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COLUMNSブログ「論語と算盤」

貨物運送業界-3

2021年12月6日

貨物運送業界3回目です。

 

今回は「稼ぐ力」です。

 

 

指標は、EBITDAEBITDAマージンROE3つです。

 

 

 

 まずは、EBITDA

 

〔EBITDA=営業利益+償却費〕

 

 売上規模の大きい日本通運がトップです。

直近ではヤマトHDが急増させたため、ほぼ並んでいます。

 

 下表に、EBITDAの内訳を表します。

 

上段が2020.03決算期、下段が2021.03決算期です。

 

 この表からは、SGHDの償却額が金額的にも比率的にも小さいこと、

一方、日立物流の償却費の比率が相対的に大きいことがわかります。

 

SGHDは営業利益額ではトップでしたが、上記のことから、EBITDAでは3番手です。

 

日立物流のEBITDAそのものには、金額的にも推移的にも大きな特徴は感じられません。

ただし、前回見たように、

売上高総利益率(粗利率)は№1、その勢いもあり営業利益率も№2です。

それだけの営業利益に、償却費が加わったわけです。

 

 

そして注目すべきは、次のEBITDAマージンです。

 

〔EBITDAマージン=EBITDA÷売上高〕

 

日立物流の直近2期におけるEBITDAマージンのレベルは群を抜いています

 

日立物流は、今まで見てきた各指標では、あまり高い位置にありませんでした。

しかし実は、売上高に対する、大きな「稼ぐ力」が隠れているのです。

 

続いて、SGHDが売上高営業利益率の高さをもとに、2番手につけています。

そして、ヤマトHD、日本通運と続きます

 

 

 最後に、ROEです。

 

       〔ROE=親会社株主に帰属する当期純利益

        ÷{純資産-(新株予約権+非支配株主持分)}〕

 

SGHDが20%に届かんばかりの勢いです。

グラフを見てもわかるように、もともと高いレベルに位置しており、

直前期では当期純利益を1.5倍超に増やしたことも急上昇の要因です。

 

2番手は日立物流であり今回のテーマの「稼ぐ力」では存在感を示しています。

こちらも元々10%超と高いレベルにありました。

直前期の当期純利益の上昇は5%強程度ですが、

分母となる純資産(親会社株主持分)を

前期比で2/3に減少させたことが大きく影響しています。

 

これは、1,000億円近くの自社株買いの実施によるものです。

 

日立物流は、2022.03決算期におけるROE目標を12.7%としていますが、

直前期(2021.03決算期)並みの当期純利益を計上できれば

十分達成できる状態です。

 

 

3番手はヤマトHD4番手は僅差で日本通運となります。

両社とも直前期で急上昇させ、10%台に乗せようとする勢いです。

 

ヤマトHDは、分母の純資産も拡大しましたが、

なんといっても当期純利益が2.5倍超となったことが大きく影響し、

グラフは急上昇を描いています。

 

日本通運は、分母の純資産は微増傾向ですが、

当期純利益が乱高下しているために、ROEのグラフも上下動が激しくなっています。

 

当年度(2022.03期)に悪化しないと良いのですが・・・。

 

なお、日本通運は2038年に創立100周年を迎えます。

そこに向けて、

2024.03期にROE10%、2029年には10%超、2038年も10%超というように、

中間目標を設定しています。

 

 

 

今回はここまでです。

 

次回は、「資本活用力」を確認します。

 

 

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