子曰わく、巧言令色、足恭なるは、左丘明之を恥ず、丘も亦之を恥ず。怨を匿して其の人を友とするは、左丘明之を恥ず、丘も亦之を恥ず。〔公冶長第五〕
(先師が言われた。
「言葉たくみに、顔色をやわらげて人の機嫌をとり、度をこしてうやうやしく振舞うのを左丘明は恥じたが、私も恥じる。怨みをかくして、友として親しく交わるのを左丘明は恥じたが、私もまた恥じる」)
※左丘明、孔子の尊敬する先輩か、古代の有徳の人か不明。
<出典:『仮名論語』伊與田覺著 致知出版社>
巧言令色鮮し仁
この言葉が最初に出てくるのは、
論語の第一章に当たる “ 學而第一 ”です。
当ブログでも以前に触れています
人は、腹を割って話をすることで相手を見定めます。
はたして信用できるか否か
そのため、会った端から笑みを浮かべて近づく者には警戒心を抱きます。
何か企みを持っており、それを気取られないために柔和な人物を演じて、相手の心に付け入ろうとするのです。
その企みとは、自分が得になるように、その相手を使ってやろうということでしょう。
“ 仁 ” の心などひとかけらもありません。
つまり、攻撃心を隠す振舞いです。
他方、欧米では初対面のときから笑顔で近づくことが人間関係の構築に重要であるとされています。
また、手をポケットに入れたままにしないこと、両手は常にテーブルの上に置くことなど、丸腰であることを示すことも大事なマナーとされています。
つまり、攻撃心がないことを示す振舞いです。
同じ人類でも、生活環境や歴史・文化が違えば、考え方や価値観も違ってきます。
さて、私たちはどうしますか。
思うに、笑顔は必要と考えます。
仏頂面や険しい顔つきは、周囲に緊張感や緊迫した雰囲気を感じさせてしまいます。
しかし、だからといって、ニヤニヤするのはよくありません。
そんな表情の選挙ポスターが何枚も掲示されているのを見て、素敵なシーンと感じ入る人はまずいません。
穏やかな柔和さを湛えながらも、発する言葉には注意すべきです。
表面的で軽薄な内容や語り口であるほど、“ 巧言令色鮮し仁 ” となってしまいます。
信用できる人物か否か
これを見定めことが重要
大事なことは発する言葉
その重さ
真剣さ
志
滲み出る覚悟
“ 聡明才弁 ”
よりも
“ 磊落豪雄 ”
よりも
“ 深沈厚重 ”
であること