建設業界の第2回です。
今回は、収益性として総資本経常利益率、
そしてそれに関連した売上高利益率を中心に見ていきます。
まず、総資本経常利益率です。
大成建設が最も高い値になっていますが、毎年上下し、直近の2021.03期では2ポイントほど下落しました。
2番目の鹿島建設は3期連続で低下していますが、直近の低下度合いは他の3社と比較してやや小さくなっています。
大林組と清水建設は、ほぼ同様の利益率となっています。
次に、売上高利益率のうち、売上高総利益率(粗利益率)を見てみましょう。
直近を見ると、大成建設が15%弱と、他3社の13%前後に対して、2ポイントほど上回っています。
この差について、原価動向を深堀します。
その前に、下表のように4社とも親会社の売上高が連結売上高の6割以上となっており、純粋持株会社の形式ではなく、事業持株会社として認識できます。
事業持株会社であることを確認したのは、連結決算では原価が把握できないので、有価証券報告書の単体決算から原価ごとに明示される費用を用いようとしたためです。
単体決算における各原価項目の費用額、および売上高比率(単体)が下表です。
右端の合計欄によると、単体でも大成建設の原価率が低いことがわかります。
上記の各原価率について、下表で4社のランキングを示しました。
右端の合計欄で見ると、大成建設と清水建設のランクがほぼ同一で1位ということがわかります。
個別に見ていくと、他の3社が1位もあれば4位もあるという状況に対して、大成建設のランキングは安定的と言えます。
任意の他社との相対的な比較なので何とも言えませんが、
原価管理が奏功した結果として利益率が高まっているのかもしれません。
各社の粗利益率を見ましたが、それがほぼそのまま
経常利益率、当期純利益率の差になっている状態です。
次回は、収益力をもう少し違う角度から見ていきます。
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