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有価証券報告書 財務分析
<メガネ小売業界・・・第6回>
~最終回~
第6回分析テーマ・・・投資力
分析指標値:営業CF対投資CF比率、
各社別の営業/投資CF推移、
ROIC、WACC
(各指標の説明はこちら)
【営業CF対投資CF比率】
〔営業CF対投資CF比率=営業CF÷投資CF〕
ジンズHDを除く3社の状況はやや特異です。
ジンズHDは、営業CFが直近の2期連続で減少していますが、4期間とも一定の投資支出を行っています。
パリミキHDは、営業CFを比較的安定して獲得しています。
なお、投資CFは2020年と2022年決算期がプラスになっていることから、便宜上100.0%としています。
ビジョナリーHDは、年度によって営業CFの獲得と投資CFの支出が変動しています。
なお、直近では営業CFがわずかながらマイナスになったため、便宜上0.0%としています。
愛眼は、直近2期連続で営業CFがマイナスになっており、便宜上0.0%としています。
2020年決算期の特異な値は、投資CFがかなり少額だったためです。
続いて各社の推移を見ていきます。
【各社別 営業/投資CF推移】
〔実額ベース〕
ジンズHDの直近の営業CFが減少した要因は、当期利益の減少、売上債権の増加、棚卸資産の増加等です。
一方、直近の投資CFは増加しており、主要因は有形/無形固定資産の取得による支出です。
FCFは3期連続で縮小しており、直前期では538百万円となっています。
パリミキHDの直近の営業CFは、当期純損失となったものの償却費の増加等により、ほぼ前年並みでの推移となっています。
一方、直近の投資CFは、定期預金の払い出しによる収入が大きく、プラスとなりました。
支出の最大要因は、有形/無形固定資産の取得による支出であり、ほぼ前年並みとなっています。
以上から、直前期のFCFは18億円強となっています。
ビジョナリーHDの直近の営業CFは、前年から大きく減少し、僅かながらマイナスとなりました。
主要因は、15億円以上の当期純損失です。
一方、直近の投資CFは4期間で最大の支出額となっています。
新規出店や各種機器の導入により、有形/無形固定資産の取得による支出が前年の3倍以上と大きく増大しています。
以上から、直前期のFCFはマイナス14億円強となりました。
愛眼の直近の営業CFは、前年のマイナスからさらに減少してしまいました。
3期連続で拡大している当期純損失が主因となっていますが、少額ながら売上債権の増加も続いています。
一方、直近の投資CFはプラスとなりました。
投資有価証券の償還による収入が最も大きくなっています。
なお、有形固定資産の取得による支出も比較的大きいのですが、逆に有形固定資産の売却による収入も例年にない規模になっています。
以上から、直前期のFCFは前年より改善したものの、マイナス85百万円となっています。
【ROIC】
〔ROIC=(営業利益−法人税等)÷(純資産+有利子負債)〕
トップはジンズHDです。
2019年決算期はすこぶる高いレベルでしたが、直前期では4.5%にまで低下しています。
2番手はパリミキHDです。
4期間を通じて、営業利益がマイナスもしくは低いレベルであったため、マイナス圏となっています。
続いて愛眼です。
直近2期連続での営業欠損もあり、直近3期間がマイナス圏となっています。
そしてビジョナリーHDです。
営業利益がプラスとマイナスを繰り返していることから、当指標も年度によって上下しています。
直前期は大きく落ち込んでしまいました。
【WACC】
〔WACC=株主資本コスト×(株主資本÷(株主資本+有利子負債))
+負債コスト(1-実効税率)×(有利子負債÷(株主資本+有利子負債))〕
〔ROIC-WACC〕の値が最大なのはジンズHDです。
WACCも4社中最低となっており、資本の調達コストを上回る税引後営業利益を生み出しています。
β値が低いことがWACCを下げた主要因です。
今後、収益性が良化することで、さらに〔ROIC-WACC〕の値が高まることが期待されます。
パリミキHD、愛眼、ビジョナリーHDと続きますが、3社とも〔ROIC-WACC〕の値がマイナスです。
これは税引後営業利益が資本調達コストを下回っており、事業全体の収益力が赤字という状況です。
早急の改善が望まれます。
今回、この業界で特に気になったのは、
4社とも、CF的・利益的に弱体化していることでした。
今回の「投資力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
※営業CF対投資CF比率の順位は、
100%との乖離幅が最小となる会社から1~4位としています。
また、全6回の分析における順位の
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
以上で、メガネ小売業界を終了します。
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