Loading

COLUMNSブログ「論語と算盤」

オフィス家具業界-4

2022年2月3日

オフィス家具業界の4回目です。

 

今回は、「資本活用力」の分析です。

 

 

取り上げる指標は、総資本回転率売上債権回収日数

棚卸資産回転日数流動比率自己資本比率となります。

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

総資本回転率

〔総資本回転率=売上高÷総資本〕

 

 

 他の3社が1回転程度という中、内田洋行のみ高い回転率レベルを維持しています。

内田洋行は、直近2期の総資本が108.4%119.7%と増大する中、

売上高は第1回目で見たように121.9%145.3%と、

それを上回る伸び率になっています。

 

 コクヨオカムラは、直近の2期連続で低下しました。

両社とも、総資本が増大しましたが、売上高がその伸び率を超えられていません。

 

 イトーキは、2期連続で伸長させたのち、直前期で落としました。

ただし、回転率の値はコクヨやオカムラ以上になっています。

 

 

売上債権回収日数

〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕

 

 

 内田洋行急激に短縮化させており、

直近では50.9日と、1.5ヵ月分強にまで良化しました。

この結果は、次回見る「資金力」の改善につながっていると想定されます。

 

 他の3社は総じて長めと見受けられます。

事業の特性上やむを得ない要因もあるでしょうが、

オカムライトーキ3ヵ月程度というのは、

短縮化に取り組む価値が大きいのではないかと想定されます。

 

 

棚卸資産回転日数

〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕

 

 

 こちらも、内田洋行短縮化が目立ちます。

やはり、資金面に好影響を与えていることでしょう。

 

オカムラ2期連続で短縮化しています。

 

イトーキやや長期化傾向です。

 

コクヨは、4社中最長となっていますが40日程度ということで、

ことさら注意するほどではないと感じます。

 

この指標に関しては、4社とも絞り込まれていると言えるでしょう。

 

 

流動比率

〔流動比率=流動資産÷流動負債〕

 

 

 コクヨ高いレベルを維持しています。

流動資産額から、先ほど見た売上債権と棚卸資産を除いても

直近2期は流動負債を超えるボリュームです。

 

 続いてオカムラが良好です。

ただし、売上債権と棚卸資産がやや重く、

流動資産から両者を除いた残額は、流動負債の5割程度です。

 

 内田洋行もオカムラと同様です。

売上債権と棚卸資産は絞り込まれましたが、

流動資産に占める割合は5割を超えています。

 

 イトーキ2期連続で低下した後、直前期で良化しました。

問題のない数値と判断されますが、

流動資産に占める売上債権と棚卸資産の割合は65.9%と、

4社中最大になっています。

次回確認しますが、売上債権と棚卸資産の割合を下げ、

キャッシュの割合を高める取り組みが期待されます。

 

 

自己資本比率

〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕

 

 

 コクヨ継続して高めています。

ただし、高まる自己資本の活用が上手く機能していないようで、

1回の売上高、営業利益、経常利益などが伸び悩んでいます。

 

 次に高い比率はオカムラです。

マネジメントが機能しているかのごとく、56%台で推移しています。

 

 イトーキは、2期連続で最終赤字だったせいもあり、

3期連続でこの比率を落としています。

 

 内田洋行は、4社中最も低い比率であり、しかも3期連続で低下しています。

最終利益を大きく伸ばしながら、

この自己資本比率を抑制しているため、

前回見たROEが急上昇しているわけです。

 

 

 今回、特に気になったのは、コクヨ内田洋行です。

 

コクヨは、流動比率や自己資本比率から安定性が高いと言えますが、

資本の活用についてはさらなる工夫が期待される状況です。

 

内田洋行は、これまで見てきた売上高と利益率の向上に加えて、

売上債権と棚卸資産を大きく削減した点が印象的です。

 

 

今回は以上です。

 

次回は、「資金力」を見ていきましょう。

 

 

※当サイトの「注意・免責事項」ご確認ください。