今回から建設業界を取り上げます。
取り上げる会社は次の4社であり、全て3月決算です。
鹿島建設 株式会社
株式会社 大林組
大成建設 株式会社
清水建設 株式会社
第1回の今回は「成長力」を確認します。
取り上げる実績値は、
売上高推移、営業利益推移、総資産推移、従業員数推移です。
【売上高推移】
トップは鹿島建設です。
直前期の売上高は、前期比109.0%の2兆797億円となりました。
セグメントごとの実績は以下のとおりです。
▶土木事業:建設事業のうち土木工事に関する事業
直前期の売上高・・・前期比81.2%の2,718億円
▶建築事業:建設事業のうち建築工事に関する事業
直前期の売上高・・・前期比117.1%の9,152億円
▶開発事業等:不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業
直前期の売上高・・・前期比70.1%の483億円
▶国内関係会社:国内の建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸事業等
直前期の売上高・・・前期比94.5%の2,212億円
▶海外関係会社:海外関係会社による北米、欧州、アジア、大洋州などの建設事業、開発事業等
直前期の売上高・・・前期比127.6%の6,231億円
なお、2023.03期の連結予想売上高は2兆2,700億円、「鹿島グループ中期経営計画」最終年度の2024.03期の連結目標売上高は2兆2,500億円程度とのことです。
2番手は大林組です。
直前期の売上高は、前期比108.8%の1兆9,229億円となりました。
セグメントごとの実績は以下のとおりです。
▶国内建築事業
直前期の売上高・・・前期比109.9%の1兆599億円
▶海外建築事業
直前期の売上高・・・前期比98.2%の2,988億円
▶国内土木事業
直前期の売上高・・・前期比101.3%の3,468億円
▶海外土木事業
直前期の売上高・・・前期比124.5%の896億円
▶不動産事業
直前期の売上高・・・前期比144.1%の611億円
▶その他:PFI関連、再生可能エネルギー関連、ICT関連、金融関連など
直前期の売上高・・・前期比161.6%の666億円
なお、中期経営計画2022においては、連結売上高目標を2兆円程度としています。
続いて大成建設です。
直前期の売上高は、前期比104.3%の1兆5,432億円となりました。
セグメントごとの実績は以下のとおりです。
▶土木事業:工事施工
直前期の売上高・・・前期比98.6%の4,146億円
▶建築事業:工事施工
直前期の売上高・・・前期比106.8%の9,849億円
▶開発事業:不動産の開発・販売・賃貸・管理
直前期の売上高・・・前期比104.9%の1,329億円
▶その他:PFI事業、その他サービス等、受託研究、技術提供等
直前期の売上高・・・前期比102.0%の108億円
なお、中期経営計画(2021-2023)ではグループ売上高目標を2兆円、TAISEI VISION 2030では同2.5兆円程度としています。
最後は清水建設です。
直前期の売上高は、前期比101.8%の1兆4,830億円となりました。
セグメントごとの実績は以下のとおりです。
▶当社建設事業
直前期の売上高・・・前期比97.8%の1兆1,861億円
▶当社投資開発事業
直前期の売上高・・・前期比182.7%の833億円
▶その他
直前期の売上高・・・前期比86.4%の3,569億円
(※上記セグメント別売上高は、内部売上高や振替高を含んでいるため合計とは一致しません)
なお、中期経営計画(2019-2023)では、2023年度の目標売上高を1兆8,800億円としており、内訳は建設事業で1兆5,500億円、非建設事業で3,300億円としています。
【営業利益推移】
表内の数値を見ると、各社2~3期連続で減少しています。
2021期は新型コロナの感染拡大が売上高を大きく低下させたことが主因です。
2022期では、五輪需要と東日本大震災復興需要が収束し、
競争激化による安値受注および原材料費の上昇が影響したとされています。
トップは鹿島建設です。
直前期の営業利益は、前期比96.9%の1,234億円となりました。
上記のような厳しい業界環境の中、海外関係会社の業績が下支えしています。
セグメント別には、以下となります。
▶土木事業:建設事業のうち土木工事に関する事業
直前期の営業利益・・・前期比65.9%の196億円
▶建築事業:建設事業のうち建築工事に関する事業
直前期の営業利益・・・前期比86.6%の501億円
▶開発事業等:不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業
直前期の営業利益・・・前期比64.7%の112億円
▶国内関係会社:国内の建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸事業等
直前期の営業利益・・・前期比95.2%の162億円
▶海外関係会社:海外関係会社による北米、欧州、アジア、大洋州などの建設事業、開発事業等
直前期の営業利益・・・前期比385.5%の264億円
なお、2023.03期の連結予想営業利益額は1,080億円とのことです。
2番手は大成建設です。
直前期の営業利益は、前期比73.6%の961億円となりました。
セグメント別には、以下となります。
▶土木事業:工事施工
直前期の営業利益・・・前期比85.4%の479億円
▶建築事業:工事施工
直前期の営業利益・・・前期比53.0%の338億円
▶開発事業:不動産の開発・販売・賃貸・管理
直前期の営業利益・・・前期比137.6%の133億円
▶その他:PFI事業、その他サービス等、受託研究、技術提供等
直前期の営業利益・・・前期比130.0%の14億円
なお、中期経営計画(2021-2023)では、グループ営業利益目標を1,400億円としています。
続いて清水建設です。
直前期の営業利益は、前期比45.1%の451億円となりました。
セグメント別のセグメント利益(営業利益調整)は、以下となります。
▶当社建設事業
直前期のセグメント利益・・・前期比52.8%の567億円
▶当社投資開発事業
直前期のセグメント利益・・・前期比318.7%の478億円
▶その他
直前期のセグメント利益・・・前期比93.3%の139億円
(※上記セグメント利益は、工事損失引当金が含まれていないなど、各種調整により営業利益の合計とは一致しません。)
最後は大林組です。
直前期の営業利益は、前期比33.3%の411億円となりました。
セグメント別には、以下となります。
▶国内建築事業
直前期の営業利益・・・前期比△114.9%の△89億円
▶海外建築事業
直前期の営業利益・・・前期比23.7%の8億円
▶国内土木事業
直前期の営業利益・・・前期比52.6%の238億円
▶海外土木事業
直前期の営業利益・・・前期比1,100.0%の20億円(前期は2億円の欠損)
▶不動産事業
直前期の営業利益・・・前期比170.8%の203億円
▶その他:PFI関連、再生可能エネルギー関連、ICT関連、金融関連など
直前期の営業利益・・・前期比106.8%の28億円
なお、中期経営計画2022においては、連結目標営業利益額は1,000億円以上とのことです。
【総資産推移】
大林組がトップです。
3期連続で拡大しています。
純資産も3期連続の拡大となっています。
2番手は鹿島建設です。
2021期の減少は、主に負債(コマーシャル・ペーパー)の減少によるものです。
純資産は3期連続で拡大しています。
続いて清水建設です。
3期連続の拡大です。
純資産も3期連続の拡大となっています。
最後は大成建設です。
純資産と有利子負債はともに3期連続で拡大しています。
2021期の減少は、買掛債務とその他流動負債の減少が主因です。
【従業員数推移】
トップは清水建設です。
直前期で急増させました。
当業界は人材不足であり、協力会社に依存するより自社社員として労働力を確保しようという試みかと察せられます。
2番手は鹿島建設です。
高い水準で推移しています。
続いて大林組です。
微増という推移です。
最後は大成建設です。
ほとんど増やしておらず、直前期では減少しています。
今回は以上です。
次回は、収益性の中の「利益創出力」を見ていきましょう。
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