業界売上高トップ4
有価証券報告書 財務分析
<建設業界・・・第4回>
第4回分析テーマ・・・資本活用力
分析指標値:総資本回転率
売上債権回収日数
棚卸資産回転日数
流動比率
自己資本比率
(各指標の説明はこちら)
【総資本回転率】
〔総資本回転率=売上高÷総資本〕
トップは鹿島建設です。
ただし直近で低下しており、趨勢としては低下傾向のようです。
2番手は大成建設です。
2022期で底を打ったのか、直前期でやや上昇しています。
続いて清水建設です。
2期連続で大きく低下していましたが、直前期で挽回しています。
そして大林組です。
2022期で持ち直しそうでしたが、直前期で低下してしまいました。
【売上債権回収日数】
〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕
最短は鹿島建設です。
ただし長期化傾向であり、直近はこの4期間で最も長くなっています。
2番手は大成建設です。
3期連続の長期化であり、直前期は2週間分以上遅くなっています。
続いて大林組です。
過去2期連続で長期化していましたが、直前期は短縮しています。
そして清水建設です。
もともと回収が速かったのですが、2022期で大きく長期化しました。
直前期で短縮しており、今後どこまで回復するかです。
【棚卸資産回転日数】
〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕
最短は清水建設です。
売上債権回収日数と裏腹に、2022期で大きく短縮化しています。
直前期は、販売用不動産は減少しましたが、未成工事支出金や開発事業支出金が増加しました。
2番手は大林組です。
直近2期連続で短縮化しています。
直前期は、販売用不動産や未成工事支出金等が減少しています。
続いて大成建設です。
4社の中では比較的安定した推移となっています。
直前期は、未成工事支出金と棚卸不動産など、総じて増加しています。
そして鹿島建設です。
直前期の長期化の主因は、販売用不動産と開発事業支出金が大きくなったせいです。
【流動比率】
〔流動比率=流動資産÷流動負債〕
トップは清水建設です。
概ね安定した推移ですが、直近2期連続での低下となっています。
現金預金については2期連続で増大しています。
2番手は僅差で鹿島建設です。
この4期間の趨勢は上昇傾向にあるようです。
直前期では現金預金が増加しています。
続いて、こちらも僅差で大成建設です。
2期連続で低下しています。
直近の現金預金は、前年の83.3%まで減少しています。
そして大林組です。
4位ですが、120%台を安定的に維持しています。
直前期の現金預金は、前年比で160%近くまで増大しました。
【自己資本比率】
〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕
トップは大成建設です。
直近では、最終黒字で内部留保は高まりましたが、剰余金の配当と自己株式の取得により、前年から3ポイント以上低下しました。
2番手は大林組です。
直近は、剰余金の配当等がありましたが、内部留保が大きく自己資本は高まりました。
にもかかわらず比率が低下しているのは、流動/固定の負債合計が自己資本以上に膨らんだためです。
なお、「大林グループ中期経営計画2022」(2022より5カ年計画)における自己資本比率目標として40%程度としています。
続いて鹿島建設です。
直近における自己資本のマイナス要因は剰余金の配当と自己株式の取得ですが、それ以上に内部留保が積み上がり、自己資本全体としては拡大しています。
それでも当比率が直近で低下した理由は、負債の増大度合いが自己資本以上に大きかったためです。
そして清水建設です。
直近2期連続で大きく低下しています。
直近の自己資本の動きは、剰余金の配当もありましたが、それ以上に内部留保が計上され全体として増大しました。
当社についても、自己資本の増大度合い以上に負債が膨らんだため当比率が低下しています。
なお、「中期経営計画<2019-2023>」における自己資本比率目標を40%以上としています。
今回、特に気になったのは、
収益面で苦戦している
大成建設が比較的安定している点でした。
今回の「資本活用力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「資金力」を見ていきましょう。
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