株式会社オリエンタルランドの3回目です。
先回同様の貸借対照表(略)を再掲します。
今回は固定資産を見ていきましょう。
下図は、固定資産の勘定科目ごとの推移を表しています。
取り上げていないのは、車両運搬具、船舶、土地の3項目です。
前2者は2期連続で減少していますが、有形固定資産に占める割合がそれぞれ0.1~0.2%程度であるため、特段のコメントは必要ないと思老います。
土地については、この3期の帳簿価格に変化はありません。
ご覧のように、折れ線グラフにあげた5項目は総じて伸びています。
これらは、「2020中期経営計画」で予定していた設備投資を実施したための結果です。
具体的には、2021年度開業予定の「東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテル」および、2023年度予定の東京ディズニーシーの新テーマポート「ファンタジースプリングス」の開発費用となっています。
最も増えているのは建設仮勘定であり、これは決算時点(2021.03.31)で未完成の建築物をさします。基本的には、決算日までに建設会社へ支払った金額を資産として計上することになります。
なお、建設仮勘定は未使用なので、価値が減少しないことから減価償却処理はしません。
これら固定資産拡張のための資金調達源を見てみると、冒頭の貸借対照表(略)でもわかるように、社債によるものが中心です。
ちなみに、流動負債も増えていますが、これは1年以内に償還が必要な社債が300億円計上されたためであり、それを除けば前年よりも減少しています。
実は、東京ディズニーシー拡張予定の2023年度までの投資については、全額自己資金で賄う予定との記事が、2018年6月19日付の日経新聞に掲載されていました。
しかし、直近の2021.03期において、700億円の社債発行を行っています。これは、直近の収益が大きく悪化し、PL上の当期純損失が内部留保を減少させた影響と考えられます。
前年残高5,288億円の繰越利益剰余金が、直近の業績により、4,801億円まで約490億円近く押し下げているのです。
ただし、それでも実質無借金経営という強固な財務状態を維持しています。
【実質無借金経営・・・
手元資金(当座資産の現預金+有価証券)>有利子負債(長短借入金+社債)】
2019.03期:手元資金394,493百万円 > 有利子負債106,959百万円
2020.03期:手元資金276,601百万円 > 有利子負債85,723百万円
2019.03期:手元資金225,356百万円 > 有利子負債185,000百万円
次回は、株式会社オリエンタルランドの最終回を予定しています。
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