電子部品業界の3回目です。
今回は、「稼ぐ力」の分析です。
取り上げる指標は、EBITDA、EBITDAマージン、ROEとなります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【EBITDA】
〔EBITDA=営業利益+償却費〕
村田製作所がダントツでトップです。
また、3期連続の伸長であり、伸び率(グラフの傾きの急さ)も大きくなっており、力強さが表れていると言えます。
なお、直前期の設備投資額は1,967億円となっています。
続いては日本電産です。
EBITDAの構成表を見ると、営業利益の増大が大きく貢献し、直前期から増大しました。
この4期間では最大値となっています。
直前期の設備投資額は889億円となっています。
TDKが僅差で続いています。
営業利益の増額もさることながら、償却費の額も大きくなっています。
3期連続の伸長であり、積極的な設備投資と合わせ、今後に期待を感じます。
直前期の設備投資額は2,124億円と、4社中最大規模です。
京セラは、直前期で減少しました。
ここでも営業利益の減少が主因です。
直前期の設備投資額は、前年より10%以上増額しており、1,171億円となっています。
【EBITDAマージン】
〔EBITDAマージン=EBITDA÷売上高〕
村田製作所が独走状態であり、3期連続で伸長させています。
2番手はTDKであり、やはり3期連続の伸長です。
日本電産は直前期に急上昇しており、復活の気配が感じられます。
京セラは、直前期における売上高と利益の減少が、
この指標も含め収益性の各指標を下押しする格好になっています。
【ROE】
〔ROE=親会社株主に帰属する当期純利益
÷{純資産-(新株予約権+非支配株主持分)}〕
(各社のROEと必ずしも計算式が合致しておらず、値が相違するケースがあります。)
村田製作所がトップです。
4期とも10%以上となっており、充分と言えるでしょう。
ただし、直前期で盛り返した形であるものの、2019決算期レベルまでは回復できていません。
各種指標が順調に伸長する中、ROEはやや足踏み状態と映ります。
続いて日本電産です。
直前期で急上昇させ、トップにかなり肉薄しました。
これまでの指標から、直前期の挽回力が、今後の攻勢に繋がりそうな気配が感じられます。
次にTDKで、グラフの変動がトップの村田製作所と似ています。
当社は、中期3ヶ年計画で、最終年度の2024決算期のROEを14%以上にできる体質にすることをめざしているとのことです。
最後は京セラです。
安定的とも捉えられますが、決して高いレベルではありません。
昨今、市場では10%以上が望ましいと言われており、やや乖離しています。
当社は、ROEを重要な指標と捉えて向上に取り組んでいるとのことであり、今後の挽回に期待したいところです。
今回、特に気になったのは、
TDKのEBITDAの内訳に見る積極的な投資状況でした。
今後の展開に奏功することが期待されます。
今回は以上です。
次回は、「資本活用力」を見ていきましょう。
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