子曰わく、父母に事えては、幾くに諫む。志の從われざるを見ては、又敬して違わず、勞して怨みず。
(先師が言われた。
「父母にもし間違いがあれば、それとなしにおだやかに諫める。不幸にして聞き入れて貰えなくても、変わらずに敬ってさからうことなく、父母のために骨折っても怨みには思わない」)
<出典:「仮名論語」伊與田覺著 致知出版社>
自らの命に代えても守るべきもの、それは子の命です。
かように、父母が子を思う気持ちは深く重いものです。
何物にも替えがたい自分の子
その子が自らの足で立ちあがり
やがて自分の信念や志に生きるのなら
親にとってはこの上なく嬉しいこと
親は、子の意思を尊重します。
考え方の正誤など所詮は価値観の違いです。
よって、子が親に意見すべきときには礼をもって行うことです。
また、子が自虐によって親を守ろうとすることを、親は決して望みません。
このような親の心を慮り
その心に感謝し
そして次は自分が親になる
その親の心を受け継いで
このような親子の深い心情的関係が連綿と継承されるのなら
その国の人々は幸せでしょう。
親は自分の子を優しくも厳しく育て、正しい人として成人させる。
子は親の教えを守りながらも、多様な知識と知恵を得ていく。
やがて子は、自らの人生という旅に出る。
親の役目の本質はこれで完了
親の役目を果たす上で最も注意すべきは
他ならぬ親自らの言動、そして親自身のあり方です。
子は親の言うとおりにはなりません
がしかし
子は親のするとおりになるのです
親と子の相互が礼の心で接する
そんな親子関係を築くこと
子が成長したのなら親はその役目を終えますが、人としての役目は他にもあります。
次は社会を良くすることであり、それへの貢献です。
格物、到知、誠意、正心、修身、斉家
そしていよいよ、治国、平天下へ
〔大学八条目〕
人生に課された最も重要な役目です
それには完成はありません
だからこそ日々継続し代々継承していかねばなりません
この価値ある素晴らしい役目に取り組みましょう