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COLUMNSブログ「論語と算盤」

事を為す心得(一)

2024年3月22日

進言に四難有り。人をつまびらかにし、己れを審かにし、事を審かにし、時を審かにす。一も不審有れば、事必ずらず。〔治道〕

(呂新吾先生の七つに分けた見識、これを人に伝える段階になると、四つの難しいことがあるというのです。

 まず人をつまびらかにする。いかに濶大かつだいの識があっても、相手をよくみて伝えなければならぬことはいうまでもありません。その次には自分をつまびらかにする。自分がどういう人間であるかということをよく知っておく。耳学問で己れに似つかわしくない放言をしてみたところで、相手に通ずる筈はありません。第三には事をつまびらかにする。これも当然のことです。最後に時をつまびらかにする。何事にも時、時機というものがあって、それを逸するとかえって弊害がある。この四つのうち一つでもつまびらかでないものがあれば、事は必ず成功しないというのであります。)

<出典:『呻吟語を読む』安岡正篤著 致知出版社>

 

 

 

 

進言においては

 全てを明らかにした上で

  土俵に上げること

不明瞭さは

進言の成果を

不十分なものにします

 

 

 

人をつまびらかに

 

相手の心情

置かれた状況

性格や理解力

興味や関心などを知っておくこと

必要ならプライベートな事柄まで

 

 

それを踏まえた上で伝えなければ、いくら正しい事、良い事であったとしても相手の心に届きません。

 

相手を知るには、機会あるごとに相手の話をよく聴くことです。

 

それによって相手の背景を察することができます。

 

 

 

自分を審らかに

 

「自分が知っている自分」

だけでは不十分

 

 

「自分は知らないが他人が認識している自分」についても配慮します。

 

相手の話をよく聴くことで、自分がどう見られているかを感じとること、ときには問うてみることも良いでしょう。

 

例えば乱雑さを自分の長所として捉える人もいます。

そんな人が、相手の状況お構いなしに、自分の主張や意見を伝えようとしても、相手は何となく圧力は感じるものの、中身はほとんど伝わりません。

 

 

 

事を審らかに

 

人の思考は抽象的

 

 

人は多くの場合、思い付いたときに、こうすれば、ああすれば、こうでもない、ああでもないと毎日繰り返し考えるものです。

 

一つひとつの事柄が具体化されていないため、それぞれに白黒つけられず、堂々巡りからなかなか脱せません。

 

伝えるべきことはすべて具体化して整理し、優先順位をつけ、自分の思考をスッキリさせた上で、相手に進言することを心がけねばなりません。

 

 

 

時を審らかに

 

最適な時にこそ

 

 

最適な時は、事の中身次第で、その現象が生じる前かもしれませんし、後かもしれません。

 

小さな時の流れにも配慮します。

 

朝か昼か夜か、仕事中か休憩中か

 

述べてきた三つの心得が揃った上で、時を狙います。

 

 

ちゅう

 

易経で重んじられている言葉

 

 

時にあたること

 

~ 十分な実りを得るには    

  種は冬でなく春に蒔くこと ~

 

 

決して“ 時流 ” ではありません。

 

~ 時流を追う者は時流とともに滅びる ~

 

 

 

 

すべて

審らかにするには骨が折れます

 

しかし

事を為すには不可欠なことです

 

 

(審らか:物事の細かいところまではっきりしているさま。詳細を明らかにすること。)