オフィス家具業界の6回目、最終回です。
今回は、「投資力」の分析です。
取り上げる指標は、営業CF対投資CF比率、
各社別の営業/投資CF推移、ROIC、WACCとなります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【営業CF対投資CF比率】
〔営業CF対投資CF比率=営業CF÷投資CF〕
オカムラと内田洋行は、直前期で営業CFが急増しました。
その一方で、両社ともに直前期の投資をかなり抑制したため、
この比率が格段に大きくなっています。
コクヨとイトーキも、営業CFを増やしつつ投資CFを減らしています。
結果的に4社とも、直前期ではこの比率の値が大きくなっています。
投資が少なくなっていることは、
新型コロナ禍での慎重な経営姿勢の表れと感じられます。
【各社別 営業/投資CF推移】
〔実額ベース〕
コクヨは、営業CFを安定的に生み出しています。
また、2年前と直前期の投資についても積極さが感じられます。
内田洋行は、3期連続で営業CFを拡大しています。
投資CFは2期連続で減少させており、キャッシュを積み上げています。
オカムラは、2期連続で営業CFを拡大しています。
2年前まで一定の投資がありましたが、直前期では相当に絞り込んでいます。
イトーキは、2期連続で営業CFを増やし、現金預金も増えています。
直前期の投資CFは抑制しています。
【ROIC】
〔ROIC=(営業利益−法人税等)÷(純資産+有利子負債)〕
内田洋行が飛びぬけて高い値になっています。
計算式の分母では、純資産は年々増加していますが、有利子負債は40億円強程度を維持しています。
分子は、約18億円→約24億円→約48億円→約68億円と急増しています。
オカムラは2番手ですが、直前期でやや減少しました。
分母では、純資産は継続して増加しており、有利子負債は4社中最大の244億円強です。
分子は、直前期の営業利益が増加しましたが、法人税等を控除すると前年を下回りました。
コクヨは前年とほぼ同一です。
分母の純資産は年々増加し、有利子負債は185億円程度で微減という状況です。
分子では、直前期の営業利益は減少しましたが、法人税等を控除すると前年から微増しました。
イトーキは、2年前はマイナス、直前期についても復活の途上となっています。
分母の純資産は2期連続で減少しており、直前期の有利子負債は216億円程度です。
分子については、営業利益の絶対額がまだ復元しておらず、法人税等を控除すると2億円に満たない状況です。
【WACC】
〔WACC=株主資本コスト×(株主資本÷(株主資本+有利子負債))
+負債コスト(1-実効税率)×(有利子負債÷(株主資本+有利子負債))〕
内田洋行以外の3社がマイナスになってしまいました。
資本の活用度合いが不十分という結果です。
詳しくみると、コクヨ以外の3社は株主資本コストが高くなっています。
その主因は、β値の大きさです。
コクヨ以外の3社は1.0を超えており、
株式市場の上下変動による影響をやや強めに受けることになります。
よって投資リスクが高めと認識され、
リスクプレミアムに高い水準が求められている状況です。
以上で、オフィス家具業界を終了します。
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