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COLUMNSブログ「論語と算盤」

家電量販業界-2

2021年9月30日

家電量販店4社分析2回目です。

 

今回は、売上高利益率を中心に確認します。

 

 

 最初に総資本経常利益率の推移を下図表で表します。

 

〔総資本経常利益率=経常利益÷総資本(負債+純資産)〕

 

 ケーズHDが、この4期を通じて高い値を示しています。

最終利益の黒字化で純資産を増やし、負債面では有利子負債を削減しています。

その結果、総資本は増えたものの伸びは大きくないことから、

経常利益の上昇がそれ以上に大きいということになります。

 

 

 次に、各売上高利益率を見てみましょう。

売上高総利益率(粗利益率)売上高経常利益率売上高当期純利益率です。

 

 結果とすれば、売上高を落としたビックカメラ以外の3社は

粗利率経常利益率当期純利益率の全てが上昇しています。

 

 

 では、まず売上高総利益率(粗利益率)です。

 

〔売上高総利益率(粗利益率)=売上総利益(粗利益)÷売上高〕

 

 ヤマダHDのグラフは急上昇しています。

20182019.03期は相対的に低めでしたが、

直近2期は連続で約1ポイントずつ上昇させています。

 

 エディオンケーズHDも上昇させており、

以上の3社の値はかなり近いレベルになってきています。

 

 

 ちなみに、ケーズHDの有価証券報告書(P17P20)に商品群別の販売高と仕入高の記載があったので、それぞれの粗利率を単純計算(※)で紹介します。

 ※ 粗利益額は〔売上高-(仕入高-在庫増加分)〕なので、

在庫増加分を考慮していない下表の粗利益率は概算値となります。

 

 

 続いて、売上高経常利益率です。

 

〔売上高経常利益率=経常利益÷売上高〕

 

 こちらも3社が伸ばしています。

粗利益率の順位とは異なり、ケーズHDが最も高い経常利益率になっています。

 

 ケーズHDの有報には、「コロナ禍での従業員の奮闘に報いるため、20206月と20213月に特別手当の支給」を行ったため、人件費が前年を大きく上回ったとのこと。

ただし、折込チラシのサイズや部数の縮小により、広告宣伝費を前年より大きく低減させたため、人件費増加分の半分程度が吸収できたそうです。

 

 これらの工夫により、販管費の前年対比伸び率を107.5%の上昇に抑え、営業利益率ひいては経常利益率を上昇させています(売上高の前年対比伸び率は111.9%)。

 

 経常利益率が2番手のヤマダHDの有報には、「株式会社大塚家具や株式会社ヤマダレオハウス、株式会社ヒノキヤグループの連結に伴う費用の増加等」があったものの、徹底した経費削減ホールディング化による効率経営の実現により、販管費の前年対比伸び率を101.6%の上昇に抑えています(売上高の前年対比伸び率は108.7%)。

 

 そして3番手のエディオンについては、「広告宣伝費の圧縮や業務効率の見直しなどを進めるなど」で販管費の抑制に努めたとのことです。

 

 なお、ビックカメラ販管費総額前年対比で0.7%削減・・しています。

これは、売上高の減少に伴う変動費の低減が主因とのことです。

 ただしそれでも、売上高減少に伴う粗利益の絶対額の減少により、営業利益額が前年比でほぼ半減、営業利益率も前年2.6%に対して1.4%まで低下しました。

粗利益率は昨年と同レベルにもかかわらず、利益の絶対額が減少したことから、上記の如く経常利益率が1ポイント以上低下する結果になったというわけです。

 

 

 最後に、売上高当期純利益率です。

 

〔売上高当期純利益率=当期純利益÷売上高〕

 

 経常利益率と似たグラフ形状であり、特段のコメントはありません。

 ビッグカメラ以外の3社は、増収増益という結果になりました。

 

 

今回は以上とします。

 

次回は、ROEEBITDA等を見ていきましょう。

 

 

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