オフィス家具業界の4回目です。
今回は、「資本活用力」の分析です。
取り上げる指標は、総資本回転率、売上債権回収日数、
棚卸資産回転日数、流動比率、自己資本比率となります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【総資本回転率】
〔総資本回転率=売上高÷総資本〕
他の3社が1回転程度という中、内田洋行のみ高い回転率レベルを維持しています。
内田洋行は、直近2期の総資本が108.4%→119.7%と増大する中、
売上高は第1回目で見たように121.9%→145.3%と、
それを上回る伸び率になっています。
コクヨとオカムラは、直近の2期連続で低下しました。
両社とも、総資本が増大しましたが、売上高がその伸び率を超えられていません。
イトーキは、2期連続で伸長させたのち、直前期で落としました。
ただし、回転率の値はコクヨやオカムラ以上になっています。
【売上債権回収日数】
〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕
内田洋行は急激に短縮化させており、
直近では50.9日と、1.5ヵ月分強にまで良化しました。
この結果は、次回見る「資金力」の改善につながっていると想定されます。
他の3社は総じて長めと見受けられます。
事業の特性上やむを得ない要因もあるでしょうが、
オカムラやイトーキの3ヵ月程度というのは、
短縮化に取り組む価値が大きいのではないかと想定されます。
【棚卸資産回転日数】
〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕
こちらも、内田洋行の短縮化が目立ちます。
やはり、資金面に好影響を与えていることでしょう。
オカムラも2期連続で短縮化しています。
イトーキはやや長期化傾向です。
コクヨは、4社中最長となっていますが40日程度ということで、
ことさら注意するほどではないと感じます。
この指標に関しては、4社とも絞り込まれていると言えるでしょう。
【流動比率】
〔流動比率=流動資産÷流動負債〕
コクヨが高いレベルを維持しています。
流動資産額から、先ほど見た売上債権と棚卸資産を除いても、
直近2期は流動負債を超えるボリュームです。
続いてオカムラが良好です。
ただし、売上債権と棚卸資産がやや重く、
流動資産から両者を除いた残額は、流動負債の5割程度です。
内田洋行もオカムラと同様です。
売上債権と棚卸資産は絞り込まれましたが、
流動資産に占める割合は5割を超えています。
イトーキは2期連続で低下した後、直前期で良化しました。
問題のない数値と判断されますが、
流動資産に占める売上債権と棚卸資産の割合は65.9%と、
4社中最大になっています。
次回確認しますが、売上債権と棚卸資産の割合を下げ、
キャッシュの割合を高める取り組みが期待されます。
【自己資本比率】
〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕
コクヨは継続して高めています。
ただし、高まる自己資本の活用が上手く機能していないようで、
第1回の売上高、営業利益、経常利益などが伸び悩んでいます。
次に高い比率はオカムラです。
マネジメントが機能しているかのごとく、56%台で推移しています。
イトーキは、2期連続で最終赤字だったせいもあり、
3期連続でこの比率を落としています。
内田洋行は、4社中最も低い比率であり、しかも3期連続で低下しています。
最終利益を大きく伸ばしながら、
この自己資本比率を抑制しているため、
前回見たROEが急上昇しているわけです。
今回、特に気になったのは、コクヨと内田洋行です。
コクヨは、流動比率や自己資本比率から安定性が高いと言えますが、
資本の活用についてはさらなる工夫が期待される状況です。
内田洋行は、これまで見てきた売上高と利益率の向上に加えて、
売上債権と棚卸資産を大きく削減した点が印象的です。
今回は以上です。
次回は、「資金力」を見ていきましょう。
※当サイトの「注意・免責事項」ご確認ください。