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COLUMNSブログ「論語と算盤」

オフィス家具業界-6

2023年11月30日

業界売上高トップ4

有価証券報告書 財務分析

 

<オフィス家具業界・・・第6回>

~最終回~

 

 

6回分析テーマ・・・投資力

分析指標値:      

      営業CF対投資CF比率

        各社別の営業/投資CF推移

ROIC 

WACC  

 

(各指標の説明はこちら

 

 

営業CF対投資CF比率

〔営業CF対投資CF比率=営業CF÷投資CF〕

 

 最も100%に近いのはイトーキです。

もっとも、直近の投資CFがプラスなので便宜上100.0%にしています。

 

 2番手は内田洋行です。

前年の2021年度は、営業CFがマイナスでしたが、直近はプラスとなりました。

 

 続いてオカムラです。

 

 そしてコクヨです。

 

続いて各社の推移を見ていきます。

 

 

各社別 営業/投資CF推移

〔実額ベース〕

 

 コクヨ直近の営業CFは前年比44.0%の96億円です。

税金等調整前当期純利益は、前年の218億円から234億円へと増加していますが、売上債権の増加や棚卸資産の増加、そして法人税等の支払額が前年の3倍強になるなどの要因で、営業CF合計は前年から半減しました。

 一方、投資CFは前年比230.0%の33億円です。

(前年の値はプラスでした)

有形/無形固定資産の取得による支出はほぼ前年並みでしたが、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が85億円計上されたことが最大の要因です。

 以上から、直前期のFCF(フリー・キャッシュフロー)は63億円のプラスとなりました。

 

 

 

 オカムラ直近の営業CFは前年比253.2%の135億円です。

税金等調整前当期純利益は前年の217億円から231億円へと増加しており、売上債権や棚卸資産の増加額など、多くの科目で前年よりマイナス額が小さくなっています。

 一方、投資CFは前年比294.2%の67億円です。

有形/無形固定資産の取得による支出が、前年より70億円強増加していることが最大要因です。

 以上から、直前期のFCFは68億円のプラスとなりました。

 

 

 

 内田洋行直近の営業CFは前年比234.3%の73億円です。

税金等調整前当期純利益は前年の80億円から92億円へと増加しています。

前年60億円弱のマイナスを生んだ売上債権が、直近で改善したことが主要因です。

また、仕入債務の増大などもプラス要因になっています。

 一方、投資CFは前年比221.0%の49億円です。

有形/無形固定資産の取得による支出はやや微減していますが、ほぼ前年並みです。

投資有価証券の取得による支出が30億円弱計上された点が大きく影響しています。

 以上から、直前期のFCFは24億円のプラスとなりました。

 

 

 

 イトーキ直近の営業CFは前年比209.2%の58億円です。

税金等調整前当期純利益が前年の15億円から84億円へと大きく増加したことが主要因です。

 一方、投資CFは前年比△520.8%、49億円のプラスです。

有形固定資産の取得による支出は、前年の21億円から41億円へとほぼ倍増していますが、有形固定資産の売却による収入が96億円あったことが大きく影響しています。

 以上から、直前期のFCFは107億円のプラスとなりました。

 

 

ROIC

〔ROIC=(営業利益−法人税等)÷(純資産+有利子負債)〕

 

 トップ内田洋行です。

十分に高いレベルで、かつ安定的に推移しています。

 

 2番手はオカムラです。

2期連続で上昇しており、次期は6%台が期待されます。

 

 続いてコクヨです。

当社も2期連続の上昇であり、次期は6%台が視野に入った状態です。

 

 そしてイトーキです。

低いレベルでの推移であり、直近では4社中で唯一低下しています。

 

 

WACC

〔WACC=株主資本コスト×(株主資本÷(株主資本+有利子負債))

+負債コスト(1-実効税率)×(有利子負債÷(株主資本+有利子負債))〕

 

 

 〔ROIC-WACC〕が最大なのはコクヨです。

ROIC3番手で決して十分なレベルとは言えませんが、WACCが低く抑えられています。

この要因は、β値が小さく株主資本コストが抑制されているからです。

 

 2番手は内田洋行です。

WACCは4社中最大です。

これは、β値がやや大きく株主資本コストを高めており、加えて調達資本の95%近くが株主資本となっているためです。

負債による資本を増やすことで、より高いレベルの資本効率が見込まれます。

 

 続いてオカムラです。

ただし、マイナス値となっており、経済的付加価値が生み出されていません。

β値が決して低くない中、株主資本が調達資本の90%ほどを占めています。

 

 そしてイトーキです。

当社も〔ROICWACC〕がマイナスです。

調達資本中の25%強を有利子負債が占めていますが、如何せんβ値が大きく、株主資本コストが高くなってしまいます。

また、ROICの向上も望まれます。

 

 

今回の「投資力」の順位による

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

※営業CF対投資CF比率の順位は、100%との乖離幅が

最小となる会社から1~4位としています。

 

 

また、全6回の分析における順位の

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

 

 

以上で、オフィス家具業界を終了します。

 

 

 

 

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