業界売上高トップ4
有価証券報告書 財務分析
<飲食業界・・・第5回>
第5回分析テーマ・・・資金力
分析指標値:手元資金推移
手元流動性比率
手元資金有利子負債カバー率
総資本営業CF比率
売上高営業CF比率
(各指標の説明はこちら)
【手元資金推移】
〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕
最大は日本マクドナルドです。
2021決算期は、営業CFが増加して投資CFが抑制されたため、大きく拡大しました。
直前期の2022決算では、それらが逆方向に動いたため2割近く縮小しています。
2番手はF&L Cです。
3期連続で大きく拡大させています。
売上高の成長に伴い、従業員数の増大や経営規模の拡大がみられ、資金需要が高まっているようです。
そのため、社債や借入金という有利子負債が増大しており、結果的に手元資金が拡大した格好です。
続いてゼンショーHDです。
2020決算期に大きく減少しましたが、直近2期は連続で拡大しています。
2020決算期は、有利子負債の削減と投資がかさんだ様子です。
それに対して直近2期は、有利子負債の変動が小さくなり、またフリーCFがプラス化してきた影響で手元資金が拡大しました。
そしてすかいらーくHDです。
2021決算期は400億円強の増資を行ったため大きく拡大しましたが、直前期では反転して大きく縮小し、4期間中で最少となりました。
【手元流動性比率】
〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕
トップはF&L Cです。
直前期では日商2ヵ月分以上というレベルになっています。
2番手は日本マクドナルドです。
過去2期連続で増加していましたが、直前期では減少しました。
それでも2ヵ月分以上と高いレベルであり、かつ安定した推移です。
続いてゼンショーHDです。
売上債権と棚卸資産の運転資金を担う程度ですが、もう少し多めの方がより安心できると感じます。
そしてすかいらーくHDです。
2021決算期の増資で一息ついたのも束の間、直前期のレベルはかなり少なくなっています。
【手元資金有利子負債カバー率】
〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕
トップは日本マクドナルドです。
直近2期連続で完全無借金経営です。
それ以前も相当に高いレベルでしたので、そこからゼロに向けて急落したことから、グラフでは垂直の形状で描かれています。
2番手はF&L Cです。
手元資金の拡大とともに上昇してきていますが、資金の主たる調達源が有利子負債であることから、直前期で54.5%という状況になっています。
続いてゼンショーHDです。
前述したように、徐々に資金状況が良化している様子です。
そしてすかいらーくHDです。
直近2期の有利子負債は削減されていますが、収益状況の悪化から手元資金が流出傾向にあります。
そのため直前期で急落しました。
【総資本営業CF比率】
〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕
トップはすかいらーくHDです。
直前期の営業CFは減少していますが、総資本も減少したため、ほぼ横ばいとなっています。
2番手はゼンショーHDです。
年度ごとに上下しつつも、上昇傾向にあります。
続いてF&L Cです。
直前期では、営業CFが前年比で93.2%と減少し、総資本は112.2%と増加しています。
そのため、4期間中で最低値まで低下しました。
そして日本マクドナルドです。
総資本が3期連続で拡大する中、直前期では営業CFが前年比61.2%と比較的大きく低下してしまいました。
【売上高営業CF比率】
〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕
トップはすかいらーくHDです。
売上から営業CFを獲得する力は元々強かったことが分かります。
直前期では、売上高が増加し、営業CFが減少したにもかかわらず、4社中でのトップを維持しています。
2番手はF&L Cです。
直前期は、前述のように営業CFが減少しており、一方の売上高は増加したため当比率が低下しています。
続いてゼンショーHDです。
直前期は、売上高が前年比で110.7%と増大した中、営業CFは153.0%と大きく拡大しました。
そして日本マクドナルドです。
直前期では、売上高が前年比で110.9%と増大しましたが、前述のように営業CFが大きく減少してしまっています。
今回、特に気になったのは、
資金面に関する強みと弱みが
4社ともそれぞれ表れている状況が
垣間見られたことです。
今回の「資金力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「投資力」を見ていきましょう。
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