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有価証券報告書 財務分析
<オフィス家具業界・・・第6回>
~最終回~
第6回分析テーマ・・・投資力
分析指標値:
営業CF対投資CF比率
各社別の営業/投資CF推移
ROIC
WACC
(各指標の説明はこちら)
【営業CF対投資CF比率】
〔営業CF対投資CF比率=営業CF÷投資CF〕
最も100%に近いのはイトーキです。
もっとも、直近の投資CFがプラスなので便宜上100.0%にしています。
2番手は内田洋行です。
前年の2021年度は、営業CFがマイナスでしたが、直近はプラスとなりました。
続いてオカムラです。
そしてコクヨです。
続いて各社の推移を見ていきます。
【各社別 営業/投資CF推移】
〔実額ベース〕
コクヨの直近の営業CFは前年比44.0%の96億円です。
税金等調整前当期純利益は、前年の218億円から234億円へと増加していますが、売上債権の増加や棚卸資産の増加、そして法人税等の支払額が前年の3倍強になるなどの要因で、営業CF合計は前年から半減しました。
一方、投資CFは前年比230.0%の33億円です。
(前年の値はプラスでした)
有形/無形固定資産の取得による支出はほぼ前年並みでしたが、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が85億円計上されたことが最大の要因です。
以上から、直前期のFCF(フリー・キャッシュフロー)は63億円のプラスとなりました。
オカムラの直近の営業CFは前年比253.2%の135億円です。
税金等調整前当期純利益は前年の217億円から231億円へと増加しており、売上債権や棚卸資産の増加額など、多くの科目で前年よりマイナス額が小さくなっています。
一方、投資CFは前年比294.2%の67億円です。
有形/無形固定資産の取得による支出が、前年より70億円強増加していることが最大要因です。
以上から、直前期のFCFは68億円のプラスとなりました。
内田洋行の直近の営業CFは前年比234.3%の73億円です。
税金等調整前当期純利益は前年の80億円から92億円へと増加しています。
前年60億円弱のマイナスを生んだ売上債権が、直近で改善したことが主要因です。
また、仕入債務の増大などもプラス要因になっています。
一方、投資CFは前年比221.0%の49億円です。
有形/無形固定資産の取得による支出はやや微減していますが、ほぼ前年並みです。
投資有価証券の取得による支出が30億円弱計上された点が大きく影響しています。
以上から、直前期のFCFは24億円のプラスとなりました。
イトーキの直近の営業CFは前年比209.2%の58億円です。
税金等調整前当期純利益が前年の15億円から84億円へと大きく増加したことが主要因です。
一方、投資CFは前年比△520.8%、49億円のプラスです。
有形固定資産の取得による支出は、前年の21億円から41億円へとほぼ倍増していますが、有形固定資産の売却による収入が96億円あったことが大きく影響しています。
以上から、直前期のFCFは107億円のプラスとなりました。
【ROIC】
〔ROIC=(営業利益−法人税等)÷(純資産+有利子負債)〕
トップは内田洋行です。
十分に高いレベルで、かつ安定的に推移しています。
2番手はオカムラです。
2期連続で上昇しており、次期は6%台が期待されます。
続いてコクヨです。
当社も2期連続の上昇であり、次期は6%台が視野に入った状態です。
そしてイトーキです。
低いレベルでの推移であり、直近では4社中で唯一低下しています。
【WACC】
〔WACC=株主資本コスト×(株主資本÷(株主資本+有利子負債))
+負債コスト(1-実効税率)×(有利子負債÷(株主資本+有利子負債))〕
〔ROIC-WACC〕が最大なのはコクヨです。
ROICは3番手で決して十分なレベルとは言えませんが、WACCが低く抑えられています。
この要因は、β値が小さく、株主資本コストが抑制されているからです。
2番手は内田洋行です。
WACCは4社中最大です。
これは、β値がやや大きく株主資本コストを高めており、加えて調達資本の95%近くが株主資本となっているためです。
負債による資本を増やすことで、より高いレベルの資本効率が見込まれます。
続いてオカムラです。
ただし、マイナス値となっており、経済的付加価値が生み出されていません。
β値が決して低くない中、株主資本が調達資本の90%ほどを占めています。
そしてイトーキです。
当社も〔ROIC-WACC〕がマイナスです。
調達資本中の25%強を有利子負債が占めていますが、如何せんβ値が大きく、株主資本コストが高くなってしまいます。
また、ROICの向上も望まれます。
今回の「投資力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
※営業CF対投資CF比率の順位は、100%との乖離幅が
最小となる会社から1~4位としています。
また、全6回の分析における順位の
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
以上で、オフィス家具業界を終了します。
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