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有価証券報告書 財務分析
<貨物運送業界・・・第6回>
~最終回~
第6回分析テーマ・・・投資力
分析指標値:営業CF対投資CF比率
各社別の営業/投資CF推移
ROIC
WACC
(各指標の説明はこちら)
【営業CF対投資CF比率】
〔営業CF対投資CF比率=営業CF÷投資CF〕
※2021決算期に3社が0%になっているのは、
投資CFがプラスの場合における便宜上の対応です。
最も100%に近いのはヤマトHDです。
2番手はSGHDです。
続いてNXHDです。
そして近鉄エクスプレスです。
続いて各社の推移を見ていきます。
【各社別 営業/投資CF推移】
〔実額ベース〕
NXHDの直近の営業CFは、前年比670.6%の2,952億円です。
税引前利益1,600億円強、減価償却費及び償却費1,400億円強を主要因として、大きな金額になっています。
一方、投資CFは、前年同様にプラスになっています。
有形/無形固定資産の取得による支出が590億円強であるのに対して、有形固定資産の売却による収入が690億円弱あったためです。
以上から、直前期のFCF(フリー・キャッシュフロー)は2,992億円のプラスとなりました。
ヤマトHDの直近の営業CFは、前年比42.0%の520億円です。
税金等調整前当期純利益は810億円、他方、法人税等の支払額467億円などの支出がありました。
一方、投資CFは、前年のプラス値から590億円弱の支出へと拡大しました。
有形固定資産の取得による支出が408億円弱と、最も多くなっています。
なお、前年がプラス値になった要因は、貸付金の回収が1千億円近くに上ったためです。
以上から、直前期のFCFは69億円強のマイナスとなりました。
SGHDの直近の営業CFは、前年比67.5%の818億円です。
税金等調整前当期純利益及び減価償却費ともに前年を大きく超えて合計1,910億円程度ですが、売上債権の増加額879億円を筆頭としたマイナス要因により、前年を下回りました。
一方、投資CFは、前年のプラス値から大きく拡大して453億円近くの支出となりました。
有形/無形固定資産の取得による支出は594億円強となっており、前年をやや下回っているものの支出要因として最大項目です。
なお、前年がプラス値になった要因は、関係会社株式の売却による収入が7百億円近くに上ったためです。
以上から、直前期のFCFは366億円のプラスとなりました。
近鉄エクスプレスの直近の営業CFは、前年比79.2%の300億円です。
税金等調整前当期純利益は641億円強と前年の2倍近くになりましたが、売上債権の増加を筆頭にマイナスの金額も増えました。
一方、投資CFは、前年比162.5%の583億円です。
有形/無形固定資産の取得による支出は56億円近くであり、前年より増しています。
以上から、直前期のFCFは242億円のプラスとなりました。
【ROIC】
〔ROIC=(営業利益−法人税等)÷(純資産+有利子負債)〕
トップはSGHDです。
3期連続の上昇であり、特に直近2期の伸長度合いが大きくなっています。
直近は17.7%と、相当に高いレベルを示しており勢いが感じられます。
2番手は近鉄エクスプレスです。
当社も3期連続の上昇であり、直近2期が急上昇しています。
直近の値は12.7%と、高いレベルを実現しています。
続いてNXHDです。
過去3期は5%近辺でしたが、直前期ではホールディングス化の影響もあるのか10%超まで伸ばしています。
そしてヤマトHDです。
直前期はやや低下しています。
4期間を通じて10%には届いていない状況です。
【WACC】
〔WACC=株主資本コスト×(株主資本÷(株主資本+有利子負債))
+負債コスト(1-実効税率)×(有利子負債÷(株主資本+有利子負債))〕
※近鉄エクスプレスは近鉄グループHDの
β値と時価総額を用いています。
〔ROIC-WACC〕が最大なのはSGHDです。
ROICが相当に高いため、4社中最高値のWACCにもかかわらず秀逸です。
2番手は近鉄エクスプレスです。
当社もROICが高かったことが奏功しています。
もちろん、近鉄グループHDの値を用いているため、実態とは相違するかもしれません。
続いてNXHDです。
WACCも高めですが、やはりROICの高さが強みとなっています。
そしてヤマトHDです。
4社中4番手ですが、値としては決して低いレベルではなく、他業種と比較すると高いレベルと言えます。
今回の「投資力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
※営業CF対投資CF比率の順位は、100%との乖離幅が
最小となる会社から1~4位としています。
また、全6回の分析における順位の
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
以上で、貨物運送業界を終了します。
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