タイヤ業界の3回目です。
今回は、「稼ぐ力」の分析です。
取り上げる指標は、EBITDA、EBITDAマージン、ROEとなります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【EBITDA】
〔EBITDA=営業利益+償却費〕
トップはブリヂストンであり、絶対額で圧倒しています。
2020期の低下は、前回述べたように、有形/無形固定資産等の減損損失の計上による営業利益の大幅な減少のためです。
コロナの時期ということもあり、現実的にも必要な対処だったのでしょう。
その後、直前期2021期では、大きく挽回し、4期間での最高額となっています。
2番手は横浜ゴムです。
上下の変動の推移はブリヂストンと似ています。
2020期を除いて上昇傾向であり、直前期の実績は4期間中の最高額です。
続いて、住友ゴム工業です。
2019期は前年から落としましたが、その後2期連続で拡大しています。
当社も直前期は4期間中での最高額となっています。
最後にTOYO TIREです。
2期連続で低下しましたが、直前期は大きく挽回し、4期間中での最高額です。
なお、2020期と2021期における
EBITDAに占める償却費比率の表を見ると
償却費比率は大きく変化していますが
金額ベースでは4社ともはほぼ不変となっています。
【EBITDAマージン】
〔EBITDAマージン=EBITDA÷売上高〕
2021期は上位3社が収束しています。
3社とも売上高の20%を本業の利益として生み出しているので
稼ぐ力としては力強いと言えるでしょう。
トップはブリヂストンです。
2019期はトップ、翌年の2020期は一転して4位、そして直前期2021期は再びトップに返り咲きました。
2番手は、横浜ゴムです。
あと一歩でトップという微細な差です。
当社は、トップのブリヂストンをしっかりベンチマークしているようにうかがえます。
続いて、こちらも僅差と言えるTOYO TIREです。
4期間を通じて、総じて高いレベルを維持しています。
前回の利益創出力で見たように、粗利益率や営業利益率の良好さが表れています。
最後は住友ゴム工業です。
直前期で唯一下げており、上位3社に対してややおいてけぼりの状態です。
前回みたように、売上高営業利益率は上昇しましたが、償却費はほぼ横ばいとなっています。
【ROE】
〔ROE=親会社株主に帰属する当期純利益
÷{純資産-(新株予約権+非支配株主持分)}〕
トップはブリヂストンです。
2020期を除く3期間が10%以上であり、充分なレベルと言えます。
さすが、世界シェアの25%を占める巨大グローバル企業です。
なお、中期事業計画における2023年度のROEの目標値は12%とのことです。
(当方の算出方法では、今回明示したように2021期は達成しています。)
2番手は、急伸したTOYO TIREです。
2019期もトップであり、直前期の2021期はトップに肉薄しています。
なお、中期経営計画では、ROEの目標値を12%以上と定めており、2021年度からの5ヵ年のうちに達成することとしています。
(当方の算出方法では、今回明示したように2021期は達成しています。)
続いて、横浜ゴムです。
当社も2020期を除くと、ほぼ10%台と充分なレベルを維持していると言えます。
なお、中期経営計画における2023年度までのROE目標値は10%とのことです。
(当方の算出方法では、今回明示したように2021期は達成しています。)
最後は住友ゴム工業です。
2018期は比較的良好でしたが、その後はやや低迷しています。
投資家からは少なくとも8%程度を超えるレベルが期待されているでしょうから、今後は取り組みの強化が求められると思われます。
なお、中期計画における2025年度までのROEの目標値は10%以上としています。
今回、印象的だったのは
ブリヂストン、横浜ゴム、TOYO TIREの
3社によるつばぜり合いです。
それに対し、住友ゴム工業はやや目立っていません。
ただし、次回は良好はな実績が見られそうです。
今回は以上です。
次回は、「資本活用力」を見ていきましょう。
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