今回から、ドラッグストア業界を取り上げます。
対象とする会社は次の4社であり、2021年決算における上位4社です。
ウエルシアホールディングス 株式会社(2月決算)
株式会社 ツルハホールディングス(5月決算)
株式会社 コスモス薬品(5月決算)
株式会社 サンドラッグ(3月決算)
決算月が揃っていないので、全て「2021決算期」として表記していきます。
なお、当業界はM&A等による業界再編や異業種との競争が激化しており、
今後も色々な変化が予想されます。
周知のように、㈱マツモトキヨシHDと㈱ココカラファインが合併し、
2021.10より㈱マツキヨココカラ&カンパニーとして発足したこともその一端です。
ちなみに、両社の2021年決算の売上高を合計すると業界第2位に位置する規模でした。
それでは今回の分析ですが、初回として経営規模と成長力について確認していきます。
まずは、売上高の推移です。
ウエルシアHDとツルハHDがトップ争いを行っており、やや距離を置いてコスモス薬品、サンドラッグと続きます。
4社とも3期連続で伸長しており、ここにマツキヨココカラ&Co.が割り込んでくることになり、今後もつばぜり合いが激しくなることが予想されます。
続いて、経常利益額を見てみましょう。
ウエルシアHDは、直近2年間において売上高成長率を超える経常利益額の伸長が見られ、2019決算期の第3位からトップのツルハHDの背後まで迫ってきました。
コスモス薬品の伸び率も相当高いレベルです。
ツルハHDも安定的に伸ばしている状態です。
一方、サンドラッグについては、先ほどの売上高伸び率、そしてこの経常利益伸び率が、ともに安定的ではあるものの、他の3社ほどの勢いは見られません。
ただし、勢いがないなどというわけではありません。
次回以降の分析結果において、優れた指標が散見されます。
次に、総資産額です。
4社とも一定レベルで総資産額が増加しているようです。
その中、ツルハHDが直近で急増しましたが、この要因は、純資産の増加もさることながら、主たるものは負債の増加です。
一つは買掛金の増大であり、有価証券報告書によれば、5月の決算時における金融機関休業日が起因したということで、586億円ほど増加しています。
この影響で、流動負債全体が739億円の増加となりました。
もう一つの要因が長期借入金であり、214億円ほど増額し、固定負債全体としても235億円ほど増加しています。
資産側では、現金預金が595億円、売掛金が157億円、
商品在庫が193億円の増加というような状況です。
従業員数の推移を見ておきましょう。
各社とも、売上高伸長率以上のペースで従業員の増加を図っているようです。
最後に、参考資料として、2021決算期の有価証券報告書から、ウエルシアHD、ツルハHD、コスモス薬品の3社について品目別の販売・仕入実績、そしてサンドラッグについてはセグメント別販売・仕入実績を掲載しておきます。
なお、表中にある「単純差益率」は、期首・期末在庫が算入されていないため、正確な粗利益率ではありません。
(単位:百万円)
次回は、売上高に対する利益率、「利益力」を確認します。
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