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有価証券報告書 財務分析
<水産業界・・・第6回>
~最終回~
第6回分析テーマ・・・投資力
分析指標値:営業CF対投資CF比率、
各社別の営業/投資CF推移、
ROIC、WACC
(各指標の説明はこちら)
【営業CF対投資CF比率】
〔営業CF対投資CF比率=営業CF÷投資CF〕
最も100%に近いのは日本水産です。
2番手はマルハニチロです。
続いて横浜冷凍です。
そして極洋です。
当社は、2019決算期と2022決算期の営業CFがマイナスになっているので、当比率は両期ともゼロ%としています。
続いて各社の推移を見ていきます。
【各社別 営業/投資CF推移】
〔実額ベース〕
マルハニチロの直近の営業CFは、前年比57.7%の192億円強です。
税金等調整前当期純利益は前年の2.5倍以上となりましたが、売上債権が約100億円、棚卸資産が約146億円と大きく増大したことを主因に相当縮小してしまいました。
一方、投資CFでは、有形固定資産の取得による支出はやや縮小しましたが、全体的にはほぼ前年並みの支出となりました。
以上から、直前期のFCF(フリー・キャッシュフロー)は約90億円となっています。
日本水産の直近の営業CFは、前年比63.4%の291億円強です。
税金等調整前当期純利益は、前年より46億円強多かったのですが、売上債権が約116億円、棚卸資産が約99億円増加したことが足かせになっています。
一方、投資CFでは、有形/無形固定資産の取得による支出はやや減少したものの、全体としては概ね前年並みです。
以上から、直前期のFCFは約119億円弱となっています。
極洋の直近の営業CFは、前年比△118.8%の△11億円強です。
税金等調整前当期純利益は前期比2割アップの約67億円でしたが、棚卸資産が約128億円増加したことを主要因としてマイナスになってしまいました。
一方、投資CFは、固定資産の取得による支出が前年から倍増して49億円弱(建設仮勘定で約38億円弱の計上)となりました。
このことから、前年5億円強だった支出が、52億円強と大きく増大しています。
以上から、直前期のFCFは約△63億円強と大きく減少しました。
横浜冷凍の直近の営業CFは、前年比46.8%の60億円弱です。
税金等調整前当期純利益は、前年より4億円強増えて50億円弱となっています。
ただし、売上債権が20億円強、棚卸資産が39億円強増加したことを主因に半減した形です。
一方、投資CFは、有形固定資産の取得による支出を127億円弱から86億円弱まで減少させており、また連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が前年の12億円弱から78億円弱まで拡大したことから、結果的に30億円弱と前年の116億円強から大きく縮小しました。
以上から、直前期のFCFは31億円弱と前年より大きく増加しています。
【ROIC】
〔ROIC=(営業利益−法人税等)÷(純資産+有利子負債)〕
トップは日本水産です。
ただし、4.7%というレベルは、決して高くはありません。
なお、長期ビジョン「Good Foods 2030」において、2030年のROIC目標7.0%以上を掲げ、2024年度計画を5.5%以上としています。
2番手は極洋です。
2期連続で大きく高めてきています。
続いてマルハニチロです。
直前期の伸びはやや鈍化しましたが、2期連続での上昇となっています。
そして横浜冷凍です。
2期連続で低下した後、直前期では上昇しましたが、かなり低位となっています。
【WACC】
〔WACC=株主資本コスト×(株主資本÷(株主資本+有利子負債))
+負債コスト(1-実効税率)×(有利子負債÷(株主資本+有利子負債))〕
当業界は、株式市場の変動にあまり影響を受けない特性から、
β値がかなり低位となっています。
〔ROIC-WACC〕が最大なのは極洋です。
資本の調達コストは1.9%であり、その資本から4.3%の儲けを生み出していることから、比較的良好と言えます。
2番手はマルハニチロです。
β値が低く、さらに調達資本中の負債割合が大きいことから低金利の恩恵を享受できており、結果WACCが小さくなっています。
続いて日本水産です。
4社の中ではβ値が最大であることから、WACCが最大になっています。
そして横浜冷凍です。
β値が0.35と4社中最小であり、負債割合も比較的多いことから、WACCの値が最小となっています。
如何せん、ROICが小さいのが残念です。
今回の「投資力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
※営業CF対投資CF比率の順位は、100%との乖離幅が
最小となる会社から1~4位としています。
また、全6回の分析における順位の
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
以上で、水産業界を終了します。
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