建設業界の5回目です。
今回は、「資金力」の分析です。
取り上げる指標は、手元資金推移、手元流動性比率、
手元資金有利子負債カバー率、総資本営業CF比率、
売上高営業CF比率となります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【手元資金推移】
〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕
トップは大成建設です。
4期間、4社中、圧倒的な手元資金量です。
2番手は清水建設です。
この4期間は、3,000億円弱という推移です。
続いて鹿島建設です。
この4期間は、増加と減少が繰り返されている形です。
最後は大林組です。
この3期間、2019期からは増大しています。
【手元流動性比率】
〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕
トップはやはり大成建設です。
月商でいうと、3~4ヶ月分の資金を有していることになります。
2番手は清水建設です。
月商の2ヶ月強を保有している形です。
続いて大林組です。
2020期は大きく伸びましたが、その後2期連続の低下となっています。
最後は鹿島建設です。
月商の2ヶ月分弱の保有という推移です。
【手元資金有利子負債カバー率】
〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕
トップは大成建設です。
有利子負債の2倍以上の手元資金を有しており、充分な実質無借金経営の状態です。
資金力について、ここまでの指標では群を抜いた存在になっています。
2番手は大林組です。
2020期と2021期は実質無借金経営でした。
直前期は100%を割りましたが、特段の問題は感じられません。
鹿島建設が続きます。
手元資金が多かった2019期と2021期が完全無借金経営でした。
この順番だと、今期は良化することになりますが、どうでしょうか。
最後は清水建設です。
2期連続で低下しています。
ただし、特段問題視されるような状況ではないと言えるでしょう。
【総資本営業CF比率】
〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕
トップは大成建設です。
2019期は営業CFがマイナスでしたが、その後は4%前後で安定的にキャッシュを生み出しています。
資金面に関する安定度が感じられます。
2番手は清水建設です。
2019期は営業CFがマイナスでした。
2020期に上昇させましたが、その後2期連続の低下となっています。
大林組が続きます。
2020期キャッシュ創出レベルは相当高いと言えます。
2021期で急落しましたが、直前期で再び上昇しています。
最後は鹿島建設です。
2021期はかなり高い比率でしたが、直近では急落しました。
【売上高営業CF比率】
〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕
トップは僅差で清水建設となりました。
2番手が大成建設です。
大林組が続きます。
最後は鹿島建設であり、1.5%と低めの水準になっています。
今回、特に気になったのは、
大成建設の「資金力」における安定感と力強さです。
また、前回まで各指標で良好だった
鹿島建設が低位に位置したことも印象的です。
今回は以上です。
次回は、「投資力」を見ていきましょう。
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