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COLUMNSブログ「論語と算盤」

海運業界-5

2023年3月6日

業界売上高トップ4

有価証券報告書 財務分析

 

<海運業界・・・第5回>

 

 

5回分析テーマ・・・資金力         

分析指標値:手元資金推移手元流動性比率

       手元資金有利子負債カバー率

     総資本営業CF比率

      売上高営業CF比率

 

(各指標の説明はこちら

 

 

手元資金推移

〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕

 

 最大なのは川崎汽船です。

4期間を通じてトップを維持しています。

特に直前期は、前年比で186.9%と急増しました。

 

 2番手は日本郵船です。

当社も直前期で急増し、前年比216.7%と2倍以上になっています。

 

 続いて商船三井です。

2期連続で減少したのち、直前期では増加しています。

 

 そしてNSユナイテッド海運です。

グラフでは一定額の推移に見えますが、2年前の2020.03期からは1.5倍以上に増大しています。

 

 

手元流動性比率

〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕

 

 トップ川崎汽船です。

過去3期は、月商の2ヵ月分程度の保有でしたが、直前期では4ヶ月分ほどとなっています。

 

 2番手はNSユナイテッド海運です。

上下動していますが、概ね1.5~2.5ヵ月分程度での推移となっています。

 

 続いて日本郵船です。

過去3期は23週間程度でしたが、直前期で5週間ほどにまで上昇しています。

 

 そして商船三井です。

4社中で唯一、3期連続の低下を示しています。

 

 

手元資金有利子負債カバー率

〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕

 

 トップ川崎汽船です。

過去3期は30%弱の推移であり、直近で67.7%となっています。

(グラフは直前期実績を省いています)

直近で手元資金額は大きく増しましたが、それでも実質無借金の状態ではありません

 

 2番手は日本郵船です。

過去3期はかなり低いレベルであり、直近で33.1%にまで上昇しています。

 

 続いてNSユナイテッド海運です。

4社の中では変動幅が相対的に小さく、直近実績の26.2%は4期中での最高値です。

 

 そして商船三井です。

10%前後の推移であり、他の3社や異業種と比較しても結構低い水準と言えます。

 

 

総資本営業CF比率

〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕

 

 トップ日本郵船です。

直前期では、総資本が前年比144.9%と拡大していますが、営業CFは318.7%とそれ以上に大きく増大しました。

 

 2番手は川崎汽船です。

過去2期の営業CFはマイナス、直近2期でプラスになっており、その伸び率も大きくなっています。

直近では、総資本が前年比161.6%営業CFはなんと678.1%となっています。

 

 続いてNSユナイテッド海運です。

2期連続の上昇であり、4社の中では最も安定した推移になっています。

 

 そして商船三井です。

過去3期は5%未満での推移でしたが、直前期は大きく上昇して10%超となっています。

 

 

売上高営業CF比率

〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕

 

 トップ川崎汽船です。

直前期ではほぼ30%と、かなり高いレベルを実現しています。

 

 2番手は商船三井です。

総資本が多めであるため、前指標の比率は低くなっていますが、この売上高比ではかなり高いレベルと言えます。

前回示した総資本回転率も高くなく、要するところ、相対的に資本が多めと言えます

 

 続いて日本郵船です。

直前期で上昇しており、やはりかなり高いレベルです。

 

 そしてNSユナイテッド海運です。

前指標と同様に、安定した推移です。

他の3社が特需で各種指標を伸ばす中、独自路線を進んでいるような印象です。

 

 

今回、特に気になったのは、川崎汽船の強さです。

直前期における資金力は抜群です。

 

 

今回の「資金力」の順位による

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

 

 

今回は以上です。

 

次回は、「投資力」を見ていきましょう。

 

 

 

 

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