業界売上高トップ4
有価証券報告書 財務分析
<電子部品業界・・・第4回>
第4回分析テーマ・・・資本活用力
分析指標値:総資本回転率、売上債権回収日数、
棚卸資産回転日数、
流動比率、自己資本比率
(各指標の説明サイトはこちら)
【総資本回転率】
〔総資本回転率=売上高÷総資本〕
トップは日本電産です。
細かく見ると3期連続で低下していますが、概ね安定した推移と言えます。
売上高と総資本の伸び率が、ほぼ連動している状態です。
2番手は村田製作所です。
当社も3期連続の低下となっており、売上高よりも総資本の増加度合いが大きくなっています。
続いてTDKです。
直前期は僅かながら上昇しています。
ただし、2019.03期と2020.03期は0.7回転レベル、その後の2021.03期と2022.03期は0.6回転の前半レベルということで、総じて低下傾向と読めます。
そして京セラです。
直前期は上昇していますが、4期を通じて他の3社より離れた位置取りになっています。
【売上債権回収日数】
〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕
回収期間が最短なのは村田製作所です。
2期連続で長期化したのち、直前期では短縮させています。
概ね、2ヵ月~2ヵ月半という回収速度です。
2番目に短いのは京セラです。
4期を通じて80日前後の推移ですが、直前期は4期中で最短レベルまで短縮しています。
続いてTDKです。
2021.03期に大きく長期化しましたが、直前期では幾分か戻しました。
それでも直近の水準は100日程度(3ヵ月強)です。
そして日本電産です。
3期連続の長期化であり、直前期では100日を突破しました。
4社中で唯一、長期化しています。
CF創出力に悪影響が出ることから、一定の歯止めが必要ではないかと感じます。
【棚卸資産回転日数】
〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕
回転期間が最短なのはTDKです。
ただし、3期連続の長期化であり、その度合いも比較的大きくなっています。
直前期で83.9日(3ヵ月弱分)となっています。
2番目に短いのは日本電産です。
当社も3期連続の長期化となっています。
続いて京セラです。
当社も3期連続の長期化となりました。
そして村田製作所です。
2021.03期までは80日前後の水準で推移していましたが、直前期では比較的大きく長期化してしまいました。
【流動比率】
〔流動比率=流動資産÷流動負債〕
最も値が大きいのは村田製作所です。
3期連続の上昇となっています。
現預金も増加していますが売上債権や在庫も膨らんでいることから、資本活用の効率化という側面からはやや気がかりでもあります。
2番目に大きいのは京セラです。
3期連続の下降となっています。
流動資産は2期連続で減少した後、直前期で増加しました。
一方、流動負債は2期連続で増加した後、直前期では減少しています。
特に、2020.03期の流動負債の増加要因は、有利子負債(転換社債型新株予約権付社債)の増加となっています。
続いてTDKです。
100%超のレベルで推移しています。
流動負債、流動資産ともに3期連続の増加となっています。
直前期では、有利子負債(長期借入金)が大きく増大しています。
増えた金額分が、売上債権と在庫の増加金額分に回っている状態です。
そして日本電産です。
流動負債は年度ごと交互に増減しています。
一方、流動資産は増加傾向です。
直前期の流動資産では、売上債権と在庫が増大する一方、現預金は前年比90.9%と減少してしまいました。
【自己資本比率】
〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕
最も値が大きいのは村田製作所です。
2期連続の上昇で、直前期は80%台に乗せています。
2番目に大きいのは京セラです。
ただし、3期連続で低下しています。
続いて日本電産です。
50%前後での推移となっています。
そしてTDKです。
40%台前半での推移となっています。
今回、特に気になったのは、
各社とも流動資産が重くなってきている点です。
売上債権や在庫をもう少し絞り込んだ方が
資本効率という点からは望ましいはずです。
今回の「資本活用力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「資金力」を見ていきましょう。
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