げましたが、直前期は盛り返し、トップと1ポイント差となっています。

直前期は、この4期間の最高値です。

 

 続いてブリヂストンです。

2020.12期の値は前述のような理由によりますが、直前期では大きく盛り返し4期間中で最高値となりました。

トップには約2ポイント差、2番手には約1ポイント差まで追い上げています。

 

 最後は住友ゴム工業です。

2期連続で上昇していますが、他の3社に比較して低レベルになっています。

 

 

売上高純利益率

〔売上高当期純利益率=親会社の所有者に帰属する当期利益÷売上高〕

 

 トップブリヂストンです。

2020.12期の最終赤字から、13ポイントほど伸長させ、4期間中の最高値となっています。

業績の悪いときに減損損失等でウミを出し状況の改善とともに一気に収益を改善させるというパワーが感じられます。

 

 2番手はTOYO TIREです。

当社も4期間で最高値であり、直前期は前年比で約7ポイント上昇させています。

 

 続いて横浜ゴムです。

こちらも4期間中で最高値、直前期は前年比で5ポイント上昇させました。

 

 最後は住友ゴム工業です。

売上高営業利益率と同様に、2期連続の伸長ではありますが、3社と比較すると低レベルの値になっています。

 

 

今回、特に気になったのは、TOYO TIREの収益性の良好さでした。

 

第1回で確認できた経営規模では4番目ですが、

利益総出力」には強さがあります。

 

今回は以上です。

次回は、「稼ぐ力」を見ていきましょう。

 

 

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