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COLUMNSブログ「論語と算盤」

飲食業界-6

2023年5月19日

業界売上高トップ4

有価証券報告書 財務分析

 

<飲食業界・・・第6回>

~最終回~

 

 

6回分析テーマ・・・投資力     

分析指標値:営業CF対投資CF比率

        各社別の営業/投資CF推移

ROIC 

WACC  

(各指標の説明はこちら

 

 

営業CF対投資CF比率

〔営業CF対投資CF比率=営業CF÷投資CF〕

 

 最も100%に近いのは日本マクドナルドです。

年度ごとの上下動が大きくなってます。

 

 2番手はゼンショーHDです。

徐々に比率が上昇してきており、内訳を後ほど確認してみたいと思います。

 

 続いてF&L Cです。

4期とも比較的安定的な推移となっています。

 

 そしてすかいらーくHDです。

上下動が大きくなっていますが、高いレベルで推移しています

 

続いて各社の推移を見ていきます。

 

 

各社別 営業/投資CF推移

〔実額ベース〕

 

 ゼンショーHDの直近の営業CFは、前年比153.0%の454億円です。

税金等調整前当期純利益は、前年の5倍近くの263億円まで増大しました。

マイナス要因としては、棚卸資産の増加127億円強などが計上されています。

 一方、投資CFは前年比134.1%の316億円です。

有形固定資産の取得による支出が9割近くの275億円となっており、積極的な設備投資の姿勢がうかがえます。

 以上から、直前期のFCF(フリー・キャッシュフロー)は139億円のプラスとなりました。

 

 

 

 日本マクドナルドの直近の営業CFは、前年比61.2%の238億円です。

税金等調整前当期純利益は、前年比で微減の321億円です。

マイナス要因としては、長期繰延営業債権の増加で123億円強が計上されています。

 一方、投資CFは前年比155.2%の322億円です。

有形固定資産の取得による支出は、そのうちの7割超、238億円となっています。

 以上から、直前期のFCFは85億円のマイナスとなりました。

 

 

 

 すかいらーくHDの直近の営業CFは、前年比91.3%の457億円です。

税引前利益は、前年の利益143億円から、損失82億円となりました。

ただし、営業債権及びその他の債権の減少等により、営業CF全体としての前年比はそれほど落ち込んでいません

 一方、投資CFは前年比119.9%の156億円です。

有形固定資産の取得による支出は、その85%強の133億円となっています。

 以上から、直前期のFCFは301億円のプラスとなりました。

 

 

 

 F&L Cの直近の営業CFは、前年比93.2%の295億円です。

税引前利益は、前年の35%となる76億円です。

ただし、営業債権及びその他の債権の減少などプラス要因により全体の減少額は抑制されています。

 一方、投資CFは前年比113.7%の196億円です。

有形/無形固定資産合算の取得による支出は、その9割超の179億円強となっています。

 以上から、直前期のFCFは99億円のプラスとなりました。

 

 

ROIC

〔ROIC=(営業利益−法人税等)÷(純資産+有利子負債)〕

 

 トップ日本マクドナルドです。

直前期で若干低下しましたが、4期を通じて10%以上と高いレベルを維持しています。

 

 2番手はF&L Cです。

直前期は4期中最少の営業利益となっており、当指標も大きく低下しています。

 

 続いてゼンショーHDです。

営業利益が少額で法人税等を賄い切れず、結果マイナスになっています。

 

 そしてすかいらーくHDです。

直前期は営業損失の状態です。

 

 

WACC

〔WACC=株主資本コスト×(株主資本÷(株主資本+有利子負債))

  +負債コスト(1-実効税率)×(有利子負債÷(株主資本+有利子負債))〕

※すかいらーくの有利子負債の利子率は、便宜上TIBORの値を用いています。

 

 〔ROIC-WACC〕が最大なのは日本マクドナルドです。

7.1%と高い値になっています。

完全無借金の状態なので、資本コストは株主資本コストのみとなります。

β値が0.49と低いことから、株主資本コストも抑制されています。

 

 2番手はF&L Cです。

ただし、ROICの低さとWACCの高さからマイナス値となっています。

 

当社と以下2社については、投下資本の調達コストよりも、投下資本で生み出した利益(営業利益-法人税等)が小さくなっており経済的価値を生み出せていません

 

 続いてゼンショーHDです。

WACCは比較的抑制されているので、ROICを高めることが欠かせません

 

 そしてすかいらーくHDです。

前社と同様に、WACCのレベルは良好ですので、ROICの向上が求められます。

 

 

今回の「投資力」の順位による

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

※営業CF対投資CF比率の順位は、100%との乖離幅が最小となる会社から1~4位としています。

 

 

また、全6回の分析における順位の

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

 

 

以上で、飲食業界を終了します。

 

 

 

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