業界売上高トップ4
有価証券報告書 財務分析
<飲食業界・・・第4回>
第4回分析テーマ・・・資本活用力
分析指標値:総資本回転率
売上債権回収日数
棚卸資産回転日数
流動比率
自己資本比率
(各指標の説明はこちら)
【総資本回転率】
〔総資本回転率=売上高÷総資本〕
トップはゼンショーHDです。
2021決算期の低下は、総資本が拡大する中、売上高が前年比で5%強落ち込んだ影響です。
直近の2022決算期は、売上高が前年比110.7%と伸びたものの、総資本が継続して拡大したため、当指標はさほど上昇しませんでした。
2番手は日本マクドナルドです。
4期を通じて1.2回のレベルを維持しており、相当に安定的と言えます。
総資本拡大と売上高増大の歩みが揃っている感じです。
続いてF&L Cです。
2020決算期で大きく低下したのは、売上高は増えたものの、総資本が前年比で174.0%、金額にして1千億円強拡大したためです。
その内容は、主としてリース負債を含む有利子負債の増加です。
そしてすかいらーくHDです。
過去2期連続は売上高の減少により低下し、直近では売上高の増大により上昇しました。
【売上債権回収日数】
〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕
最短はゼンショーHDです。
4期を通じて見ると、若干ながら長期化傾向に映ります。
キャッシュレス決済の影響かと想定されます。
2番手はF&L Cです。
2021決算期では、売掛金と未収入金が前年の3倍近くまで膨らんだ影響で、大きく長期化しました。
続いてすかいらーくHDです。
前社と同じような推移ですが、2021決算期では未収入金が大きく膨らんでいます。
この理由は、「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金計上によるもの」と明示されています。
そして日本マクドナルドです。
直近は2期連続で短縮化傾向となっています。
【棚卸資産回転日数】
〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕
最短は日本マクドナルドです。
日商1.4日分程度での安定的な推移です。
2番手はF&L Cです。
3期連続で、売上の増大度合い以上の、棚卸資産の増大度合いとなっています。
特に直近の棚卸資産の増大度合いは、前年比164.7%とかなり大きくなっています。
続いてすかいらーくHDです。
過去2期連続で、売上高と棚卸資産がともに前年以下となっていました。
ただし直前期では、売上高が114.8%の伸びに対して、棚卸資産の伸びは184.7%と大きくなっています。
そしてゼンショーHDです。
過去2期については、棚卸資産の増大度合いが、売上高の増大度合いを下回っていました。
ところが直近では、売上高110.7%の伸びに対して、棚卸資産の伸びは152.6%と逆転しています。
【流動比率】
〔流動比率=流動資産÷流動負債〕
トップは日本マクドナルドです。
それほど高いレベルではなく、また直近2期連続で低下しています。
今後どういう状況になっていくのか、やや気がかりではあります。
2番手はF&L Cです。
2021決算期までは100%を切るレベルでしたが、直前期では大きく伸長しました。
直近では、現金の増加を主因として流動資産が拡大しています。
続いてゼンショーHDです。
2020および2021決算期は100%以下でした。
直前期では、流動資産の各項目が増加したことから、100%超となっています。
そしてすかいらーくHDです。
4期連続で100%を切っており、指標のレベルも相当に低くなっています。
特に直前期では、短期借入金が前年の5倍ほどに大きく膨らむ一方、現金及び現金同等物は前年比4割弱まで大きく減少しています。
抜本的な改善が急がれる状況です。
【自己資本比率】
〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕
トップは日本マクドナルドです。
4期を通じて70%台であり、極めて安定的です。
2番手はすかいらーくHDです。
2期連続で上昇しており、長期的な資金繰りという観点からは、問題無いように映ります。
続いてゼンショーHDです。
直近では20%台中盤まで上昇させてきています。
そしてF&L Cです。
4期を通じて低下傾向であり、直前期では20%を切ってきています。
今回、特に気になったのは、
日本マクドナルドを除く3社の
資本効率が総じて良くない点でした。
今回の「資本活用力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「資金力」を見ていきましょう。
※当サイトの「注意・免責事項」ご確認ください。