ビール業界の3回目です。
今回は、「稼ぐ力」の分析です。
取り上げる指標は、EBITDA、EBITDAマージン、ROEとなります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【EBITDA】
〔EBITDA=営業利益+償却費〕
サントリーがトップです。
4期間ともトップであり、高水準を維持しています。
明細表の2020&2021.12期を確認すると、一定の償却費を保っているようです。
続いてアサヒGです。
直前期は急増しており、この4期間で最大になりました。
営業利益額が1.5倍以上になったことが最大の要因でしょうが、償却費も増しています。
キリンは、売上の減少に伴う営業利益の減少により、直前期で低下しています。
償却費については、2020と2021.12期における差はあまりありません。
サッポロは、2020.12期が営業欠損でしたので、この値も極小化しました。
しかし、直前期は営業利益を大きく挽回したことから、4期中最大の値になっています。
【EBITDAマージン】
〔EBITDAマージン=EBITDA÷売上高〕
トップはサントリーであり、直近3期は16%台と、高いレベルで安定しています。
収益力が相当に強いと感じます。
続いてアサヒGです。
2020.12期を除けば、15%台を維持できる収益力がうかがえます。
サッポロが続きます。
直前期の業績回復のおかげで、この値も4期中最高値になっています。
キリンは、直前期に低下しました。
今期どれだけ挽回できるか、正念場と感じます。
【ROE】
〔ROE=親会社株主に帰属する当期純利益
÷{純資産-(新株予約権+非支配株主持分)}〕
グラフは、各社が急に収束した形状に映ります。
キリンがトップです。
しかも、直近の2期連続でトップです。
2020.12期に上昇したのは、算出式の分子となる当期利益が高まった上に、分母となる純資産が減少したためです。
この純資産の減少は、自社株買いによるものです。
それに対して、2021.12期の低下は、真逆の動きです。
つまり、売上高の減少に伴って当期利益が低下し、自社株買いもほとんどなく内部留保が拡大することで純資産が膨らんだという格好です。
サントリーが2番手ですが、3期連続の低下となっています。
分母の純資産は3期連続の拡大ですが、分子の当期利益は低下傾向です。
2018期に248億円あった金融費用(支払利息が主)は、有利子負債の低下とともに、221億円、180億円、168億円と4期間で逓減しています。
しかし一方で、法人所得税費用が、2018期から510億円、591億円、714億円、820億円と金融費用以上に拡大しています。
このことから、当期利益が伸び悩んでいます。
3番手がアサヒGです。
2期連続で低下した後、直前期で挽回しています。
ただし、2018.12期や2019.12期との差はまだ大きいと言え、傾向としては低下しています。
純資産は3期連続、かつ比較的大きい伸び率で拡大しています。
一方の当期利益は、2期連続で低下した後、直前期で4期中最大のレベルまで大きく拡大しました。
サッポロは4位ですが、直近の上昇率が極めて高くなっています。
その結果、4期中最大で、上位3社と遜色のないレベルになっています。
この4期間は、純資産の変動はあまり大きくありません。
よって、当期利益の変動がこの実績に表れている状態です。
今回、特に気になったのは、サッポロの復活の兆しです。
今後の業績に期待したいと思います。
今回は以上です。
次回は、「資本活用力」を見ていきましょう。
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