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有価証券報告書 財務分析
<水産業界・・・第5回>
第5回分析テーマ・・・資金力
分析指標値:手元資金推移、手元流動性比率、
手元資金有利子負債カバー率、
総資本営業CF比率、売上高営業CF比率
(各指標の説明はこちら)
【手元資金推移】
〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕
最大なのはマルハニチロです。
2期連続で急増しましたが、直前期では減少しています。
次回見ますが、営業CFが4割以上減少した上に、有利子負債を削減したことが影響しています。
2番手は日本水産です。
2021決算期で急減していますが、これは長短有利子負債を6割以上一気に返済したことが主因です。
続いて極洋です。
2期連続で拡大していましたが、直前期では減少しました。
そして横浜冷凍です。
直近2期連続で減少しています。
【手元流動性比率】
〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕
トップはマルハニチロです。
10日分を超える程度であり、トップとは言えかなり少ない印象です。
2番手は極洋です。
4社の中では、比較的安定している様子です。
続いて横浜冷凍です。
直近2期連続で、かなり減少しています。
そして日本水産です。
2020決算期は半月分(2週間)程度ありましたが、直近2期は1週間分程度となっています。
【手元資金有利子負債カバー率】
〔手元資金有利子負債カバー率
=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕
トップは極洋です。
それでも10%を超えたレベルであり、他産業と比較するとかなり低い状況です。
2番手はマルハニチロです。
直前期で10%を切りました。
続いて日本水産です。
直前期は、前期から比較的大きく低下しています。
そして横浜冷凍です。
自己資本比率は最も高かったのですが、有利子負債残高は月商の8ヵ月分程度と大きくなっています。
【総資本営業CF比率】
〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕
トップは日本水産です。
年度ごとに上下しています。
総資本が安定した推移の中、営業CFが上下している影響です。
2番手はマルハニチロです。
2期連続で低下しています。
総資本は3期連続で増加していますが、営業CFが2期連続で縮小しています。
特に、直前期は前年の6割程度のレベルであり、大きく減少しました。
続いて横浜冷凍です。
2019決算期はトップでしたが、3期連続で急落しています。
総資本はほぼ一定レベルを維持しており、営業CFが3期連続で縮小しています。
特に、直前期は前期に比べて半減しています。
そして極洋です。
総資本は2期連続の拡大であり、直前期は112%と比較的大きく上昇しています。
一方、営業CFは2019決算期および直前期においてマイナスになってしまいました。
【売上高営業CF比率】
〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕
トップは横浜冷凍です。
ただし、3期連続で大きく低下しています。
2番手は日本水産です。
前述同様に、年度ごとに上下しています。
続いてマルハニチロです。
もっとも安定的と言えますが、直前期では低下しました。
そして極洋です。
営業CFが恒常的にプラスになるよう、改善が期待されます。
今回、特に気になったのは、
4社とも安定的とは言いづらい現状でした。
総じて手元資金と営業CFのボリュームは小ぶりです。
今回の「資金力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「投資力」を見ていきましょう。
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