眼鏡業界の4回目です。
今回は、「資本活用力」の分析です。
取り上げる指標は、総資本回転率、売上債権回収日数、
棚卸資産回転日数、流動比率、自己資本比率となります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【総資本回転率】
〔総資本回転率=売上高÷総資本〕
ビジョナリーHDが最も高い回転率です。
ただし、低下傾向にあります。
設立後4期目であり、新型コロナの感染拡大も相まって、やや不安定になっているのかもしれません。
ジンズHDは2番手ですが、4社中で唯一、直前期で上昇しています。
総資本を微減させ、売上高を拡大させた結果です。
三城HDは直前期で低下しました。
売上高の低下度合いが、総資本のそれを超えてしまいました。
愛眼も直前期で低下しています。
3期連続で、総資本と売上高が減少しましたが、直前期では売上高の減少割合が大きくなりました。
ちなみに、メガネトップの直近3期の推移は、1.11回→1.07回→0.98回となっており、それほど大きな値ではなく、また低下傾向になっています。
【売上債権回収日数】
〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕
愛眼の回収期間が最短です。
売上債権が最も生じると想定される眼鏡卸売セグメントの売上高が、全体の3%に満たない程度であることが大きな要因と想定されます。
なお、小売業全般に言えることですが、近年の電子決済の普及により、小売部門と言えども売上債権が増加しているようです。
そのせいと思われますが、ジンズHDを除く3社の債権回収日数が長期化しています。
続いてビジョナリーHDが短期間となっています。
そしてジンズHD。
三城HDの回収期間が、4社中では最長となりました。
なお、4社とも20日間前後なので特段のコメントは生じません。
ただ、電子決済がさらに普及してくると、それに伴う資金負担期間の長期化が進むことは避けられないと想定されます。
(なお、メガネトップは、売上債権残高が不明なので算出できません。)
【棚卸資産回転日数】
〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕
ジンズHDが最短期間です。
他の3社と比較するとかなりの差があるように映ります。
また、さらに短縮化の傾向でもあります。
続いて愛眼ですが、2期連続で長期化しています。
売上高の低下が続いていることが影響しているのかもしれません。
ビジョナリーHDが僅差で3番手です。
こちらは2期連続で減少させています。
売上が横ばいの中、在庫削減をうまく進められているようです。
三城HDは2.5ヵ月程度となっており、他の3社と比較するとかなり長期であると判断されます。
(なお、メガネトップは、棚卸資産残高が不明なので算出できません。)
【流動比率】
〔流動比率=流動資産÷流動負債〕
愛眼がダントツでトップです。
これまでの指標では、あまり芳しくない印象だったのですが、相当に良い指標となっています。
続いてジンズHDです。
3期連続で高めており、一層良化している様子です。
3番手は、僅差で三城HDです。
この4期間、ほぼ一定に保たれている状態です。
ただし、在庫と売上債権を短縮化できれば、この値自体は下がるものの、スリムで健全な状態に近づくであろうと思われます。
ビジョナリーHDは、相対的に低い値ではあるものの、100%以上であり、また2期連続で高めていることから、良好な状態と想定されます。
ちなみに、メガネトップの直近3期の推移は、184.0%→192.1%→204.8%となっており、上昇傾向です。
【自己資本比率】
〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕
愛眼が、4期とも90%に迫らん勢いであり、相当に高いレベルと言えます。
ただし、高い値であるために、最終黒字の3・4期前におけるROEの値が低くならざるを得ません。
続いては三城HDです。
71%台で推移しており、このレベルを維持されているようです。
ジンズHDは、前々回述べましたが、2年前に転換社債型新株予約権付社債200億円を発行したため、負債との相対的な関係から自己資本比率が低下しました。
ただし、直前期ではまた上昇させています。
ビジョナリーHDは、値のレベルは高くありませんが、上場企業の場合は高ければ良いというわけではないので、特段の問題は感じられません。
また、3期連続上昇させています。
ちなみに、メガネトップの直近3期の推移は、69.4%→69.7%→71.3%となっており、微増傾向と言えます。
今回、三城HDと愛眼が上位に位置する比率が散見されるなど、
資本の有効活用という点において
各社の動きは様々であるという印象を受けました。
今回は以上です。
次回は、「資金力」を見ていきましょう。
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