業界売上高トップ4
有価証券報告書 財務分析
<水産業界・・・第4回>
第4回分析テーマ・・・資本活用力
分析指標値:総資本回転率、売上債権回収日数、
棚卸資産回転日数、
流動比率、自己資本比率
(各指標の説明はこちら)
【総資本回転率】
〔総資本回転率=売上高÷総資本〕
トップは極洋です。
ただし、直近2期は連続で低下しています。
売上高が安定的に推移する中、総資本が拡大しているためです。
2番手はマルハニチロです。
2期連続で低下した後、直前期で上昇しています。
総資本が3期連続で拡大する中、直前期では売上高の伸び率が大きくなったためです。
続いて日本水産です。
2期連続で低下した後、直前期では上昇しました。
やや低迷気味だった売上高が、直前期で大きく伸びたためです。
そして横浜冷凍です。
直近3期は、0.6回転程度で推移しています。
【売上債権回収日数】
〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕
最短なのは極洋です。
概ね短縮化傾向であり、特に直前期の短縮度合いが大きくなっています。
2番手は横浜冷凍です。
2021決算期では大きく短縮化して30日台になりましたが、直前期は反転し、再び40日台となっています。
続いて日本水産です。
2期連続で長期化しています。
そしてマルハニチロです。
当社も2期連続で長期化しており、このペースなら当期末(2023決算期)には50日台に乗りそうです。
各社とも概ね40日台での推移であり、
他業種に比べると短期という印象です。
【棚卸資産回転日数】
〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕
最短なのは横浜冷凍です。
4期連続で4社中における最短日数となっています。
業務内容の違いもあるでしょうが、他の3社との乖離幅が大きくなっています。
2番手はマルハニチロです。
3期連続で長期化しています。
続いて日本水産です。
2期連続で長期化していましたが、直前期はほぼ横ばい、僅かながら短縮しています。
そして極洋です。
2020決算期はかなり短縮しましたが、その後は2期連続で長期化しており、直前期は特にその度合いが大きくなっています。
水産業とは言え、冷凍食品でもあることから
各社ともそれほど短くはありません。
【流動比率】
〔流動比率=流動資産÷流動負債〕
トップは極洋です。
2021決算期の上昇は、短期借入金の返済による流動負債の減少が主因です。
その反動なのか直前期では、短期借入金やコマーシャルペーパーの増加がありました。
2番手は日本水産です。
2期連続で上昇した後、直前期は横ばいとなりました。
直前期では、流動資産も高まりましたが、短期借入金の増大や売上高上昇に伴う仕入債務の増大などが流動負債を押し上げています。
続いてマルハニチロです。
年度によって交互に上下動しています。
直前期では、微増した流動負債に対して、在庫や売上債権の増大を主因として流動資産が比較的大きく拡大しました。
ただし、現金及び預金は減少しています。
そして横浜冷凍です。
2期連続で低下しましたが、直前期は横ばいという状況です。
直前期の流動資産と流動負債は縮小しており、ともに前年比91.7%の伸び率となっています。
【自己資本比率】
〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕
トップは横浜冷凍です。
2期連続で上昇しています。
総資本が安定的に推移する中、当期純利益の内部留保を中心として、純資産が高まっています。
なお、「ヨコレイ事業ビジョン2030」において、2023年度の自己資本比率目標40%台半ばの維持としています。
2番手は日本水産です。
3期連続の上昇となっています。
当期純利益の内部留保を中心とした純資産の拡大度合いが、総資本のそれを超えています。
続いて極洋です。
2期連続で上昇した後、直前期で低下しました。
直前期では、固定負債は減少しましたが、流動負債が大きく拡大したために負債比率が高まりました。
そしてマルハニチロです。
3期連続で上昇しています。
総資本が3期連続で拡大してはいますが、有利子負債は減少しています。
今回、特に気になった点はありませんが、
各社に得手不得手の分野がある中、
日本水産が中位で安定している印象です。
今回の「資本活用力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「資金力」を見ていきましょう。
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