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COLUMNSブログ「論語と算盤」

飲食業界-5

2023年5月15日

業界売上高トップ4

有価証券報告書 財務分析

 

<飲食業界・・・第5回>

 

 

5回分析テーマ・・・資金力  

分析指標値:手元資金推移  

     手元流動性比率

           手元資金有利子負債カバー率

        総資本営業CF比率

        売上高営業CF比率

 

(各指標の説明はこちら

 

 

手元資金推移

〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕

 

 最大日本マクドナルドです。

2021決算期は、営業CFが増加して投資CFが抑制されたため、大きく拡大しました。

直前期の2022決算では、それらが逆方向に動いたため2割近く縮小しています。

 

 2番手はF&L Cです。

3期連続で大きく拡大させています。

売上高の成長に伴い、従業員数の増大や経営規模の拡大がみられ、資金需要が高まっているようです。

そのため、社債や借入金という有利子負債が増大しており、結果的に手元資金が拡大した格好です。

 

 続いてゼンショーHDです。

2020決算期に大きく減少しましたが、直近2期は連続で拡大しています。

2020決算期は、有利子負債の削減と投資がかさんだ様子です。

それに対して直近2期は、有利子負債の変動が小さくなり、またフリーCFがプラス化してきた影響で手元資金が拡大しました。

 

 そしてすかいらーくHDです。

2021決算期は400億円強の増資を行ったため大きく拡大しましたが、直前期では反転して大きく縮小し、4期間中で最少となりました。

 

 

手元流動性比率

〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕

 

 トップF&L Cです。

直前期では日商2ヵ月分以上というレベルになっています。

 

 2番手は日本マクドナルドです。

過去2期連続で増加していましたが、直前期では減少しました。

それでも2ヵ月分以上と高いレベルであり、かつ安定した推移です。

 

 続いてゼンショーHDです。

売上債権と棚卸資産の運転資金を担う程度ですが、もう少し多めの方がより安心できると感じます。

 

 そしてすかいらーくHDです。

2021決算期の増資で一息ついたのも束の間、直前期のレベルはかなり少なくなっています。

 

 

手元資金有利子負債カバー率

〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕

 

 トップ日本マクドナルドです。

直近2期連続で完全無借金経営です。

それ以前も相当に高いレベルでしたので、そこからゼロに向けて急落したことから、グラフでは垂直の形状で描かれています。

 

 2番手はF&L Cです。

手元資金の拡大とともに上昇してきていますが、資金の主たる調達源が有利子負債であることから、直前期で54.5%という状況になっています。

 

 続いてゼンショーHDです。

前述したように、徐々に資金状況が良化している様子です。

 

 そしてすかいらーくHDです。

直近2期の有利子負債は削減されていますが、収益状況の悪化から手元資金が流出傾向にあります。

そのため直前期で急落しました。

 

 

総資本営業CF比率

〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕

 

 トップすかいらーくHDです。

直前期の営業CFは減少していますが、総資本も減少したため、ほぼ横ばいとなっています。

 

 2番手はゼンショーHDです。

年度ごとに上下しつつも、上昇傾向にあります。

 

 続いてF&L Cです。

直前期では、営業CFが前年比で93.2%と減少し、総資本は112.2%と増加しています。

そのため、4期間中で最低値まで低下しました。

 

 そして日本マクドナルドです。

総資本が3期連続で拡大する中、直前期では営業CFが前年比61.2%と比較的大きく低下してしまいました。

 

 

売上高営業CF比率

〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕

 

 トップすかいらーくHDです。

売上から営業CFを獲得する力は元々強かったことが分かります。

直前期では、売上高が増加し、営業CFが減少したにもかかわらず、4社中でのトップを維持しています。

 

 2番手はF&L Cです。

直前期は、前述のように営業CFが減少しており、一方の売上高は増加したため当比率が低下しています。

 

 続いてゼンショーHDです。

直前期は、売上高が前年比で110.7%と増大した中、営業CFは153.0%と大きく拡大しました。

 

 そして日本マクドナルドです。

直前期では、売上高が前年比で110.9%と増大しましたが、前述のように営業CFが大きく減少してしまっています。

 

 

今回、特に気になったのは、

資金面に関する強みと弱みが

4社ともそれぞれ表れている状況が

垣間見られたことです。

 

 

今回の「資金力」の順位による

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

 

 

今回は以上です。

 

次回は、「投資力」を見ていきましょう。

 

 

 

 

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