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COLUMNSブログ「論語と算盤」

自動車業界-3

2021年11月15日

自動車業界の3回目です。

 

今回は「稼ぐ力」です。

 

 

取り扱う指標は、「EBITDA」、「EBITDAマージン」、「ROE」の3つです。

 

 やや専門的な指標になります。

上記3つの指標の詳細は、「建設業界-3」に解説していますので参照してください。

 

 

 まずは、EBITDAです。

 

〔EBITDA=営業利益+償却費〕

 

  4社とも低下傾向が見て取れます。

 

周知のとおり、自動車業界は脱炭素社会への取り組みが急がれており、

今後の業績については流動的な要素が極めて多くなっています。

 

加えて、グローバル市場での戦いなので、

競争関係は相当に複雑になり、また多面的、多角的になります。

 

 

そのような状況が、今後の各指標に表れてくると予想されます。

 

 

 

 下の表で、EBITDAを構成する営業利益と償却費、

そして償却費に関して、EBITDAに占める割合を示します。

 

上が2020決算期、下が2021決算期となります。

 

 日産は営業赤字なので何とも言えませんが、

トヨタとスズキは、EBITDA4割程度が償却額、

ホンダは5割程度が償却費となっています。

 

 設備投資等が多いと償却費も増えます。

ただし、償却費の割合が多ければ、積極的に未来に投資しているかというと、

必ずしもそうは言い切れません。

 

 償却費を除いた営業利益額が小さいのかもしれませんし、

償却費対象となる資産が業績に貢献しているかどうかの問題もあります。

 

 

 

 では次に、EBITDAマージンを見てみましょう。

 

〔EBITDAマージン=EBITDA÷売上高〕

 

 トヨタとホンダが安定的な値を示しています。

 トヨタは、14%のライン、ホンダは10%のラインが

ターゲットとなっているイメージです。

 

 もちろん、優先すべきは営業利益でしょうが、

海外投資家の目が多くなる両社にとってはEBITDAの値も重要性を増します

 

 スズキが低下傾向なのは、売上高と粗利益率の低下が影響していると思われます。

 

 

 

 では、ROEを見てみましょう。

 

      〔ROE=親会社株主に帰属する当期純利益

        ÷{純資産-(新株予約権+非支配株主持分)}〕

 

  さすがにトヨタは安定的です。

直近値は、2018決算期よりは低いものの、あと一歩で10%超というレベルです。

 

 また、ホンダも挽回してきています。

こちらも2018決算期には至っていませんが、

トップのトヨタに近づいています。

 

 日産は、2021年度(2022決算期)に期待したいところです。

 

 スズキは、ROEにおいても低下傾向が続いています。

 

何らかの取り組み、改善あるいは改革が必要なのかもしれません。

 

 

 

今回は以上です。

 

次回は、資本の有効活用度を問う「資本活用力」を見ます。

 

 

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