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COLUMNSブログ「論語と算盤」

オフィス家具業界-5

2022年2月7日

オフィス家具業界の5回目です。

 

今回は、「資金力」の分析です。

 

 

取り上げる指標は、手元資金推移手元流動性比率

手元資金有利子負債カバー率総資本営業CF比率

売上高営業CF比率となります。

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

手元資金推移

〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕

 

 

 コクヨは、他社の2倍程度の手元資金を有しています。

直前期では、有価証券(短期保有目的)を中心に増えています。

 

 内田洋行は、3期連続で増加しています。

特に直前期では、売上高が大きく伸びたせいもあり、現金預金も急増しました。

なお、有価証券には増減がありません。

 

 オカムラ3期連続での増加です。

ただし、オカムラの売上高はそれほど伸びておらず、直前期では微減しています。

そんな中、現金預金が増すということは、後で見る営業CFの増加度合いが大きいせいでしょう。

なお、有価証券残高はもともと少なめで、直前期では1千万円まで減っています。

 

 イトーキは、3年前に減少させたのち、2期連続で増加しています。

 

 

手元流動性比率

〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕

 

 

 先ほどの手元資金について、

売上高を365日で除した日商の何日分かを見た指標です。

 

 コクヨは、極めて大きく、3ヵ月を超えるレベルになっています。

コロナ禍においては、安心・安全と言えるでしょう。

 

 オカムラ2番手です。

2年前までは1.5ヵ月分程度と、4社中最小レベルでしたが、

直前期は2ヶ月分超まで拡大しました。

 

 内田洋行2期連続で拡大しています。

伸び率は目立つほどではありませんが、

これは計算式の分母と分子がともに増えたためです。

 

 イトーキは、3年前に落ちましたが、直前期では増加させました。

 

 

手元資金有利子負債カバー率

〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕

 

 

 手元資金と有利子負債の量的バランスを見る指標です。

100%以上なら、手元資金ですぐに有利子負債を返済できることから、

実質無借金経営の状態を意味します。

 

直前期では、4社中3社が実質無借金経営になっています。

 

 内田洋行は、3期連続で上昇ですが、特に直前期に急増しました。

有利子負債が44億円程度と、4社中最少であることも

値が大きくなる要因です(有利子負債が売上高に占める割合~以下同じ意味~1.5%)

 

 コクヨ高いレベルです。

有利子負債は185億円と、4社中で2番目に少ないレベルです(有利子負債対売上高比=6.1%)

 

 オカムラも200%に迫る勢いであり、充分に高いレベルと言えます。

有利子負債は244億円と、4社中で最大額です(有利子負債対売上高比=10.0%)

 

 イトーキは、3年前から実質無借金経営ではなくなりました

実質無借金経営が良いか悪いかは、一概には言えません。

コロナ禍でこそ手元資金の潤沢さが求められがちですが、平常時に手元資金が多過ぎると、企業家としてのスピリッツ(animal spirits)の弱さ、成長領域を見極める眼力不足など、疑問が残ります。

80%超の値ですから、平常時では安全性が高いとみなせるでしょう。

ちなみに、有利子負債は217億円です(有利子負債対売上高比=18.6%)

 

 

総資本営業CF比率

〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕

 

 

 内田洋行急上昇を描いています。

4年前は営業CFがマイナスでした。

ところが、3年前から2年前にかけて営業CF額が2倍直前期ではさらにその2倍と拡大しています。

 

 オカムラも、同じように急上昇しています。

 

 コクヨは、少々上下動がありますが、安定しています。

 

 イトーキは、2期連続で増大させています。

 

 

売上高営業CF比率

〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕

 

 

 オカムラは、特に直前期で高いレベルを示しています。

売上高が概ね横ばいという状況下、営業CFを拡大させ続けているという点は注目に値します

 

 内田洋行は、前述した営業CFの伸長レベルですが、

売上高の伸び率も大きいので、見た目の上昇度合いが抑制されています。

 

 コクヨは、売上高を減少させた中、営業CFを拡大させました。

 

 イトーキも伸ばしていますが、この4社においてはやや見劣りします。

 

 

今回、特に気になったのは、

オカムラにおける手元資金の積み上げレベルの厚さ

そして営業CFの創出力です。

 

売上高がそれほど伸びていない中での実績ですので、

以前も述べましたが、マネジメント力が強いと感じます。

 

 

今回は以上です。

 

次回は、「投資力」を見ていきましょう。

 

 

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