眼鏡業界の2回目です。
今回は、売上高利益率からみる収益性、「利益創出力」の分析です。
取り上げる指標は、総資本経常利益率、売上高総利益率、
売上高営業利益率、売上高純利益率となります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【総資本経常利益率】
〔総資本経常利益率=経常利益÷総資本(負債+純資産)〕
ジンズHDがトップですが、低下傾向になっています。
直前期の値を2年前と比較すると半減した格好です。
この大きな変化は、2年前の総資本の増大、そして直前2期連続の経常利益の低下によるものです。
2年前に、転換社債型新株予約権付社債200億円を発行したことで総資本が増大しました。
これは、事業拡大、新規事業開発、持続的成長をめざした資金調達とのことです。
続いてビジョナリーHDです。
2020年決算期は経常欠損となりましたが、直前期は大きく伸びました。
前回述べた「選択と集中」の施策により、売上高は伸びずとも利益を確保できる体制を構築しているようです。
三城HDは、ほぼ横ばいながらも、2期連続で上昇しています。
愛眼は3期連続の減少であり、直前期では経常欠損となりました。
ちなみに、メガネトップの総資本経常利益率の直近3期の推移は、8.9%→10.8%→12.5%と上昇基調になっています。
【売上高総利益率】
〔売上高総利益率(粗利益率)=売上総利益(粗利益)÷売上高〕
ジンズHDの粗利益率は、3期連続で上昇しており、加えて他の3社に比較して相当に高いレベルです。
2番手は愛眼です。
2期連続の上昇であり、70%台に乗せてきました。
三城HDは、3期連続の上昇となっています(直前期も0.05ptアップ)。
ビジョナリーHDは、2期連続で低下した後、直前期で上昇しましたが、その度合いは大きくありません。
ちなみに、メガネトップの売上高総利益率の直近3期の推移は、66.1%→66.0%→66.0%となっており、安定的と言えます。
【売上高営業利益率】
〔売上高営業利益率=営業利益÷売上高〕
トップのジンズHDは、2期連続の低下となりました。
粗利率が高く、営業利益率が低いので、販管費が増大していることがうかがえます。
従業員が増加傾向であることから給与手当、そして広告宣伝費、両者が3期連続の増加となっており、地代家賃や減価償却費等も増加しています。
2番手はビジョナリーHDです。
直前期では、前年の営業欠損を挽回しました。
粗利率以上に営業利益率が上昇しており、「選択と集中」施策の効果は、主に販管費の削減ということになるようです。
給与および手当が9.2%低下しており、また店舗の選別効果と目される地代家賃の減少もあります。
三城HDは、前年に上昇させましたが、直前期では欠損になってしまいました。
愛眼は3期連続の低下であり、こちらも営業欠損となっています。
粗利益率を上昇させましたが、如何せん売上の落ち込みをカバーするには至らなかった状況のようです。
ちなみに、メガネトップの売上高営業利益率の直近3期の推移は、8.9%→10.2%→13.3%と上昇傾向になっています。
【売上高純利益率】
〔売上高当期純利益率=親会社の所有者に帰属する当期利益÷売上高〕
ジンズHDは前年にかなり下げましたが、直前期でしっかり挽回しています。
直前期の経常利益額は前年以下でした。
しかし、前年は臨時休業損失や雑貨事業の撤退損失などの特別損失が嵩み、当期純利益は結果的に大きく減少してしまいました。
直前期においては、これら特別損失が軽減したため、当期純利益額は前年の2倍近くに拡大しています。
続いてビジョナリーHDです。
直前期は、売上高が減少したにもかかわらず、販管費の削減による営業利益の大幅回復を実現し、続く経常利益も回復させ、続く当期純利益率も前年比で4.6pt上昇させています。
三城HDは、額は大きくありませんが、当期純損失となっています。
よって、直近2期は上昇傾向ながらも、4期連続のマイナス値となりました。
トンネルを抜けるには、あと一歩という印象です。
愛眼は、2期連続でマイナスとなりました。
ちなみに、メガネトップの売上高当期純利益率の直近3期の推移は、4.5%→5.3%→6.9%と上昇傾向です。
今回、特に気になったのは、
コロナ禍の需要減退による各社の苦戦状況です。
その中で、ビジョナリーHDの業績回復は注意を引きます。
また、部分的にしか取り上げていませんが、
メガネトップの安定的な収益力の上昇も目を引きます。
今回は以上です。
次回は、「稼ぐ力」を見ていきましょう。
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