ソニーの2回目です。
今回は、売上高と営業利益について、セグメント(区分)別に見ていきましょう。
各セグメントの事業内容の概略は以下のとおりです。
・G&NS:ゲーム&ネットワークサービス。ネットワークサービス事業、家庭用ゲーム機の製造・販売及びソフトウエアの制作・販売等。
・音楽・・・音楽制作、音楽出版及び映像メディア・プラットフォーム事業等。
・映画・・・映画製作、テレビ番組制作及びメディアネットワーク事業等。
・EP&S・・・エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション。テレビ事業、オーディオ・ビデオ事業、静止画・動画カメラ事業、スマートフォン事業及びインターネット関連サービス事業等。
・I&SS・・・イメージング&センシング・ソリューション。イメージセンサー事業等。
・金融・・・日本市場における個人向け生命保険及び損害保険を主とする保険事業ならびに日本における銀行業。
・その他分野・・・ディスク製造事業、記録メディア事業等(このセグメントは割愛します。)
下図は、セグメント別売上高です。
売上高は、G&NS、EP&S、金融、I&SS、音楽、映画の順に大きくなっています。
次に、営業利益額を見てみます。
営業利益額では、G&NS、続いて音楽となっており、この2分野で営業利益のほぼ半分を占めています。以降、金融、I&SS、EP&S、映画という順番です。
収益性の面からでは、各セグメントの営業利益率は区々です。
それでは、セグメント別の売上高と営業利益についてみていきましょう。
①G&NS
売上高が最大であり、営業利益額も前年比で4割以上伸びています。
売上高拡大の要因は、ゲームソフトウエアおよびPS5のハードウエア売上増加が中心とのことです。
巣ごもり需要というコロナ禍の追い風も一要因でしょうが、PS Plusというネットワークサービスが奏功した点は見逃せません。
これは、ロボット「aibo」の月々のえさ代に続く、サブスクリプション・ビジネスの取り組みであり、今後も拡大するのではないかと想定されます。
2021年度は、半導体の供給不足が懸念材料となりますが、売上高では2兆9000億円と増収の、営業利益では3,250億円と減益の見通しとしています。(2021年4月28日付「2020年度連結業績概要」より引用。以下同じ。)
②音楽
音楽分野は、前年対比で売上高10%超、営業利益30%超と増収増益、さらに営業利益率20%という高収益事業です。
増収の要因は、ストリーミング配信の収入増加、そして「鬼滅の刃」等によるアニメ事業の売上増加などが要因となっています。
2021年度は、売上高では9,900億円と増収の、営業利益では1,620億円と減益の見通しです。
③映画
減収となりましたが、営業利益は増しています。
減収要因は、やはりコロナ感染拡大による映画館の閉鎖、テレビ番組制作でも制作の遅れに伴う納入数の減少ということです。
増益要因は、広告宣伝費の減少や各種費用の見直しによるもののようです。
2021年度は、売上高では1兆1,400億円と大幅増収の、営業利益では830億円と増益の見通しです。
④EP&S
売上高は2番目に大きい分野ですが、営業利益額は5番目という事業特性です。
ただし、対前年比で売上高は微減ですが、営業利益額は60%近く上昇させており、営業利益率も高まってきています。
売上高の減少は、デジタルカメラ、放送・業務用機器、オーディオ・ビデオの販売台数の減少によるものであり、増収はオペレーション費用の削減と、製品ミックスの改善によるものとのことです。
また、スマートフォン事業の収益構造の改善が実現して営業欠損から脱却したということは、今後の展開として心強さが感じられます。
2021年度は、売上高では2兆2,600億円と増収の、営業利益では1,480億円と増益の見通しです。
⑤I&SS
この分野は減収減益となり、営業利益率も大きく低下しました。
モバイル機器向けのイメージセンサーについて、米中摩擦の影響を直接的に受けています。
減収要因は、製品ミックスの悪化、為替の影響、デジカメ向けのイメージセンサーの販売数量の減少によるもののようです。
減益要因は、研究開発費や減価償却費の増加、在庫の評価減などとのことです。
このような状況ですが、今後3年間の設備投資は直近3年間のそれよりも増やす予定であり、積極的に取り組んでいくようです。
2021年度は、売上高では1兆1,300億円と増収の、営業利益では1,400億円と減益の見通しです。
⑥金融
営業収入、営業利益とも、対前年比27%ほどの拡大となっています。
収入に関しては、ソニー生命における運用益の増加、およびソニー銀行における有価証券評価損益の改善が中心とのことです。
営業利益では、上述に加え、ソニー損保における自動車保険の損害率の低下が加わったようです。
2021年度は、売上高では1兆4,000億円と減収の、営業利益では1,700億円と増益の見通しです。
次回は、貸借対照表の動きについて見てみましょう。
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