Loading

COLUMNSブログ「論語と算盤」

電子部品業界-4

2022年4月7日

電子部品業界の4回目です。

 

今回は、「資本活用力」の分析です。

 

 

取り上げる指標は、総資本回転率売上債権回収日数

棚卸資産回転日数流動比率自己資本比率となります。

 

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

総資本回転率

〔総資本回転率=売上高÷総資本〕

 

 

直前期は4社とも低下しています。

売上高を拡大した3社(村田製作所日本電産TDK)においても、

その伸び率を超える総資本の増大となっています。

 

 トップ日本電産です。

直前期の売上高の上昇率5.4%に対し、総資本の上昇率は6.3%です。

(表の回転数について、小数点第3位まで見ると、直前期は微減しています。)

 

 続いて村田製作所です。

直前期の売上高の上昇率6.3%に対し、総資本の上昇率は9.4%です。

 

 TDK前年の2位から直前期で3位になりました。

直前期の売上高の上昇率8.5%に対し、総資本の上昇率は23.6%です。

 

 京セラの直前期は、4社中最大の総資本がさらに拡大したことに加え、売上高が低下したことから、総資本回転率が低下しました。

 

 

売上債権回収日数

〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕

 

 

全体的にみて、BtoBのビジネスモデルとしても、少し長めと感じます

業界的にそういうスパンなのでしょう。

 

 最短期間村田製作所です。

直前期は76.6日と2.5ヶ月程度です。

2019決算期に対して、翌年は3.2日、直前期はそこから9.5長期化しています。

 

 続いては京セラです。

短縮化が進んでいましたが、直前期は4.4日長期化して81.2日、3ヶ月弱になりました。

 

 日本電産は、99.5日です。

20192020決算期は90日代前半でしたが、直前期はやや長期化しました。

 

 TDK直前期で大きく長期化しました。

2020年決算期の83.5日から106.3日へと、直前期だけで22.8日長期化しています。

 

 

棚卸資産回転日数

〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕

 

 

在庫金額とすると比較的多めと映ります。

多品種を扱っているというのも要因でしょう。

また、サプライチェーンの万一のトラブルを考慮している影響もあるでしょう。

 

 最短日本電産です。

 

 2番手TDKで、直前期でやや長期化しました。

売上債権回収日数とともに比較的大きく長期化していますので、CCCの指標は悪化したと想定されます。

(CCC=現金化期間:Cash Conversion Cycle

 =売上債権回収日数+棚卸資産回転日数-仕入債務支払日数)

 

上位2社は近接した実績で推移しています。

 

 3番手は村田製作所、そして京セラと続きます。

この2社もかなり近接した推移です。

 

第1回目の従業員数推移と同じような構成の2グループに分かれています

 

 

流動比率

〔流動比率=流動資産÷流動負債〕

 

 

こちらも上記同様の2グループ化というイメージになっています。

 

 最大村田製作所です。

詳細は明示しませんが、流動資産の内訳は、現金預金、売上債権、棚卸資産が概ね1/3ずつとなっています。

また、流動負債を現金預金のみで賄える状態です。

 

 続いて京セラです。

2期連続で低下していますが、300%近くと十分なレベルです。

当社も、流動資産の内訳について、現金預金、売上債権、棚卸資産が大雑把に1/3ずつというイメージです。

 

 3番手は日本電産です。

低下傾向でしたが、直前期で盛り返しています

膨らんできた流動負債が直前期では減少し、微増していた流動資産がやや多めに増加しました。

 

 最後はTDKです。

130%程度で推移しています。

流動資産は、上述したように売上債権と棚卸資産の増加が目立ち、流動負債では仕入債務と未払費用が増加しています。

 

 

自己資本比率

〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕

 

 

こちらも2グループ化の状態です。

 

 村田製作所京セラ70%台を下回ることなく、高い水準で推移しています。

村田製作所は、自己資本比率がこの水準でも、当期純利益が大きいために前回見たROEの値が充分なレベルになっています。

 

 一方、日本電産TDKは、概ね40%台の水準で推移しています。

レバレッジ効果を効かせたとは一概に言えませんが、日本電産ROE11.3%と10%を超え、村田製作所に肉薄しています。

 

 

今回、気になったのは、3指標における2グループ化の状況です。

 

各指標に絡まる戦術面が似ているのかもしれません。

 

 

今回は以上です。

次回は、「資金力」を見ていきましょう。

 

 

※当サイトの「注意・免責事項」ご確認ください。