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有価証券報告書 財務分析
<海運業界・・・第5回>
第5回分析テーマ・・・資金力
分析指標値:手元資金推移、手元流動性比率、
手元資金有利子負債カバー率、
総資本営業CF比率、
売上高営業CF比率
(各指標の説明はこちら)
【手元資金推移】
〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕
最大なのは川崎汽船です。
4期間を通じてトップを維持しています。
特に直前期は、前年比で186.9%と急増しました。
2番手は日本郵船です。
当社も直前期で急増し、前年比216.7%と2倍以上になっています。
続いて商船三井です。
2期連続で減少したのち、直前期では増加しています。
そしてNSユナイテッド海運です。
グラフでは一定額の推移に見えますが、2年前の2020.03期からは1.5倍以上に増大しています。
【手元流動性比率】
〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕
トップは川崎汽船です。
過去3期は、月商の2ヵ月分程度の保有でしたが、直前期では4ヶ月分ほどとなっています。
2番手はNSユナイテッド海運です。
上下動していますが、概ね1.5~2.5ヵ月分程度での推移となっています。
続いて日本郵船です。
過去3期は2~3週間程度でしたが、直前期で5週間ほどにまで上昇しています。
そして商船三井です。
4社中で唯一、3期連続の低下を示しています。
【手元資金有利子負債カバー率】
〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕
トップは川崎汽船です。
過去3期は30%弱の推移であり、直近で67.7%となっています。
(グラフは直前期実績を省いています)
直近で手元資金額は大きく増しましたが、それでも実質無借金の状態ではありません。
2番手は日本郵船です。
過去3期はかなり低いレベルであり、直近で33.1%にまで上昇しています。
続いてNSユナイテッド海運です。
4社の中では変動幅が相対的に小さく、直近実績の26.2%は4期中での最高値です。
そして商船三井です。
10%前後の推移であり、他の3社や異業種と比較しても結構低い水準と言えます。
【総資本営業CF比率】
〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕
トップは日本郵船です。
直前期では、総資本が前年比144.9%と拡大していますが、営業CFは318.7%とそれ以上に大きく増大しました。
2番手は川崎汽船です。
過去2期の営業CFはマイナス、直近2期でプラスになっており、その伸び率も大きくなっています。
直近では、総資本が前年比161.6%、営業CFはなんと678.1%となっています。
続いてNSユナイテッド海運です。
2期連続の上昇であり、4社の中では最も安定した推移になっています。
そして商船三井です。
過去3期は5%未満での推移でしたが、直前期は大きく上昇して10%超となっています。
【売上高営業CF比率】
〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕
トップは川崎汽船です。
直前期ではほぼ30%と、かなり高いレベルを実現しています。
2番手は商船三井です。
総資本が多めであるため、前指標の比率は低くなっていますが、この売上高比ではかなり高いレベルと言えます。
前回示した総資本回転率も高くなく、要するところ、相対的に資本が多めと言えます。
続いて日本郵船です。
直前期で上昇しており、やはりかなり高いレベルです。
そしてNSユナイテッド海運です。
前指標と同様に、安定した推移です。
他の3社が特需で各種指標を伸ばす中、独自路線を進んでいるような印象です。
今回、特に気になったのは、川崎汽船の強さです。
直前期における資金力は抜群です。
今回の「資金力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「投資力」を見ていきましょう。
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