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COLUMNSブログ「論語と算盤」

ドラッグストア業界-5

2022年10月10日

ドラッグストア業界の5回目です。

 

今回は、「資金力」の分析です。

 

 

取り上げる指標は、手元資金推移手元流動性比率

手元資金有利子負債カバー率総資本営業CF比率

売上高営業CF比率となります。

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

手元資金推移

〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕

 

 トップツルハHDです。

2021決算期で600億円近くの急増となっています。

これは前回も述べたように、まず長期借入金として350億円の調達があったためです。

そして、買掛金残高が600億円弱増えていることも期末時点の現金増加要因となっています。

 

 2番手はサンドラッグです。

3期連続で増加していますが、その伸長率は逓減しています。

 

 続いてコスモス薬品です。

2期連続で伸長した後、直前期では低下しました。

投資活動で前年より240億円ほど多く投じており、配当金の支払額も増えています。

 

 そしてウエルシアHDです。

2021決算期までは急上昇していましたが、直前期で280億円強減少しました。

売上高が増加(108.0%)し、売上原価も増加(107.9%)する中、買掛金残高が219億円の減少(88.8%)となっています。

これが手元資金の源泉である営業CFを減少させた最大要因となっています。

 

 

手元流動性比率

〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕

 

 トップツルハHDです。

直前期は、2019決算期(20.4日分)の2.5倍近く(50.6日分)となっています。

コロナ感染拡大など不確実性に対するヘッジ目的でしょうか。

 

 2番手は僅差でサンドラッグです。

3期連続で増加しており、直前期では50日台に乗せました。

 

 続いてコスモス薬品です。

直前期で9日分強縮小しましたが、2019決算期よりは多くなっています。

 

 そしてウエルシアHDです。

直前期は前年の半分レベルと、かなり下げました。

また、コロナ前の2019決算期を下回っています。

 

 

手元資金有利子負債カバー率

〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕

 

 トップサンドラッグです。

グラフではわかりづらいですが、有利子負債がゼロという完全無借金経営の状態です。

 

 2番手はコスモス薬品です。

値が100%を超過する実質無借金経営の状態です。

長短合計の有利子負債は3期連続で減少しており、直前期では50億円を下回っています。

 

 続いてツルハHDです。

当社も実質無借金経営の状態です。

2021期には有利子負債が増えたので、やや大きめに低下しています。

 

 そしてウエルシアHDです。

長短合計の有利子負債が2期連続で増加したため、直前期では100%以下となりました。

 

 

総資本営業CF比率

〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕

 

 トップサンドラッグです。

他の3社に比べて非常に安定した推移を見せています。

ただし3期連続の低下です。

 

 2番手はコスモス薬品です。

4社中、唯一直前期で上昇させています。

営業活動によるCFは、当社の手元資金を減少させた投資や配当金とは無関係です。

そういう意味では力強さが感じられます

 

 続いてツルハHDです。

直前期の営業CFは、マイナス項目が多く、前年の半分以下(46.9%)となっています。

 

 そしてウエルシアHDです。

グラフをみると2期連続で急降下しています。

総資本が拡大していく中、営業CFは2021決算期が前年比66.1%、直前期は同35.0%と急減しています。

営業CFのマイナス要因で目立つのは、仕入債務の減少棚卸資産の増加売上債権の増加です。

 

 

売上高営業CF比率

〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕

 

総資本営業CFと順位も変わらず、特筆事項もないので、解説は省きます。

 

 

今回、特に気になったのは、

経営規模の大きいウエルシアHDが、全指標で最下位になったこと、

そしてサンドラッグ強さでしたでした。

 

 

今回の「資金力」の順位による

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

 

今回は以上です。

 

次回は、「投資力」を見ていきましょう。

 

 

 

 

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