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COLUMNSブログ「論語と算盤」

ビール業界-1

2022年5月23日

今回からビール業界を取り上げます。

 

取り上げる会社は次の4社であり、決算月は4社とも12月です。

 

           サントリーホールディングス株式会社

           アサヒグループホールディングス株式会社

           キリンホールディングス株式会社

           サッポロホールディングス株式会社

 

 

1回の今回は「成長力」を確認します。

 

取り上げる実績値は、

売上高推移営業利益推移総資産推移従業員数推移です。

 

 

売上高推移

 

 

 各社における2020.12期の減少は、

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う

業務用酒類の落ち込みが主因です。

 

 サントリートップです。

直前期の売上高は、前期比108.4%22,857億円となりました。

事業は多面的と言え、「飲料・食品」、「酒類」、「その他」の3セグメントに分かれます。

全セグメントで前期より拡大しています。

  ▶飲料・食品:清涼飲料水等

    直前期の売上高・・・前期比107.7%12,638億円

  ▶酒類:スピリッツ、ビール、ワイン等

    直前期の売上高・・・前期比109.3%7,851億円

  ▶その他:健康食品(サプリメント)等

    直前期の売上高・・・前期比109.2%2,367億円

国内と海外の売上高は、以下のようになっています。

  ◆国内直前期・・・前期比101%の1兆2,102億円

  ◆海外直前期・・・前期比119%の1兆755億円

 

 2番手はアサヒGです。

2期連続で低下した後、直前期において前期比110.3%22,361億円となりました。

事業は以下の5つのセグメントに分けられています。

当社も、全セグメントで前期より拡大しています。

  ▶酒類:ビール中心

    直前期の売上高・・・前期比103.3%7,221億円

  ▶飲料:清涼飲料水等

    直前期の売上高・・・前期比101.3%3,578億円

  ▶食品:栄養機能食品等

    直前期の売上高・・・前期比102.0%1,259億円

  ▶国際:国際事業、欧州事業、オセアニア事業、東南アジア事業

    直前期の売上高・・・前期比128.3%1176億円

  ▶その他

    直前期の売上高・・・前期比101.2%1,060億円

5セグメントの合計に対し、調整額として△933億円が加算されています)

 

 3番手はキリンです。

直近の2期において低下しており、直前期は前期比98.5%18,216億円となりました。

事業は以下の5つのセグメントに分けられています。

  ▶ 国内ビール・スピリッツ事業:ビール、発泡酒等

    直前期の売上高・・・前期比101.5%の6,613億円

  ▶ 国内飲料事業:清涼飲料水等

    直前期の売上高・・・前期比96.9%2,444億円

  ▶ オセアニア酒類事業:オセアニア地域におけるビール、洋酒等

    直前期の売上高・・・前期比74.0%2,163億円

  ▶ 医薬事業:医薬品の製造、販売

    直前期の売上高・・・前期比110.7%3,517億円

  ▶ その他:メルシャン等

    直前期の売上高・・・前期比103.5%3,479億円

 

 最後はサッポロです。

2期連続で低下した後、直前期は前期比100.6%4,372億円となりました。

事業は以下の4つのセグメントに分けられています。

  ▶酒類事業:ビール等

    直前期の売上高・・・前期比101.5%2,897億円

  ▶食料飲料事業:飲料水、加工食品等

    直前期の売上高・・・前期比99.7%1,255億円

  ▶不動産事業:恵比寿ガーデンプレイスタワー等

    直前期の売上高・・・前期比94.0%219億円

  ▶その他・調整額

    直前期の売上高・・・前期比96.5%2億円

なお、「グループ経営計画2024」において

売上収益成長率を年平均2%以上とする目標を掲げています。

 

 

営業利益推移

 

 

 サントリーが、売上高の順位と同様にトップです。

直前期は、前期から復活の兆しが見られます。

直前期の実績では、飲料・食品セグメントの営業利益は前期比120%、酒類セグメントは同98%、その他セグメントは同177%となっています。

酒類セグメントの減少は、やはり感染症拡大に伴う業務用の落ち込みですが、かなり軽減してきているようです。

その他事業では、セサミンやロコモアなどサプリメントが好調とのことです。

 

 続いてアサヒGです。

直前期の営業利益は前期比1.5倍以上と大きく伸ばしており、この4期間では最高額となっています。

セグメント別では、感染症拡大の影響から、酒類が前年比79%程度と大きく下げました

また、食品も同94%程度と下げています。

それに対して、飲料は121.8%と健闘しています。

これは、ブランドの選択と集中による固定費全般の効率化等によるものとのことです。

また、売上高最大セグメントの国際が113.2%と拡大しています。

これは主にCUB事業が貢献したようです。

(CUB事業・・・豪州のビール・サイダー事業であり、

2020年6月にCUB Australia Holding Pty Ltdの買収・取得手続きが完了

 

 キリンが続きます。

4社中唯一直前期で下げました

また、4期中で最低レベルになっています。

有価証券報告書による事業利益」の結果は以下の内容です。

  ◩国内ビール・スピリッツ事業

    売上収益は伸びたものの長期的視点での

ブランド強化に伴う販売費の増加で事業利益6.6%減少

  ◩国内飲料事業

    販売数量の減少に伴う売上収益の減少、

商品・容器構成差異等の悪化により、事業利益は3.0%減少

  ◩オセアニア酒類事業

    クラフトビール戦略の進展やコスト削減の

取り組みが奏功し、事業利益は円ベースで20.0%増大

  ◩医薬事業

    売上収益および売上総利益の増加により、事業利益は3.7%の増大

以上、直前期の「事業利益」は前年から微増しているようですが、「営業利益」としては3割以上下げています。

上記から推測すると、最大の売上高である国内ビール・スピリッツ事業の低下が主要因と想定されます。

 

 最後はサッポロです。

直前期は、前年の大きな営業欠損から挽回し4期中で最大の金額になりました。

酒類事業では、感染症拡大の影響によりビール自体は前年比で減少したようです。

ただし、「濃いめのレモンサワー」、「男梅サワー」、スコッチウイスキーの「デュワーズ」、焼酎の「こくいも」などの売上収益が拡大し、セグメントの営業利益は前期約△49億円から直前期は約21億円と挽回しています。

不動産事業では、物件ポートフォリオの戦略的な組み換えが奏功したようであり、当セグメントの営業利益は約119億円から約293億円まで拡大させています。

食品飲料事業とその他の営業利益は、前年同様に黒字化していませんが、前年よりは赤字幅を縮めています。

 

 

総資産推移

 

 

 サントリー最大です。

直前期が最も伸び率が高くなっており、3期連続の拡大です。

 

 アサヒG2番手です。

2020.012期において、かなり拡大しました。

これは主として、前述のCUB事業の買収に伴う有利子負債、及びのれんの増加によるものです。

 

 キリンが続きます。

3期連続の拡大ですが、伸び率は逓減しています。

 

 そしてサッポロ

3期連続の縮小となっています。

直前期の低下要因は、専ら負債の削減によるものです。

 

 

【従業員数推移】

 

 

 4社とも概ね横ばいのように映ります。

キリンサッポロは、直前期においてやや多めの減少となっています。

 

 

今回は以上です。

 

次回は、収益性の中の「利益創出力」を見ていきましょう。

 

 

 

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