ビール業界の2回目です。
今回は、売上高利益率からみる収益性で「利益創出力」の分析です。
取り上げる指標は、総資本営業利益率、売上高総利益率、
売上高営業利益率、売上高純利益率となります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【総資本営業利益率】
〔総資本営業利益率=営業利益÷総資本(負債+純資産)〕
サントリーがトップです。
4社の中で最も安定した推移です。
総資本の増加度合い、前回見た営業利益額の推移、ともに安定的と言えます。
ただし、2018.12期からすると低下傾向になっています。
2番手はアサヒGです。
2020.12期は、総資本が拡大して営業利益が大きく減少したため、この指標が急落しました。
直前期は、特に営業利益の挽回により復元しています。
ただし、まだ2018.12期のレベルには追い付いていません。
3番手はサッポロです。
2020.12期は営業欠損だったので、マイナス値でした。
直前期では、前回触れたように営業利益が大きく伸長し、総資本は負債削減で縮小したため、結果大幅に良化しています。
最後はキリンです。
総資本が微増する中、前回述べたように営業利益が低下したことにより、直前期では4社中で唯一の低下となりました。
【売上高総利益率】
〔売上高総利益率(粗利益率)=売上総利益(粗利益)÷売上高〕
トップはサントリーです。
かなり高水準と映りますが、微妙に逓減しています。
キリンが2番手です。
営業利益の低下とは裏腹に、粗利益率は直前期で上昇しています。
アサヒGが3番手です。
売上高、営業利益と同様に、2期連続で低下した後、直前期では上昇しました。
サッポロの粗利益率は、この4社の中では低くなっています。
売上高が微増した中、上昇してはいますが、2018.12期とはまだ1ポイント以上の差があります。
【売上高営業利益率】
〔売上高営業利益率=営業利益÷売上高〕
サントリーがトップです。
10%以上を維持しており、加えて直前期では上昇しました。
総資本営業利益率は0.2ポイントの上昇でしたが、この指標は0.5ポイントの上昇です。
アサヒGが続きます。
営業利益の復元が力強く、直前期は前年から2.8ポイント上昇させており、2019.12期と同等レベルになっています。
サッポロが3番手です。
直前期は5.0%であり、この4期中で最高値になっています。
やはり、営業利益の挽回が力強く感じます。
キリンは、営業利益の低下により、指標も下がりました。
前回解説した実績も含めると、直前3期は営業利益に関する比率が不調です。
【売上高純利益率】
〔売上高当期純利益率=親会社の所有者に帰属する当期利益÷売上高〕
アサヒGがトップです。
直前期は6.9%と、4期中での最高値にあと一歩というレベルです。
営業利益の挽回が、最終利益も良好にさせたという形です。
今後もこの勢いが期待されます。
サントリーが続きます。
安定的と映りますが、推移としては低下傾向です。
キリンが3番手ですが、物足りないレベルでしょう。
今後に期待したいところです。
最後はサッポロです。
4社中最下位とはいえ、1.1ポイント、0.8ポイントと、2期連続で比較的大きく上昇させています。
今後も引き続きの上昇が期待されるところです。
今回、特に気になったのは、
キリンが低利益率の渦中から脱せていない状況です。
今回は以上です。
次回は、「稼ぐ力」を見ていきましょう。
※当サイトの「注意・免責事項」ご確認ください。