業界売上高トップ4
有価証券報告書 財務分析
<建設業界・・・第5回>
第5回分析テーマ・・・資金力
分析指標値:
手元資金推移
手元流動性比率
手元資金有利子負債カバー率
総資本営業CF比率
売上高営業CF比率
(各指標の説明はこちら)
【手元資金推移】
〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕
最大は大林組です。
直前期は一気に158.2%の拡大となりました。
営業CFが大きく拡大しており、詳細は次回確認します。
2番手は大成建設です。
4社中、断トツの高いレベルで推移していましたが、直前期で大きく減少しています。
前社と逆に営業CFが減少しています。
続いて清水建設です。
直前期に大きく増大しています。
そして鹿島建設です。
以外にも、4社の中ではそれほど高くないレベルで推移しています。
【手元流動性比率】
〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕
トップは大成建設です。
2022期までは月商4ヶ月分程度を維持していましたが、直前期は約ひと月分ほど低下しました。
2番手は大林組です。
直前期はひと月分近く増加しています。
続いて清水建設です。
手元資金が大きく増えましたが、売上高も4社中で断トツの伸び率であったため、当指標は前期レベルとなっています。
4期を通じて安定的な推移となっています。
そして鹿島建設です。
4期の趨勢は低下傾向であり、直前期では月商1.5ヵ月分程度になっています。
資金調達の心配が少なく、手元資金を絞り込んでいるのかもしれません。
【手元資金有利子負債カバー率】
〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕
トップは大成建設です。
4期を通じて有利子負債の2倍以上の手元資金を有しており、実質無借金経営の状態を維持しています。
2番手は大林組です。
直前期の有利子負債は前年より2割ほど増えていますが、それ以上に手元資金が増加したことにより、3年ぶりの実質無借金経営となりました。
続いて清水建設です。
直前期の有利子負債は前年より15%以上増えていますが、見てきたように、手元資金の増大度合いはそれ以上になっています。
そして鹿島建設です。
直前期の動きは、有利子負債が対前年4割以上増加、現金預金が5%程度の増加となっています。
ここだけに注目するとあまり芳しくないと映ります。
【総資本営業CF比率】
〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕
トップは大林組です。
2021期と2022期は低めでしたが、直前期で大きく上昇しました。
2番手は清水建設です。
営業CFは2期連続で低下した後、直前期は前年比107.8%と上昇しました。
一方、総資本は3期連続で増加、特に直近2期は二桁増加となっています。
そのため、当指標は3期連続で低下しています。
続いて大成建設です。
過去3期は安定的でしたが、直前期で大きく低下しました。
営業CFの減少度合いが大きくなっているためです。
そして鹿島建設です。
2021期はかなり良かったのですが、そこから急落し、直前期の当指標はマイナスになっています(営業CFがマイナス)。
【売上高営業CF比率】
〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕
各社の推移と順位が前掲の総資本営業CF比率と同じなので解説は割愛します。
今回、特に気になったのは、
大林組の強さ、
そして今までの分析から一転して
影をひそめる形になった
鹿島建設の状況でした。
今回の「資金力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「投資力」を見ていきましょう。
※当サイトの「注意・免責事項」ご確認ください。