業界売上高トップ4
有価証券報告書 財務分析
<海運業界・・・第4回>
第4回分析テーマ・・・資本活用力
分析指標値:総資本回転率、売上債権回収日数、
棚卸資産回転日数、
流動比率、自己資本比率
(各指標の説明はこちら)
【総資本回転率】
〔総資本回転率=売上高÷総資本〕
トップは日本郵船です。
ただし、3期連続の低下となっています。
直前期の売上高は前年比141.8%と大きく伸びましたが、一方の総資本が当期純利益の増大に伴う純資産の拡大により、前年比144.9%となりました。
2番手はNSユナイテッド海運です。
2期連続で低下していましたが、直前期は反転して急上昇しています。
4社中で唯一の上昇となりました。
当期純利益の増大に伴う純資産の拡大はありましたが、有利子負債を削減したことで、総資本の拡大を止めています。
続いて川崎汽船です。
3期連続で急落しています。
直前期における売上高は回復していますが、総資本は前年比161.6%と、売上高伸び率を大きく超えるほど拡大しました。
そして僅差で商船三井です。
僅かですが、3期連続での低下となっています。
過去3期における総資本はほぼ横ばいでしたが、直前期は増大し、売上高伸び率を微かに上回りました。
【売上債権回収日数】
〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕
最短なのは商船三井です。
4社の中ではやや抜きんでたレベルであるものの、直近の2期は連続して長期化しています。
2番手は川崎汽船です。
2021.03期までは比較的短い回収日数でしたが、直前期は大きく長期化しています。
続いてNSユナイテッド海運です。
3期連続の上昇となっています。
そして日本郵船です。
直近の2期は連続で長期化しています。
【棚卸資産回転日数】
〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕
最短なのは日本郵船です。
長期化傾向ではありますが、10日以内というレベルで推移させています。
2番手は商船三井です。
過去3期は10日台でしたが、直前期は売上高伸び率以上に棚卸資産が増加しました。
続いて川崎汽船です。
3期連続の長期化であり、直前期の長期化度合いは大きくなっています。
そしてNSユナイテッド海運です。
基本的に主力事業は海運事業であり、他の3社に比べるとやや長期という印象です。
【流動比率】
〔流動比率=流動資産÷流動負債〕
トップは川崎汽船です。
直前期で急上昇しています。
短期の有利子負債が大きく削減されており、流動負債が減少しました。
それに対して流動資産は、現預金、売上債権、棚卸資産が大きく増加し、前年比161.9%となりました。
2番手はNSユナイテッド海運です。
2期連続で大きく上昇しています。
当社も短期の有利子負債を大きく削減したことから、流動負債が減少しています。
一方流動資産は、売上債権や棚卸資産の増大により、前年比131.8%となっています。
続いて日本郵船です。
過去3期は100%未満の状態でしたが、3期連続で上昇したため、直前期では100%超となりました。
特に直前期の上昇度合いが大きくなっています。
そして商船三井です。
4期間を通じて、90%未満というレベルでの推移となっています。
有利子負債は長期・短期とも微減していますが、100%に達していない状態はやや気になります。
【自己資本比率】
〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕
トップは川崎汽船です。
過去3期は相対的に低いレベルでしたが、直前期の上昇度合いが極めて大きくなっています。
直前期までは4位でしたが、直前期はまさにゴボウ抜きしたような状態です。
第2回目で見たように、売上高当期純利益率の急上昇により、純資産が前年比311.5%まで増大したことが主因です。
2番手は日本郵船です。
過去3期は20%台でしたが、直前期は25ポイント以上の上昇となりました。
続いて商船三井です。
直前期では20ポイント近く上昇しています。
そしてNSユナイテッド海運です。
2期連続で低下したのち、直前期で上昇しました。
4社中では、安定的な推移と映ります。
今回、特に気になったのは、
川崎汽船の各種指標が
かなり大きく変動していることです。
今回の「資本活用力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「資金力」を見ていきましょう。
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