ドラッグストア業界の5回目です。
今回は、「資金力」の分析です。
取り上げる指標は、手元資金推移、手元流動性比率、
手元資金有利子負債カバー率、総資本営業CF比率、
売上高営業CF比率となります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【手元資金推移】
〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕
トップはツルハHDです。
2021決算期で600億円近くの急増となっています。
これは前回も述べたように、まず長期借入金として350億円の調達があったためです。
そして、買掛金残高が600億円弱増えていることも期末時点の現金増加要因となっています。
2番手はサンドラッグです。
3期連続で増加していますが、その伸長率は逓減しています。
続いてコスモス薬品です。
2期連続で伸長した後、直前期では低下しました。
投資活動で前年より240億円ほど多く投じており、配当金の支払額も増えています。
そしてウエルシアHDです。
2021決算期までは急上昇していましたが、直前期で280億円強減少しました。
売上高が増加(108.0%)し、売上原価も増加(107.9%)する中、買掛金残高が219億円の減少(88.8%)となっています。
これが手元資金の源泉である営業CFを減少させた最大要因となっています。
【手元流動性比率】
〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕
トップはツルハHDです。
直前期は、2019決算期(20.4日分)の2.5倍近く(50.6日分)となっています。
コロナ感染拡大など不確実性に対するヘッジ目的でしょうか。
2番手は僅差でサンドラッグです。
3期連続で増加しており、直前期では50日台に乗せました。
続いてコスモス薬品です。
直前期で9日分強縮小しましたが、2019決算期よりは多くなっています。
そしてウエルシアHDです。
直前期は前年の半分レベルと、かなり下げました。
また、コロナ前の2019決算期を下回っています。
【手元資金有利子負債カバー率】
〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕
トップはサンドラッグです。
グラフではわかりづらいですが、有利子負債がゼロという完全無借金経営の状態です。
2番手はコスモス薬品です。
値が100%を超過する実質無借金経営の状態です。
長短合計の有利子負債は3期連続で減少しており、直前期では50億円を下回っています。
続いてツルハHDです。
当社も実質無借金経営の状態です。
2021期には有利子負債が増えたので、やや大きめに低下しています。
そしてウエルシアHDです。
長短合計の有利子負債が2期連続で増加したため、直前期では100%以下となりました。
【総資本営業CF比率】
〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕
トップはサンドラッグです。
他の3社に比べて非常に安定した推移を見せています。
ただし3期連続の低下です。
2番手はコスモス薬品です。
4社中、唯一直前期で上昇させています。
営業活動によるCFは、当社の手元資金を減少させた投資や配当金とは無関係です。
そういう意味では力強さが感じられます。
続いてツルハHDです。
直前期の営業CFは、マイナス項目が多く、前年の半分以下(46.9%)となっています。
そしてウエルシアHDです。
グラフをみると2期連続で急降下しています。
総資本が拡大していく中、営業CFは2021決算期が前年比66.1%、直前期は同35.0%と急減しています。
営業CFのマイナス要因で目立つのは、仕入債務の減少、棚卸資産の増加、売上債権の増加です。
【売上高営業CF比率】
〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕
総資本営業CFと順位も変わらず、特筆事項もないので、解説は省きます。
今回、特に気になったのは、
経営規模の大きいウエルシアHDが、全指標で最下位になったこと、
そしてサンドラッグの強さでしたでした。
今回の「資金力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「投資力」を見ていきましょう。
※当サイトの「注意・免責事項」ご確認ください。