今回から指向を変えます。
業界の上位企業について、業績の推移や比較、
各種の財務指標の分析などを行い、
その特性を探っていくこととします。
まずは、建設業界を取り上げます。
いわゆるゼネコン、その中でもスーパーゼネコンと呼ばれる売上高1兆円を超える4社に絞りました。
具体的には、大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設です。
一般的には、竹中工務店を含めた5社がスーパーゼネコンと呼ばれます。
ただし竹中工務店については、決算時期が他の4社と相違している点、
また、単体での直近売上高が1兆円以下になった点から、
今回は取り上げないこととしました。
まず、売上高の推移から見ていきます。
4社とも、前期2020.03期までは上昇していましたが、直近の2021.03期は下落しました。
前期まで売上高トップだった大林組は、国内建築事業における着工直後の工事が多くなり工事進捗に伴う売上計上が減少したこと、海外建築事業において前連結会計年度に大型工事が竣工した反動減、新型コロナウイルス感染拡大に伴う工事中断の影響があったことなどを理由としてあげています。(2021.03期有価証券報告書より)
各社は総じて、公共投資は比較的順調ながら、オリンピック・パラリンピック需要の一巡、そして新型コロナウイルスの蔓延に伴う民間設備投資の低迷により、売上高が減少したとしています。
また、厳しい環境の中でも特に、海外事業の売上高減少割合が多めになっているようです。
次に、経常利益額の推移を見ていきます。
一概には判断できないほど各社各様です。
・大林組 ・・・2019.03期が最大で、以降は減少しています。
・鹿島建設・・・減少傾向ながらも、直近の2021.03期の減少幅は小さめです。
・大成建設・・・毎年上下していますが、直近2021.03期の減少幅は比較的大きくなっています。
・清水建設・・・2020.03期まで上昇しましたが、直近2021.03期では大きく下落しました。
なお、売上高に対する経常利益額の割合を示す
売上高経常利益率については次回取り上げます。
続いて経営規模の推移を見ておきます。
総資産額の推移は下の図表のとおりです。
各社とも極端な変動はありません。
大林組と清水建設は増加、鹿島建設と大成建設は減少という状況です。
次回、総資本経常利益率も比較する予定です。
従業員数の推移は下の図表となります。
4社とも増えていますが、絶対数としての従業員数は鹿島建設が最も多く、前期まで売上高トップの大林組はさほど多くないという状況です。
今回は以上とします。
次回は収益性、特に各種利益率を取り上げます。
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