今回から、家電量販店を取り上げます。
取り上げる会社は、
株式会社ヤマダホールディングス (以下 ヤマダHD)
株式会社ビックカメラ (以下 ビックカメラ)
株式会社ケーズホールディングス (以下 ケーズHD)
株式会社エディオン (以下 エディオン)
以上の4社です。
ちなみに、決算月はビックカメラが8月で、他の3社は3月です。
今後のグラフやコメントは全て3月決算と表記しますが、
ビックカメラのみ8月決算であることをご認識ください。
(ビックカメラの最新の決算データは2020.08.31のものです)
なお、株式会社ヨドバシカメラは株式上場していないため取り上げません。
ちなみにヨドバシカメラの2021.03期実績は、
売上高が7,318億円、経常利益が493億円、店舗数が24という実績・業容です。
それではまず、4社の売上高の推移を見てみましょう。
ヤマダHDがダントツのトップで、2位のビックカメラに2倍以上の差をつけています。
大塚家具の買収、住宅ではヒノキヤグループの連結子会社化など、住産業を手広く手掛けている印象がありますが、セグメントとしての「デンキ事業」で1兆5,033億円と、連結売上高の大半を稼いでいます。
ちなみに、4社の中で、ビックカメラのみ売上高が減少しています。
他の3社が売上高を上昇させている状況下において、ビックカメラのみ減収となったのは、ひとえに立地戦略の差のようです。
各社とも、コロナ禍におけるテレワークや巣ごもり需要を取り込んでいますが、
それは郊外店舗にのみ見られる現象です。
都市部では、昼間人口が大きく減少し、
さらにインバウンド需要もほぼゼロとなり、
都市に立地する店舗業績が大きく落ち込みました。
ヤマダHDでは、都市部店舗よりも郊外店舗が相対的に多いため、
全社レベルで好業績になったようです。
その一方で、ビックカメラは都市部店舗が多いため、
コロナ禍が全面的に逆風になったというわけです。
参考までに、ヤマダHDを除く3社について昨年対比増減上位3品目をあげておきます。
ヤマダHDは有価証券報告書から確認できないので割愛しますが、「定額給付金での白物家電の買い替え」や「省エネ・高機能・高単価・大型化、調理家電・理美容器具・空気清浄機・加湿器・ゲーム機やソフトが好調」だったようです。
次に、経常利益額の推移を確認します。
ヤマダHDが大きく拡大しています。
これは、2020年10月1日に持株会社に移行するに際し、
経営の効率化を図ったことが奏功したようです。
具体的には、従来から進めていた「企業体質強化経営改革」の結果として、
営業時間短縮や広告費の削減などによる
販管費の削減が大きな効果を生んだようです。
続いて、総資産と従業員数の推移を示しておきます。
総資産は、各社とも概ね横ばいか微増傾向という推移です。
従業員数では、ヤマダHDが大きく増員となりましたが、
これは連結子会社化等による影響もあるようです。
最後に、従業員1人当り売上高を示します。
ただし、従業員数は上述したものであり、臨時雇用者数(パート等)を含んでいません。
小売の現場では、臨時雇用者が担う業績が大きいでしょうから、参考程度となります。
上記図表では、ケーズHDの人的生産性が最大になっています。
ちなみに、有価証券報告書によると、ヤマダHDが「55百万円」、ケーズHDが「76,811千円」と明示されています(ビックカメラとエディオンは記載無し)。
次回は、売上高利益率を確認します。
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