今回からタイヤ業界を取り上げます。
取り上げる会社は次の4社であり、決算月は4社とも12月です。
株式会社ブリヂストン
住友ゴム工業株式会社
横浜ゴム株式会社
TOYO TIRE株式会社
第1回の今回は「成長力」を確認します。
取り上げる実績値は、売上高推移、営業利益推移、総資産推移、従業員数推移です。
【売上高推移】
ブリヂストンが圧倒的な差をつけてトップです。
世界的な売上順位でもミシュランに肉薄する僅差で、2位に位置しています。
なお、世界の市場シェアについては、ミシュランとブリヂストンのシェアがそれぞれ25%程度、続くグッドイヤーとコンチネンタルがそれぞれ14%程度と、トップ4社で全世界市場の3/4以上、8割近くを占めています。
直前期の売上高は、前期比120.4%の3兆2,461億円となりました。
2期連続で低下した後、直前期で挽回しましたが、2019.12期のレベルまでには回復していません。
事業セグメントは地域別となっています。
直前期は、全セグメントで前期を上回る実績となりました。
▶日本
直前期の売上高・・・前期比112.5%の8,730億円
▶米州(最大の売上セグメント)
直前期の売上高・・・前期比125.0%の14,546億円
▶欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ
直前期の売上高・・・前期比126.1%の6,939億円
▶中国・アジア・大洋州
直前期の売上高・・・前期比120.0%の3,869億円
▶その他
直前期の売上高・・・前期比128.9%の664億円
なお、中期事業計画では
2023年度の売上高目標を3兆3,000億円としています。
2番手は住友ゴム工業であり、ダンロップのブランドで知られています。
世界第5位の売上高規模のようです。
直前期の売上高は、前期比118.4%の9,360億円となりました。
2期連続で低下した後、直前期で挽回し、この4期間では最高額になっています。
事業は、タイヤ事業を中心に、次の3つのセグメントに分けられています。
▶タイヤ事業
直前期の売上高・・・前期比116.9%の7,951億円
▶スポーツ事業
直前期の売上高・・・前期比144.4%の1,014億円
▶産業品他事業
直前期の売上高・・・前期比97.2%の396億円
なお、中期計画では、2025年度までの売上高目標を1兆円以上としています。
続いて横浜ゴムです。
直前期の売上高は、前期比121.7%の6,708億円であり、この4期間で最大額となりました。
また、この対前期伸長率は、この4社の中で最高値です。
事業は次の4つのセグメントに分けられており、全セグメントで前期を上回っています。
▶タイヤ
直前期の売上高・・・前期比117.8%の4,702億円
▶MB(コンベアベルトや各種ホース等)
直前期の売上高・・・前期比106.8%の844億円
▶ATG(農業、林業機械用等の各種タイヤ)
直前期の売上高・・・前期比164.8%の1,073億円
▶その他(スポーツ用品、情報処理サービス等)
直前期の売上高・・・前期比114.6%の89億円
なお、中期経営計画では
2023年度までの売上高目標を7,000億円としています。
最後がTOYO TIREです。
直前期の売上高は、前期比114.5%の3,936億円となりました。
2期連続で低下した後、直前期で増大し、この4期間での最大額になりました。
事業は次の3つのセグメントに分けられています。
全セグメントで前期を上回っています。
▶タイヤ事業
直前期の売上高・・・前期比115.7%の3,546億円
▶自動車部品事業(自動車用防振ゴム等)
直前期の売上高・・・前期比105.0%の390億円
▶その他
直前期の売上高についての記載はありません。
【営業利益推移】
トップはブリヂストンです。
2020.12期が大きく低下したため、直前期の営業利益の伸び率は603.0%となりました。
金額ベースでは2019.12期を上回りました。
セグメント別は以下のとおりですが、全て「調整後営業利益」となっています。
▶日本
直前期の調整後営業利益・・・前期比129%の1,170億円
▶米州(最大の売上セグメント)
直前期の調整後営業利益・・・前期比174%の1,906億円
▶欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ
直前期の調整後営業利益・・・前期209億円の欠損に対して、421億円
▶中国・アジア・大洋州
直前期の調整後営業利益・・・前期比168%の420億円
▶その他
直前期の調整後営業利益・・・前期5億円の約10倍となる51億円
なお、中期事業計画の2023年度では、
調整後営業利益率の目標値は13%レベル、
調整後営業利益額は4,500億円レベルとしています。
2番手は横浜ゴムです。
やはり2020.12期は落ち込みましたが、直前期の営業利益の伸び率は232.4%となり、4期間中で突出した金額となっています。
セグメント別は以下のとおりですが、全て「事業利益」となっています。
▶タイヤ
直前期の事業利益・・・前期比178.0%の427億円
▶MB(コンベアベルトや各種ホース等)
直前期の事業利益・・・前期比130.5%の38億円
▶ATG(農業、林業機械用等の各種タイヤ)
直前期の事業利益・・・前期比167%の147億円
▶その他(スポーツ用品、情報処理サービス等)
直前期の事業利益・・・前期比1,405.1%の11億円
なお、中期経営計画では、
2023年度までの事業利益率(対売上高)の目標値は10%、
事業利益額は700億円とのことです。
続いて、TOYO TIREです。
2期連続で低下していましたが、直前期は大きく拡大し、4期中で最高額になっています。
セグメント別の実績は以下のとおりです。
▶タイヤ事業
直前期の営業利益・・・前期比143.7%の551億円
▶自動車部品事業(自動車用防振ゴム等)
直前期の営業利益・・・前期の営業損失20.2億円に対して営業損失20.1億円
▶その他
直前期の営業利益についての記載はありません。
なお、経営計画では2025年度の連結営業利益額の目標値を600億円としています。
最後は住友ゴム工業です。
直前2期は拡大していますが、4期間中で最大実績の2018.12期までには至っていません。
セグメント別は以下のとおりですが、全て「事業利益」となっています。
▶タイヤ事業
直前期の事業利益・・・前期比101.1%の414億円
▶スポーツ事業
直前期の事業利益・・・前期7.4億円の事業損失に対して86億円
▶産業品他事業
直前期の事業利益・・・前期比61.0%の19億円
なお、中期計画では、
2025年度までの事業利益の目標額を1,000億円以上としています。
【総資産推移】
ブリヂストンがトップです。
主だった要因として、2019.12期は有利子負債の増加、2020.12期は純資産の減少、2021.12期は純資産の増加によって変動しています。
2番手は住友ゴム工業です。
前述同様に、2019.12期は純資産の増加、2020.12期は純資産と有利子負債がともに減少、2021.12期は主に純資産の増加によって変動しています。
続いて横浜ゴムです。
2019.12期は純資産の増加、2020.12期は主に有利子負債の減少、2021.12期は純資産の増加によって変動しています。
最後はTOYO TIREです。
直前期で急増しました。
2019.12期は純資産の増加、2020.12期は有利子負債の減少、2021.12期は純資産の増加によって変動しています。
【従業員数推移】
売上高順位と同様に、多い順でブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴム、TOYO TIREとなっています。
このうち、住友ゴム工業は3期連続で微増させており、他の3社は2期連続で減少しています。
今回は以上です。
次回は、収益性の中の「利益創出力」を見ていきましょう。
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